普通の人に比べ、暴力的な人は1.8倍おしゃべりで4倍以上感情語(嬉しいや怒り、悲しい)を使う!心理学者の内藤誼人さんは、こうした防犯心理学を知っていれば、危険人物は見抜けるという。近寄らなければ犯罪に遭う可能性は大幅に減らせます!
※本稿は、内藤誼人『防犯心理学 心理学を使って最新犯罪を見極める!』(辰巳出版)の一部を再編集したものです。
その人の反社会的性格がわかるふたつのポイント

犯罪を犯しやすい人には、おしゃべりな傾向があります。また、「ムカツク」「テンションが上がる」といった感情語をよく使うという傾向もあります。ですので、そういう点に注目することでも、できるなら距離を取ったほうがいいタイプかどうかを見抜くことはできます。
こちらも少しは話をしたいのに、こちらの気持ちなどまったく察してくれず、いつまでも自分のおしゃべりをやめないような人は、ひょっとすると危険な人なのかな、と考えたほうがよいわけです。
ポーランドにある、マリー・キュリー・スクロデフスカ大学のバーバラ・ガウダは、①刑務所の収容者で、反社会的性格(衝動的で暴力的な性格だという意味です)と診断された60名のグループと、②刑務所の収容者であっても、反社会的性格ではないと診断された40名のグループと、比較のために③ごく普通の大学生100名のグループに、抱き合うカップルの写真を見せ、思ったことを自由に語ってもらいました。
それぞれのグループの人が話した単語数と、そこに含まれる感情語の平均をとってみると、上表のようになりました。
犯罪者には、おしゃべりであるという特徴と、感情語を頻繁に使用する、というふたつの特徴があることがわかります。特に、暴力的である反社会的性格の人に顕著にそういう傾向が確認されました。
いつまでも自分の会話をやめないとか、感情語(嬉しさや怒りや悲しみなど)がしょっちゅう出てくるとか、そういう傾向の人は、なるべく避けたほうがよいでしょう。「ムカツク」「うざい」といった感情語が口ぐせになっているような人もおりますが、そういう口ぐせの人とも、できれば距離を取りましょう。
だいたい自分ばかりがしゃべろうとして、他の人の話をろくに聞かないような人には、ナルシストが多いのですが、ナルシストは凶悪犯罪を犯しやすい「危険な性格」のひとつと考えられています。
初めて会う人でも、10分くらい話していれば、その人がおしゃべりかどうか、感情語をよく使うかは判断できると思われます。「どうもこの人はおしゃべりだな」と思うのなら、適当なタイミングで話を切り上げ、できるだけ連絡を取らないようにするとよいかもしれません。
話し相手の犯罪傾向を見抜くことができる質問
「あなたは犯罪者ですか?」とか「あなたは犯罪を犯しそうな人ですか?」などと真正面から尋ねても、「はい、そのとおりです」などと答えてくれる人はいないでしょう。
私たちは、自分のプライベートにかかわるような質問を受けると、無意識に警戒し、身構えてしまうものです。「どういう意図でそんなことを聞いてくるのか?」と考えますし、慎重に言葉を選びながら答えることでしょう。
ところが、私たちは自分自身のことでなく、知り合いや友人のことならわりと簡単に教えてくれます。自分のことではないと思うのか、安心してペラペラしゃべってしまうことが少なくありません。
したがって、相手のことを知りたいのなら、その人自身について尋ねるのではなく、あくまでも友人のこととして質問してみましょう。
たとえば、「あなたには半グレ(不良集団)の友だちはいますか?」とか、「あなたの友だちで捕まったことのある人はいますか?」という風に聞いてみるのです。そうすれば、「対立するグループとしょっちゅうケンカしている人がいますよ」とか、「大麻を吸って、捕まったやつがいたな」などと教えてくれるはずです。
だいたい私たちは、自分とよく似た性格、よく似たライフスタイルを持つ人と友だちになりますから、もしその人の友だちに危ない人がいるのなら、その人自身も同じくらいの危なさだと見なすことができるわけです。
自分とまったく正反対のタイプと付き合う人もいるでしょうが、そういうケースは非常にまれです。素行不良の人は、素行不良の人と付き合いますし、がり勉タイプには、同じようにがり勉の友人がいるものです。
カナダのオンタリオ州にあるカールトン大学のカール・ハンソンは、66名の小児に性的ないたずらをして逮捕された人と、21名のレイプ加害者として逮捕された人に、どんな友人と付き合っているのかを尋ねてみました。
すると、小児に性的ないたずらをして逮捕された人は、同じように小児に性的ないたずらをする友人がおり、レイプ加害者には、同じようにレイプをする友人がいることがわかりました。
友人というのは、その人自身を映す鏡のようなもの。 したがって、相手のことを知りたいのなら、あくまでも「友人の話」としていろいろと質問してみればよいのです。
「窃盗で捕まった友人がいる」
「高校生のとき、器物破損で補導された友人がたくさんいた」
「詐欺グループに入っていた友人がいる」
もし相手がそのようなことを教えてくれるのなら、その人自身もおそらくは立派な危険人物であると見なしてよいのです。








