二度の"どん底"、飲酒運転の大型トラックに衝突され瀕死の重傷を負う、リーマンショックの影響で収入が途絶え家のローンも払えない...そんな状態を克服した本稿の著者ハル・エルロッドは、その自らの経験から、人生を成功に導くモーニングメソッドを構築、書籍化し、世界中の人々にその手法を伝えてきた。
本稿では、自分の状況をありのままに捉え、変えられないことをすべて受け入れ、「今が一番幸せ」と無限大に感謝しながら恵まれた人生を送るにはどうすればよいか、そのステップの一つ「感謝」について解説する。
※本記事は、ハル・エルロッド 著、鹿田昌美 訳『[新版]人生を変えるモーニングメソッド』(大和書房)の一部を再編集したものです
一瞬一瞬に感謝する
常に人生をあるがままに受け入れると、自分に変えられることにエネルギーを集中することができる。「それは変えられない」と本気で言える境地に到達するのが早いほど、心の解放が早まり、「内なる自由」が得やすくなる。
現実を受け入れることが「内なる自由」への扉を開く鍵だとすれば、感謝は「持続的な幸福」への扉だ。あなたは毎日、その扉をくぐり抜けるだけでいい。
理想的には、朝一番と寝る直前、その間にもできるだけ多くの感謝の時間を持つといい。
感謝していることに意識を向けると、気分が良くなる。
あなたは、1日のうちで感謝する時間はどのくらいあるだろう。逆に、1日のうち、嫌いなことや嫌いな人、将来起こるのではないかと心配していることについて、動揺したり不満を言ったりして過ごす時間はどれくらいあるだろう。
マイケル・J・フォックスは、最近のインタビューで、悪化し続けるパーキンソン病と共に生きることが、いかに困難で耐えがたいかについて語っている。
「これがどれほどまでに、人々にとって、そして私にとって、難しいことか理解しているつもりだ。しかし、私にはスキルがある。だからできる。感謝の気持ちがあれば、楽観主義を続けることは可能だ。感謝できる何かを見つけることができれば、楽しみにできる何かを見つけることができ、前進することができる」
繰り返すが、人生でもっとも困難で苦しい時期こそが、学び、成長し、進化する最大のチャンスだ。
「小さな感謝」は、何らかの肯定的な出来事や状況によって生まれる一時的な「感情」かもしれない。一方で、「大きな感謝」が意識そのもの(つまりあらゆる経験を通すレンズ)になると、これは革命的だ。
僕は、想像を絶する人生の危機に直面したときに、この区別がいかに重要であるかを実感した。
37歳のとき、僕は夜中に呼吸が苦しくなり、目を覚ました。左肺に水がたまり、心臓と腎臓が機能不全に陥ったのだ。さまざまな病院に何度も通い、救急室で夜遅くまで過ごし、肺から7回も水を抜き、医師に大いに混乱させられた後、僕はようやくMDアンダーソンがんセンターに行き着いた。
診断は、非常にまれで極めて悪性のがんである急性リンパ性白血病だった。生存率は20〜30%で、数週間以上生きられる可能性すら厳しいという。僕にはその当時、妻と7歳の娘と4歳の息子がいた。死亡確率が70〜80%だという通告はあまりにも恐ろしく、悲痛だった。
僕は考えに考えた結果、これまでの逆境を乗り越えるために学んだ人生の教訓に立ち返った。そして妻にこう伝えた。
「僕がこのガンを克服する20〜30%のうちの1人になる可能性は100%だと決めた。この先の治療過程のあらゆる段階で、これを揺るぎなく信じ続けるつもりだ」
僕は、人生をありのままに受け入れ、それと折り合いをつけることを決意した。そうすることで、心から感謝し、前向きで積極的な考え方を維持するために必要な余裕が生まれたのだ。
同時に僕は、不平を言ったり、自分を憐れんだりすることを拒み、自分史上最高の感謝の気持ちを持つことを意識的に選択した。そして、あらゆる瞬間に心から感謝することを選択できると気がついた―困難で苦しい瞬間も含めて。
そんな様子を捉えた実際の映像がある。僕のウェブサイトにあげたドキュメンタリー映画『The Miracle Morning』に、僕が号泣している場面がある。看護師が誤って僕の脊椎の神経に化学療法薬を注入し、片頭痛が止まらなくなり、11日間連続で拷問さながらの痛みに苦しんでいたときのものだ。耐え難い痛みにもかかわらず、僕はカメラに向かってこう言った。
「どれほど大変であっても、僕の考え方は変わらない。つまり、僕はこれらすべてに感謝している。なぜなら、人生が困難であればあるほど、学び、成長し、これまで以上に優れた人間になれるからだ。そして、学んだことや成長したことを使って、他の人に変化をもたらせる機会が増えるからだ」
逆境の真っ只中にあっても意識的に感謝することを選ぶと、逆境は力を失う。
僕は、650時間を超える毒性が強いと同時に命を救う化学療法(抗がん剤)と、数え切れないほどのホリスティック療法を経て、現在はありがたいことに寛解状態にあることを嬉しく思っている。
信じられないほどの困難にもかかわらず、この経験は最終的に、父親・夫・人間として成長する最大のチャンスとなった。この経験からは多くの貴重な教訓を得たが、なかでもとくに際立っている教訓がひとつある。
「感謝は苦しみから解放してくれる」ということだ。
人生が困難で苦しいときにこそ、「大きな感謝」を持つことが重要なのだ。
もっとも困難で不快で苦痛な瞬間も含めて、人生のあらゆる瞬間を感謝のレンズを通して解釈することができれば、あなたの人生にも革命がおこるだろう。
![[新版]人生を変えるモーニングメソッド 自由に機嫌よく生きている人が、毎朝していること。](/userfiles/images/book2/9784479798286.jpg)






