お笑いコンビ・納言の薄幸さんが、初のレシピ本『納言・幸の今夜もやけに旨いレシピ』(辰巳出版)を刊行しました。一人暮らしの中で身につけてきた自炊の工夫や感覚をもとに、家にある食材でさっと作れるレシピが並びます。
料理は、薄幸さんにとって特別な趣味というより、生活の延長にあるもの。長い一人暮らしの中で培ってきた感覚は、料理だけでなく、人との距離の取り方や日々の過ごし方にも表れています。
今回は、レシピ本の話題を入口に、一人暮らしの楽しさと寂しさ、人間関係との向き合い方、そして「無理をしない」生き方について、薄幸さんに話を聞きました。
一人暮らしが長いけど未だに寂しい
――17、18歳で一人暮らしを始めたそうですね。そのときの気持ちは?
【幸】もう楽しかったです。ワクワクしかなかったですね。不安はあんまりなかったです。
お金の面だけはちょっと厳しかったですけど、めちゃめちゃ楽しかった。一人暮らしは今でも楽しいです。
――一人暮らしのどんなところが楽しいですか。
【幸】全裸で一日過ごしても怒られないとか、長い時間トイレに入っても怒られないとか。
お風呂に入らなくても怒られないし、同じものを何日も食べてもいい。自由なのが楽しいですね。
ただ、一人暮らしは好きですけど、人といるほうが好きなんです。一人の時間はそんなに要らない。
2、3日一人でいると、もうおかしくなっちゃう。
――その寂しさは、消えないものですか。
【幸】寂しさはずっとありますね。17、8歳の頃から今まで。
むしろ今のほうが寂しいかもしれない。仕事で人と接する時間が増えた分、人といるのに慣れちゃったので。
――寂しさを感じたときは、どうしていますか。
【幸】誰かしらと連絡を取ることが多いです。ただ、仕事の都合で飲みに行かないほうがいいなっていう日が続くと、やっぱり寂しくなります。
――お酒は普段どれくらいの量を飲まれますか。
【幸】どれくらいかは難しいですけど、一回に350mlを10本くらいですかね。時間があればですけど。
――本の中で、「一人で飲むのはあまり得意じゃない」と書かれていましたよね。
【幸】うーん。人と飲むほうが好きですね。圧倒的に。
最近になって、Netflixとかを見ながら一人で飲むのも楽しいなって思うようにはなりましたけど、それでも全然、人と飲むほうが楽しいです。友達と飲むほうが。
――みんなで飲む楽しさって、幸さんにとってどんなところにありますか。
【幸】楽しいけど、何を話してたか、全然覚えてないんですよ。覚える必要のない会話しかしてないのかもしれません。
内容のない話もしますし、「このアンケートどうしよう」とか、「次この番組初めて行くんだけどどうしたらいいですか」とか、仕事の相談をしたり、されたりもします。
誰かと飲むとそういう仕事の話も結構するので、勉強になるなと思います。
「ネガティブばっかりな人、大嫌いなんですよ...!」
――幸さんは人見知りとのことですが、飲み仲間は多い印象があります。
【幸】芸人とは仲良くなれますね。人見知りとはいえ。
番組で共演して、「今度飲みましょうよ」って言われることがあるんですけど、そういうのは逃がさないですね。
「飲みましょう」で終わらせずに、「じゃあ行きますよ、連絡先教えてください」って必ず一回は誘います。
――社交辞令をそのままにしない。
【幸】社交辞令が嫌いなんです。
テレビだけの薄っぺらいやつが好きじゃないので、「じゃあ行きましょう」って踏み込みます。
――そこから輪が広がっていくんですね。
【幸】あとは、仲のいいオズワルドの伊藤は顔が広いので、そこから新たな芸人仲間や、他ジャンルの人と知り合ったりすることはあります。
――人間関係で、意識していることはありますか。
【幸】「この人好きじゃないな」って思ったときは、喜怒哀楽を全部殺してしゃべります。
良くも悪くも思われないように。
嫌われる必要もないし、好かれる必要もない。10代の頃から、苦手な人とはこの関わり方をしていますね。
友達は多いですけど、薄い関係の人はいっぱいいます。本当に好きな人、深い関わりの人は多くないです。
――あまり関わらなくていい人とは、距離を取るんですね。
【幸】無にします。自分を守るために変にムカつかないようにしてます。
できるだけ、相手の印象にも残らないようにします。
あの、実は、すごく好きじゃない人が一人いて。芸能関係じゃないんですけど、すごく懐いてくれていて......誘われたら10回に1回くらいは今でもご飯に行っちゃうんです。
――断れないということですか?
【幸】断れないですね......。
――優しすぎませんか??(笑) その方は、どんなお話をするんですか。
【幸】マイナスの話しかしないんです。
「彼氏と別れちゃって」「なんで私だけこんなに不幸なんだろう」ってずっと話される。
一緒にいると運気悪くなりそうだなって思います。
――ネガティブな話が続く。
【幸】ネガティブばっかりな人、大嫌いなんですよ...!
私も悩みはあるけど、みんなあるのに、なんでお前だけ?って思います。
――相手に怒ったりはしないのでしょうか?
【幸】感情を押し殺して、ニコニコしながら「そうだね」って言ってるだけです。
怒らないし、共感もしない。
そのほうが自分のストレスにならないので。
それでも懐いてくるってことは、周りに人がいなくなってるんだろうなと思います。
――もしその方にズバッと言えるとしたら何と言いますか?
【幸】「このままだと一人になるよ。一人で死ぬことになるけど大丈夫?」って言いたいです。
まあ、直接は言えないですけどすね...。
自分を出せないことは、短所ではない
――芸人になる前、俳優を目指していたと過去にメディアで話していましたね。その頃と今、どちらが自分らしいですか?
【幸】今のほうが自分らしいです。
芸人になりたての頃はキャラを作ってましたけど 、納言を組んでからは、自分のままいけるようになったと思います。
――ありのままを出すことに、抵抗はなかったですか。
【幸】タバコも酒も好きで、好きなことを勝手にやってたら、それを笑ってもらえた。
普通に好きなことしてたら、それが仕事になっただけ。
抵抗というより、ラッキーだなって。
――仮に、いま目の前に自分を出せなくて悩んでいる人がいたら、何と声をかけますか。
【幸】別に自分を出さなくてもいいと思います。
嫌われたくないって思うから自分を出せないのであれば、相手のことを考えられる"大人な人"ということだと思うので、それは短所じゃない。
逆に、自分を出してばかりの人は、自分勝手なところもあるのかなと思います。
嫌われないようにうまく立ち回れるのも才能だと思います。
――最後に、今の幸さんにとって大切だと思うものは何ですか?やっぱりお酒ですか?
【幸】酒も大事ですが、これからは健康もですね。
30歳を超えて、今年入院したりして、健康第一って身に染みました。
酒とタバコを減らしたくないので、その分、野菜を食べたり、寝不足にならないようにしたりしてます(笑)。
――好きなものを減らさないために。
【幸】はい。好きなものを続けるために。








