どうすれば億万長者になれるのか? 富裕層になるための王道を示した一冊
2026年03月05日 公開
ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。
こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。
今回、紹介するのは『億までの人 億からの人 ~ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド~』(田中渓著、徳間書店)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。
億万長者を目指す王道を示した珍しい作品

億万長者を目指したいですかと聞かれたら、答えに困る人が多いかもしれません。金の亡者だと思われたくない、お金に対する嫌悪感など、日本ではお金をたくさん稼ぐことに後ろめたさのような感覚がある人もいます。
ただ、お金があれば好きなところに旅行できますし、記念日のディナーも行けますし、子供の教育の選択肢も増やすことができます。豊かに過ごすのもいいですし、自分の成長や体験にお金を使うということもあるでしょう。つまり、お金はあるに越したことはないものと一旦考えてみます。
ではどうすれば億万長者になれるのでしょうか。本書はその問いに正面から答えています。誰でもなれるというような形で読者に寄り沿いすぎず、ストレートに億万長者の姿が示されていることが本書の重要な価値だとも感じます。発売後、大きな反響があり、読者が選ぶビジネス書グランプリ2026の総合グランプリ&経済・マネー部門のW受賞に輝いた一冊です。忖度なく語られる億万長者の姿について、次の章から紹介していきます。
富裕層になる2つのルート
富裕層になる道のりでまず意識すべきは、給与以外の収入がゼロではリスクが高い、と言われていることです。勤めている会社の業績が悪化することもあり得ます。また、現金貯金の場合はインフレにより資産価値が劣化する可能性もあります。つまり、貯金をしているだけだと、リスクに継続的にさらされているとも言えるのです。
富裕層になる典型的な2つのルートは、「金融エリート系」「ベンチャー経営者系」と言われています。どちらもイメージしやすいですね。金融エリート系は外資投資銀行などの金融機関で経験を積んだ後、ヘッジファンドなどにキャリアアップする、いわゆる高収入と言われる会社に勤める人たちです。多くの人は高学歴で、多言語を使いこなし、読書などを通じて継続的に学ぶという、ピカピカのレールの上を高速で走り抜けている人、という印象で概ね間違いはなさそうです。
もう一つのルートである「ベンチャー経営者系」はもっとわかりやすいでしょう。著者によると20代後半から40歳くらいで若くして成功している人が該当します。私はこれに利益がしっかり出ている中小企業オーナー(多くは100%の株式を保有)も該当するように思います。
後者の年齢層は主に30代から60代で比較的幅広い印象があります。ベンチャー経営者系の人がたどるのは成功するまでは大きな収入はないものの、長年の努力を経て成功に至るような道になります。経営者の数だけパターンが分かれ、レールはどこにもないため、自分で目指す地点を定めそれを実現する道を進む、いわゆるストリートスマートと言われる人たちです。
そのどちらのルートにも共通するのは、意思決定を他人に委ねない、ということだそうです。金融エリートから投資家になる方も、ベンチャー経営者も、ほぼ全員が自分で意思決定を行う人だという印象があります。
億万長者になるために、リスクをどのようにとるべきか
2つのルートにより一定の収入を実現したとしても、十分な資産を築いてから投資をするというプランでは億万長者になるには相当長い道のりになりそうです。
その道を短縮するためには、リスクを取って資産を増やしていく必要があると述べられています。自分だけではなく資産にも稼いでもらうダブルインカムを実現させます。その際に注意すべきはとっていいリスクととってはいけないリスクがあるということです。
ここでは、金融機関からの借入をイメージしてみます。不動産を保有するケースを想定すると、会社員としての安定した給与があれば、比較的ローンが組みやすいという会社員の武器が使えます。例えば駅近などの条件が整った良質な物件が見つけられその投資であれば、とっていいリスクだとされています。築年数が30年という物件でも、メジャーなエリアで駅から徒歩5分以内であれば、利便性の良さから空き室の心配はおさえられます。
一方で、株式の信用取引やメジャーでないエリアの不動産などの投資はとってはいけないリスクにあげられることが多いといいます。ここで大きな失敗をすると再起に時間がかかり、場合によっては資産を処分しても負債が残る可能性があるため、慎重に考えるべきリスクと言えそうです。
なお、貯金をこつこつするのが低リスクとも言えないことにも注意が必要です。視点を変えると日本円にフルベットしているとも考えられることから、インフレや円安のリスクにさらされることになります。ある富裕層は1,000万円以上は現金で持たず、それを超えた分は投資をすると決めたことが、資産形成のターニングポイントになったといいます。
とるべきリスクをとり、自分自身で意思決定を繰り返すことが、億万長者への近道です。もちろん投資にはリスクが常にあるものなので、意思決定をする最終責任を負える覚悟は各自で持ち合わせる必要はあるでしょう。
手段としての億万長者であり、目的ではない
本書からは著者が飛びぬけた習慣化能力の持ち主であることも伝わります。毎日3時45分に起き、様々なトレーニングと仕事の整理を同時に行い、自己研鑽にも励み続ける姿勢には学ぶところが多いはずです。また、億万長者には豊富な人脈があることも多いのですが、そのような方々がいかに毎日の学びから、周りの億万長者に対して価値のある話をできるように準備しているかもわかります。
そして、著者自身の経験として、収入が増えた当初はブランドもののファッションで固め、高級品を好んで買うことをしたといい、次第にそれ自体への興味がなくなったそうです。その後、必要なものや自分を幸せにする対象へのこだわりにシフトしていく様子も描かれています。
身の周りの億万長者を観察して気づくのは、特に家柄が良い教育熱心な家の子供は、日常ではユニクロなどの着やすい服を着て、近くのスーパーで買った動きやすい靴を履いていることです。このようなことはドラマなどでは描かれないため、意外に思われることかもしれません。おそらくどこかの過程で、承認欲求が満たされるかその基準を超えて、親自身が自分自身の判断基準で生きるようになるからではないかと思います。
そもそもお金は選択肢を与えてくれるもので、幸せを保証するものではありません。それぞれの人の幸せにとって本当に何が大切で、何に時間を使うべきなのか、ということも真剣に考えておきたいことです。お金自体も嫌煙する必要もなく、多角的に自分の人生を見つめ直すこともまた必要でしょう。
世界で最も影響力のある投資銀行と言われているゴールドマン・サックスに17年勤めた著者だからこそ断言できる行動指針や価値観が豊富に掲載された作品です。億万長者になりたい人も、自分磨きを追求したい人も目を通しておきたい一冊と言えるでしょう。







