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生き方

医師が教える、心の疲労を軽減する「計画的な休み方」

菅原道仁(脳神経外科医)

2025年11月26日 公開

医師が教える、心の疲労を軽減する「計画的な休み方」

どれだけ頑張っても集中力が続かない、休んでも疲れが取れない...そんなときは、働き方と休み方のバランスを見直すサインです。1時間に数分の休憩を入れるだけで、脳のパフォーマンスは大きく変わります。さらに、休日の過ごし方を少し工夫するだけで、心の疲れも軽くなります。疲れをためない休み方を書籍疲れを『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』より紹介します。

※本稿は、菅原道仁著『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

1時間に5〜10分は休憩する

「忙しすぎ」は考えものです。つねにしゃかりきになって働いていたら、脳が疲弊しきってしまいますし、「あれをやらなきゃ」「これを終わらせなきゃ」という心理的圧迫を受け続けていたら、心が休まる暇もありません。休みはしっかりとりましょう。

働き者の日本人はとにかく休むのが苦手で、「やれるところまでやる」「ひと区切りついたら休む」というように、仕事が落ち着かないと休みに入れない(入らない)働き方を基本としています。

これは一見、仕事がスピーディーに進む印象を受けるかもしれませんが、そうとは限りません。休まないことによって集中力が維持できず、かえって効率を悪くしてしまう可能性があるからです。

「休憩を入れたほうが仕事がはかどる」というケースは、往々にしてあります。1日のうちの短時間の休憩から、長期休暇に至るまで、すべて同じことがいえます。

2023年のGDPのランキングで日本よりも上だったドイツは、あらかじめ休む日や期間を決めておき、そのタイミングが来たらどんなことがあっても、みんな休みに入るそうです。お国柄が違うとはいえ、見習うべき点はあるかもしれません。

本項でみなさんにお伝えしたいのは、「短時間の休憩のススメ」です。

人間の集中力は、継続して15分、それを3セット繰り返して45~50分あたりで限界を迎え、休憩を挟まないとリセットされないといわれています。休憩せずに数時間も仕事に没頭していたら、効率よく進められるわけがありません。その仕事に専念しているつもりでいても、100%の力を注入することはできていないのです。

職種や職場の環境によっては難しい人もいるでしょうが、できれば15分に1回は首を回すなどの軽いストレッチや深呼吸をするショートブレイクを、1時間に1回は5〜10分程度の短時間の休憩を入れるようにしてください。疲れをためこまず、仕事を効率よくこなすためには、それがベストなのです。

 

休日は「自分にとって楽しい」時間枠をつくる

前項でお伝えした短時間の休憩は、日々の仕事の際に作業をいったん止めることが基本なので、休みのタイプとしてはパッシブレストに該当します。

これに対し、土・日・祝日などの通常の休日、そして年末年始、ゴールデンウィーク、お盆などの長期休暇はアクティブレストを実践する絶好の機会です。楽しいことに全力で取り組んで、体を動かしながら脳を喜ばせてあげるに限ります。

休みに入ってから「何をするか」を考えるのではなく、できれば前もって計画を立てましょう。行き先や移動手段、やること、食べるものなどを考えると、胸が躍ります。これは、快楽ホルモンのドーパミンの分泌が活性化されるからです。ドーパミンはタバコやギャンブルなど依存性の強いものへの執着心を高めるリスクがありますが、休みは安全ですし、人間にとって必要なものなので問題ありません。

休日の過ごし方のプランを前もって考えることが、心の疲労を取り除き、仕事で生じるストレスを和らげてくれます。

よって、長期休暇における旅行の計画などは、なるべく早く立てるようにしましょう。休みが訪れるまでの間は、ずっと期待感を持つことができますし、計画に具体性が出てくれば出てくるほど、それを高いレベルで保つことができます。

注意点として挙げたいのは、ドーパミンの刺激は今現在経験している喜びではなく、将来に対する期待によってより強まることです。そのため、休日の後半になると、ネガティブな感情がおのずとわき上がってきます。

それを回避するために、休みの後半は必ず「次の休みには何をするか」を考えるようにしてください。

日曜日の夜であれば、翌週の土・日にすることを、長期休暇の終盤であれば、次の長期休暇で旅行する行き先の候補を、なるべく具体的にイメージすれば、心にたまる疲れを少なからず軽減することができます。

 

プロフィール

菅原道仁(すがわら・みちひと)

脳神経外科医

1970年、埼玉県生まれ。杏林大学医学部卒業後、国立国際医療研究センター、北原国際病院などに勤務。くも膜下出血や脳梗塞といった緊急の脳疾患を専門として、数多くの救急医療現場を経験する。2015年に菅原脳神経外科クリニック(東京都八王子市)、2019年に菅原クリニック東京脳ドック(東京都港区赤坂)を開院。「人生目標から考える医療」のスタイルを確立し、からだのことだけでなく、心や生き方もサポートする医療を行なう。著書に『すぐやる脳』『あの人を、脳から消す技術』(ともにサンマーク出版)などがある。

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