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完璧なビジネスメールの作成が、仕事の評価につながるという勘違い

平野友朗(一般社団法人日本ビジネスメール協会代表理事)

2024年09月19日 公開 2024年12月16日 更新

完璧なビジネスメールの作成が、仕事の評価につながるという勘違い

「誤字は絶対にダメ?」「どんな言葉遣いが正しいの?」ビジネスシーンでのメール作成には、悩みが尽きないもの。仕事が速い人は、どのようにメールを作成しているのでしょうか。本稿では書籍『なぜか仕事が速い人のずるいメール術』から、効率的にメールを作成するヒントについてご紹介します。

※本稿は、平野友朗著『なぜか仕事が速い人のずるいメール術』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「誤字は絶対にダメ!」という勘違い

上司や先輩に誤字を指摘されるたびに「しまった。次はしっかり書かないと」と思っていませんか。誰もが気づきやすく、指摘しやすいのが誤字なので、注意される回数も多いでしょう。

同じ指摘が続いたら、恥ずかしかったり、情けなくなったりするかもしれません。そうなると「次こそ誤字をなくそう」とチェックにいっそう時間をかけるようになるのも自然な流れです。

しかし本当に、そんなに時間をかけてまで、誤字をつぶす必要があるのでしょうか。誤字をなくすことより重要なのは、メールの目的を達成することのはずです。極端な考え方かもしれませんが、最初のうちは、目的を達成できるならメールに多少の誤字があっても構わないと割り切って考えてみてはどうでしょうか。

時間をかけてチェックして誤字のないメールが書けたとしても、その中身が、目的の「報告」「依頼」「確認」などを達成できないものだったら、意味がないよね。時間をかけるべきところを、もう一度見直してみよう!

 

「ずるい」テクニック新常識!「許される誤字」

例えば、次の2つの文があったとします。

①今後ともよろしくお願いいたします。
②今後ともよろしくお願い板します。

②は「今後ともよろしくお願いいたします。」の誤変換であることは、容易に想像がつきます。では、②を書いたからといって、叱責を受けたり、取引停止になったりする可能性はあるでしょうか。

もちろん、誤字はないに越したことはありませんし、細かなところまで注意が行き届いていない印象を与えてしまう可能性もあります。しかし、普段から仕事に真面目にとり組んでいれば、この程度のミスは帳消しになるでしょう。メールの目的を邪魔しない誤字であれば、躍起になってつぶす必要はないのです。

 

メールチェックは「ここ」を見る!

反対に、メールでやってはいけない誤字も存在します。

 

◎注意! メールでやってはいけない誤字

・取引に支障をきたすもの
例)金額、数量、名前、納期

・フォーマルな度合いが高いもの
例)移転通知、休業案内、担当者の変更連絡など

 

先ほどの誤字とは違い、こうした致命的な誤字を見逃してしまうと、トラブルに発展したり、仕事に対する姿勢を疑われたりする可能性があるので、十分気をつけましょう。

しかし逆に、これらの誤字を徹底的に防ぐことに注力していれば、それ以外は、生産性を高める観点から、誤字を何度も確認してつぶす必要はないのです。

 

かしこく手を抜けばいい

このようにずるい人は、どの程度、手を抜けるかを理解しています。いい意味で手を抜く、さじ加減がうまいのです。それは決して、いいかげんに仕事をするということではありません。しなければいけないこと、必要なことだけに力を尽くしているのです。

仕事の場面ごとに「どのくらいの誤字なら許容されるか」を考えています。言い回しや表現の違いくらいであれば、多少は目をつぶるというのも1つの考えです。

ただしメールとは違い、書籍には誤字があるだけで信頼が失われます。だから何度も確認して、著者や編集者以外にプロの校正者が関わって作り上げたものが書店に並びます。そのため、この本には、ほぼ誤字がないはずです。

 

「心地のよいメール」とは?

メールが上から目線だと言われます
メールがくだけすぎているって言われます
メールが冷たいって言われます
メールが硬いって言われます
メールが馴れ馴れしいって言われます

これらはどれも、私が実際に相談されたことのある悩みです。

皆さんは、メールの「トーン」を気にしたことがありますか。トーンとは、勢いや調子のことです。勢いをつけて元気よく、それとも、勢いを落として静かに、といった細かいトーンの違いがメールの印象を左右します。

会話では、話のスピードや声の大きさなどでトーンを調整しています。興奮すると話すスピードが速くなったり、怒ると声が大きくなったり、自信がないと声が小さくなったり。お互いのトーンが合うと、心地のよいコミュニケ―ションができます。

それでは、メールのトーンは何で決まるのでしょうか。

それは「使う言葉や記号、言い回し」です。場面や関係性に合った選択ができれば、トーンの合った、違和感のないやりとりができるようになります。

「お世話になっております(‘ω’)」は正しい?
難しい言葉を使った方がいい?
顔文字を使ってもいい?

こうした、相手とのトーンに関する問題に完璧な正解はありません。

顔文字や「w」を使ったメールを受けとって「馴れ馴れしすぎる」と感じる人もいれば「親しみやすい」と感じる人もいるからです。

ずるい人は、相手のメールに合わせてトーンを調整しています。相手が真面目な言葉を使っていたら、こちらも使う。くだけた表現が多ければ、こちらも言葉を崩す。使う言葉のトーンを合わせることで、相手にとって心地のよいメールを目指します。

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言葉遣いを親密レベルで考えてみよう

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