誰も思いつかなかったようなアイデアでも、その元となる「発想の種」は、身近なところに転がっているという。では、それにどう気づき、どう育てればよいのだろうか。あの「スイカゲーム」を開発した連続起業家・程涛氏の著書より、「発想の種」に気づくためのコツを解説する。
※本稿は、程涛著『道具としてのアイデア』(日経BP)より一部抜粋・編集したものです。
個人的な体験から発想の種を探す
すべての独創的な発想は、個人的な体験から始まります。
しかしそれは、必ずしも劇的な出来事である必要はありません。日常の小さな違和感、ちょっとした不便さ、「なんでこうなっているんだろう?」という素朴な疑問......。そうした原体験が、「独自の発想」の出発点です。
私の場合、「popIn Aladdin」の発想の原点は、子どもの誕生でした。
親として「自分は子どもに何を提供できるだろうか?」という問いが頭から離れなくなったのです。「自分の価値観を子どもに押しつけたくはない。でも、何かしてあげたい」「本人に自分なりの幸せの価値観を持ってもらいたい」と。
この一見、矛盾した問いを突き詰める中で生まれた発想の1つが「プロジェクターが投影した大画面で、自然と子どもの世界観を広げるプロダクトを作る」でした。
それが「popIn Aladdin」になっていったのです。
「スマートバスマット」は、2つの経験が発想の原点にあります。
1つは、父が急に亡くなったときのことです。その直前、明らかに不自然なやせ方をしていました。もっと早い段階から体重の減少に気づいていれば、という後悔。もう1つは、私自身、30代半ばから仕事が忙しくて健康診断の結果が悪くなり、ダイエットとリバウンドを繰り返していた時期に覚えた違和感。個人が自分の健康を管理する上で、体重は重要なデータです。
しかし、どうして毎日体重を確認する必要があるのか?
体重の増減がストレスで、体重計に乗ること自体が嫌になっていきます。
ストレスを感じず、日々の変化や傾向を把握できる方法があればいいのに......。
そんな実体験からくる問いが、「スマートバスマット」へとつながっていったのです。
発想力は天才たちだけが持つ、天賦の才ではありません。
個人的な体験に目を配る意識があれば、誰でも日常的なトレーニングによって確実に向上させることができます。
発想の種に気づく力を磨くトレーニング
発想力を磨く方法としておすすめなのは、「違和感メモ」の習慣。
仕事や日常の違和感、不便を感じたこと、非効率を感じたことをメモに残します。
制約は一切つけず、思ったままの感情、その場で思いついた打開策、効率化の切り口などを「1行だけ」書き残します。
残す先はメモ帳でも、スマホのメモアプリでも、音声メモでも構いません。
ただ写真に撮っておしまいにするのはやめましょう。
大事なのは自分の言葉で言語化すること。
つまり、「1回、自分の頭で考える」というプロセスを設けるのがポイントです。
さらに重要なのは、「振り返りの時間」を持つこと。
週に1回程度、メモを見返して「自分だったらどうするか?」と考える時間を作る。
すると、違和感や気づきがアイデアとして育っていきます。
これが独自性、独創性のある発想の種を探すトレーニングとなります。
メモの習慣が定着すると、副次効果として、「自分がどんなことに関心を抱きやすいか」もわかってきます。
私の場合は「家にあるもの」「家族が使うもの」の中に違和感や、不便を感じやすいにことがわかりました。







