SNSには、会社員や主婦から華麗なる転身を遂げた女性起業家たちが多く存在しています。しかし、それ以上に失敗している女性起業家が存在しているのも、まぎれもない事実です。成功する起業家とうまくいかない起業家を分けるものとは何か。できる人ほど注意したいポイントから意外な落とし穴までを、起業家育成コンサルタントの吉田淑恵さんに聞きました。
※本稿は、吉田淑恵著『さよならSNS集客』(秀和システム)より一部抜粋・編集したものです。
相談相手のミスチョイスが事業の成否に直結する
何かの決断をする際に、だれに相談するかはその成功を左右する要素の一つです。新しいことに挑戦するとき、多くの人は身近な人、たとえば自分の母親やママ友、会社員の夫などに相談したくなるものです。
夫や母親、相談ができるママ友たちは、私たちにとって大切な存在であり、信頼できる人たちです。
しかし、彼女たちにその分野での経験がなかったり、起業やビジネスの世界に触れたりしたことがなければ、適切なアドバイスをもらうのは難しいことが多いです。
こうした相談相手は、心の支えとしては大切ですが、ビジネスの判断には必ずしも適していません。
では、どのようにして適切なアドバイスを得るべきでしょうか?
それは、実際にその分野で成功している経験者に相談することです。ポイントは「その分野で」という点です。
あなたが相談したいジャンルでの経験を持つ人に相談しましょう。
経験者は、あなたが今直面している課題や不安を、同じように経験してきていることが多いので、あなたの状況や気持ちを理解し、それをどう乗り越えるかについて実践的なアドバイスをしてくれます。
自分も同じ道を歩んできたからこそ、具体的で現実的な助言ができるのです。
ビジネスのことを相談できる仲間が5人いるか
女性起業家にとって、ビジネスを続ける上での精神的なサポートはとても大切です。
ビジネスを続けていると、悩みや不安が積み重なって、視野が狭くなり、重要な課題に取り組む余裕がなくなることがあります。
そんなとき、だれかに気持ちを話すことで、心の中にたまった重荷を下ろし、視野を広げることができるのです。
ビジネスの成功は、モチベーションを高く保つことと密接に関係しています。
そこで、同じ志を持つ仲間と定期的に交流することがとても有益です。できれば5人は信頼できる仲間が欲しいですね。ビジネスの話だけでなく、最近興味を持ったことや新しいアイデアについて話すことで、視野が広がり、新しい刺激を受けることができます。
さらに、5人の仲間がいることで、さまざまな角度からのアドバイスをもらえるというメリットがあります。
法律、財務、マーケティング、戦略、メンタルヘルスなど、ビジネスにはいろいろな面があります。
それぞれの分野で異なる視点や経験を持つ仲間から意見を聞くことで、自分では見落としていた問題点や新しい解決策が見つかることがよくあります。
ビジネスを成長させるためには、自分1人で抱え込まず、信頼できる仲間との交流を大切にしましょう。
仕事の話を家族に話せるかどうか
女性が自分のビジネスをはじめるときは、家族の理解と応援がとても大切です。
でも、実際には応援されないばかりか、時には反対されることもあります。
その理由は「あなたが何をしているのか、よくわからないから」ということが多いです。
さらに、あなたがなんだか楽しそうにしているのを見て、夫は「自分はつまらない会社に我慢して行っているのに!」と不満を感じてしまうのです。
このような問題を解決するために、家族に自分のビジネスのことを話しましょう。
自分がどんなことに楽しいと感じて、どんなおもしろいことがあるかを家族に共有してみてください。
時には、うまくいかなかったことも、それを乗り越えたことも共有しましょう。家族を「自分の応援団」にするのです。
「女性のほうが幸せを感じる家庭に離婚のリスクはないが、男性のほうが幸せを感じる家庭は離婚リスクが上がる」というデータがあります。
つまり、あなたが夫よりも幸せでないと感じている夫婦は、うまくいかなくなる可能性があるのです。
これは、私が女性だから、自分にとって都合のいいことを言っている、というわけではありません。そもそも男性で、幸せになることにこだわっている人や、それを目的に生きている人は少ないのです。
そして、大変なときには「助けて」と言って、家事や育児を手伝ってもらうことも大切です。家事や育児を分担することで、ビジネスに必要な時間をつくり出すことができます。
家族があなたのビジネスを理解して応援してくれるようになると、どんなに大変なことがあっても乗り越えられる気がしますし、実際にそうなっていきます。
稼げないタイプは一人で何でもやれる人
私が以前主宰していたあるプログラムで、受講生たちに大きな変化をもたらした〝仕組み〟についてシェアしたいと思います。
実際にこのプログラムは、3か月でゼロから30万円を稼ぐための「売れない認定講師の矯正プログラム」として、多くの女性起業家をサポートしてきました。
参加資格は、少額の1day講座の受注が3件以内の人に限定しており、彼女たちはセールスの講座を受けても、売上が思うように上がらないという共通の悩みを抱えていました。
3か月後、みんな驚くべき成果を上げました。
第1位は69万円、第2位は66万円、第3位は39万円という売上を達成したのです。
この成功をもたらしたのは、「助けて!」という言葉を提案したことでした。「チーム戦なの!課題が出ているの!応援するつもりで助けて!」このセリフを使い、SNSや個別メッセージで告知したのです。
この「助けて!」という言葉には、「ベンジャミン・フランクリン効果」という心理的効果があります。
人は助けた相手に好意を抱くようになるのです。助けてくれた人ではなく、助けた人を好きになります。この効果を利用し、彼女たちは多くの人々と約束を取りつけ、次々と成果を上げていきました。
このように、人に頼ることも事業主としての重要なマインドセットの一つです。
すべてを自分でやろうとせず、他者の力を借りることでビジネスの成長を加速できます。助けを求めることで、多くの人々から応援され、成功への道が開けるのです。
上手くいく人は、仕事道具への適切な投資を怠らない
あなたは日々の業務で使う道具や環境に、しっかり投資していますか?
「はさみを研ぐ」というのは、道具のメンテナンスを意味しています。女性起業家さんの中には、仕事で使うパソコンや通信環境、そのほかの道具が不具合を起こしたときに、「これは私が次のステージに進むタイミングだ!」みたいなことを言っている人を見かけます。
でも、ちょっと待ってください。
たとえば、パソコンが遅くなってしまったのは、単にソフトウェアのアップデートが必要だったり、ディスクの掃除が必要だったりするだけかもしれません。通信環境が不安定なのは、ルーターの位置を変えるだけで解決することもあります。
また、道具のメンテナンスは、信用問題だけではなく、仕事の効率や結果に大きく影響します。切れ味の悪いはさみで何かを切ろうとすると、余計な力が必要になりますし、作業スピードも遅くなります。
それに比べて、しっかり研いだはさみであれば、軽い力でスパッと切れるので、余計なエネルギーを使わずに済みます。作業がスムーズに進むことで、結果として成果も上がるのです。
そして、仕事に影響の多い道具には、できるだけハイスペックなものを使うことをおすすめします。高性能な道具を使うことで、ムダなストレスや疲労が減り、仕事に集中できるようになります。
道具をしっかりメンテナンスし、必要であれば壊れる前に買い替えましょう。これが、じつはいちばんコストパフォーマンスがよく、長期的に見ても賢い選択です。