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生き方

「抱え込みすぎ」で限界な人へ 自分を守ることが“周囲の信頼”に繋がる逆転の働き方

渋谷亜也(一般社団法人日本接客アドバイザー協会名誉顧問)

2026年03月16日 公開

「抱え込みすぎ」で限界な人へ 自分を守ることが“周囲の信頼”に繋がる逆転の働き方

「断れない」という責任感から、気づけばキャパオーバーになっていませんか?

一般社団法人日本接客アドバイザー協会・名誉顧問の渋谷亜也さんは、著書『ヒトもAIも仕事は"引き受け方"が9割』にて、仕事を抱え込みがちな"やさしい人"が、自分をすり減らさずに信頼を築くためのメソッドを提案します。今回は同書より、無理な引き受けが招くリスクと、自分を守ることが結果的に相手の信頼を守ることにつながるという「逆転の発想」についてお届けします。

※本稿は、渋谷亜也著『ヒトもAIも仕事は"引き受け方"が9割』(インプレス)より一部抜粋・編集したものです。

 

頼まれるのは嬉しい。けど、苦しい。

あなたの優しさが、現場を静かに支えている。その姿を見て、自然と声をかけてくれる人たちがいます。「○○さん、これお願いできますか?」と、同僚や上司、クライアントから声がかかります。

それは、間違いなく信頼されている証拠。嬉しい瞬間でもあります。けれど、その″信頼″は時にあなたの負担と背中合わせです。気がつけば、お願いを断れずに引き受け続け、いつの間にかパンク寸前(あるいは、もうパンクしてしまった)......そんな経験はないでしょうか。

「期待してくれているのに、断るなんてできない」「誰かにお願いするくらいなら自分でやる」「人に教える時間がもったいないから、自分でやった方が早い」「そもそも″断る″という選択肢が自分の中にない」──そんな理由で抱え込んでしまう人も多いのです。

何を隠そう、私がこれでした。人に教える時間がもったいないから、自分で手を動かす。自分がちょっと頑張れば終わるだろう。でも、ここでひとつ大事なことを。「頼まれたら断れない」の背景には、「優しさ」や「責任感」があるけれど、それが結果的に他人にも自分にも負担になることがあります。

「断ることは冷たさではなく、長く信頼を守るためのスキル」ですし、会社という組織の中で動く上では、仕事の進め方・実行方法を共有できていることで、属人化が防げます。「〇〇さんが休みだから、この件を進められない」「担当が休みでわからないから、電話しよっか」となると、休日でも仕事場からの連絡があって、気持ちが休まりません。

断るのが怖い、という気持ち、めちゃくちゃわかります。でも、キャパ以上の無理をして引き受ける方が、結果としてみんなが不幸になります。一番は、抱えすぎて自分が潰れることを避けてほしい。自分もそうなったことがあるので、少なくとも本稿を読まれている方には、潰れてほしくないのです。

「頼みやすい人=何でも引き受けてくれる人」だと周囲に思われると、依頼がどんどん増えていきます。最初は″信頼″だったものが、気づけば″都合のいい存在″になってしまう。これでは本末転倒です。

・依頼が雑になってきて、こちらから聞くことが増えることにより、コミュニケーションコストが増える
・他の人からも頼まれるようになって、手が回らなくなる

結果、引き受ける側の負担がどんどん増えていきます。

抱えるタスクが多くなると
・気持ちに余裕がなくなる
・普段できていることができなくなる
・小さいところを見落とす

こうして、自分の仕事のクオリティが下がってくる要因が増えてきます。

たとえば、メールやチャットの返信が遅れてしまったり、本来なら確認すべき資料の誤字脱字を見落としたり。些細なことの積み重ねが、信頼を損なうことにもつながってしまいます。

「断れるなら断ってるって!」という、ここまで読みすすめた方の悲痛な心の叫びが聞こえます。決して、優しくて、責任感のあるあなたのことを責めているわけではありません。私自身も、当時はそう思っていました。心をすり減らしてまで、仕事に全身全霊を突っ込まなくていいんです。仕組みを利用して、メンタルを削らずに仕事をする方法を一緒に構築したい、そんな思いで執筆しています。

 

「自分を守る=信頼を守る」という逆転の発想

頼まれごとを何でも引き受ける、イコール信頼される、というわけではありません。明確に線を引いて断ることも時には必要です。ただ、最初にお願いされた段階で、私を含む「断ることが苦手な人たち」は「じゃあ一旦引き受けよう」という気持ちになりがちです。

そんな時のための魔法の言葉は......「確認するので、一旦預からせていただけますか?」これです。

初手で「無理です、できません」と断るのではなく、「前向きに検討したいので、時間をください」というクッションです。自分のタスクを何らかのツールで可視化している方は、そこの内容を確認して「課長から依頼されているこの仕事と、〇〇さんから依頼されてる仕事の納期とバッティングするな」「もしこの仕事を優先させるなら、〇〇課長に確認が必要だな」とわかり、関係者に納期交渉ができます。

こうして自分のスケジュールと照らし合わせることは、単に効率化ではなく″自分を守る″行為でもあります。無理に詰め込んで燃え尽きるよりも、きちんと優先順位を立てて交渉するほうが、結果的に信頼を守れるのです。本当にお願いしたい案件の場合はそこで納期調整をしてくれますし、他の人でもできることなら、他の人に頼むように動いてくれます。

とはいえ、最初からうまく交渉できる人は多くありません。「断られたらどうしよう」「迷惑に思われないかな」と感じるのは当然です。でも、事実を整理して伝えるだけでも十分。あなたの現状を事実として共有することが、相手の理解を引き出す第一歩です。

こちらが状況を整理して伝えると、依頼者も「どこを頼むべきか」「自分のほうで整理したほうがいいところはどこか」と、全体像をつかもうと動いてくれることがあります。本来は、依頼を出す前に内容を整理してから渡してもらえるのが理想です。ですが、現実にはそこまで余裕のある人ばかりではありません。だからこそ、自分の側で「依頼を受け取った時に整理する」仕組みを持つことが重要です。

最初は少し時間がかかりますが、タスク整理のスキルは確実に上がります。結果として、人に依頼する時や教える時にも、内容を整理して渡せるようになり、巡り巡って時間の節約になります。

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