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罪悪感と不安がふくらむ「やってはいけない休み方」 心の回復に必要なことは?

関屋裕希(東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員)

2026年07月13日 公開

罪悪感と不安がふくらむ「やってはいけない休み方」 心の回復に必要なことは?

休むことに、焦りや罪悪感を感じてしまう...それはなぜなのでしょうか。自分にとって充実した、意味のある時間を過ごすためには、まずその感情に向き合うことが大切です。本稿では、書籍『自分に優しい時間の使い方 仕事が終わらないのはだれのせい?』より、自分にとって本当に大切な時間を生きるための、感情との付き合い方を紹介します。

※本稿は関屋裕希著『自分に優しい時間の使い方 仕事が終わらないのはだれのせい?』(日経BP)より一部を抜粋・再構成したものです。

 

感情とつきあえるようになれば、自分にとって大切な時間を生きられる

時間の使い方を考えたときに罪悪感や自責感、焦りや不安と向き合うことが、実はとても大切です。

これらの感情は、できれば避けたい、感じたくないものかもしれません。けれど、こうしたネガティブな感情は、私たちにとって、大切なサインでもあります。

たとえば、罪悪感は、自分の中にある価値観に気づかせてくれる感情です。自責感は、自分の行動や選択を振り返る内省のきっかけにもなります。焦りは、これから起こる未来への備えが必要だと教えてくれるアラートでもあります。

ただ、休むことへの罪悪感が、「生産的であるべきだ」と社会の価値観が自分の中に移されたためのものであったり、焦りは不要にあおられたために生じている場合もあります。

罪悪感を紛らわすために、無理に何かを始めようとしたり、自責感に耐えられずタスクを抱え込んだり、焦りを感じた瞬間スマホでSNSをスクロールして気をそらすなど、一時的に安心感が得られる行動は、実はその行動自体が、より一層罪悪感や焦り・不安を強めることにつながります。

痛みをともなうこれらの感情に気づいたら、まずは、ただその感情があることに気づいて、そこにとどまってみましょう。

「今、罪悪感を感じている、すぐに休憩を終わりにして、パソコンを開きたくなっている」

まずは、このことにただ気づくだけで十分です。

SNSで他者の成功や充実を日々目にしていると、自分だけが止まっているように感じられて、「取り残されたくない」と、もっと何かしなければと焦って動きたくなります。

しかし、本当に大切なのは、何かに乗り遅れないことではなく、自分にとって意味のある時間を生きているかということです。

社会や誰かの基準に合わせて、罪悪感を感じたり焦るのではなく、まずは、ただこれらの感情があることに気づいて、自分のリズムや歩調を取り戻すことが大切です。

回避や過剰な行動に走るのではなく、感情を抱えたまま、その場にとどまること。

これは、遠回りなようでいて、優しい時間の過ごし方に近づく一歩です。

まず、自分の感情に気づいて、留まることを心がけてみましょう。

 

罪悪感とのつきあい方 もとになっている価値観を探る

まず、罪悪感を抱いている自分に気づいたら、罪悪感のもとになっている価値観を探ってみましょう。

罪悪感は、自分の行動が社会的な規範や期待に反したときに生まれる感情です。

つまり、何らかの「こうあるべき」に反した自分に対して感じる感情です。

たとえば、「今日は1日家にいて、何もしなかった」ということに罪悪感を覚えるとしたら、それは「常に何かをしていないといけない」、「何もしないのはなまけていること。なまけてはいけない」といった価値観が根底にあるかもしれません。

ここで大切なのは、「その価値観は、今の自分にとって本当に大切にしたいものなのか?」と見つめ直すことです。

「自分の軸」と照らし合わせてみることも役に立ちます。

その価値観は、どこからきたものでしょうか?

子どもの頃、親や先生に言われた言葉かもしれません。職場やSNSの空気感に影響されているだけかもしれません。

もし、それが自分の意志で大切にしたいものではないと気づいたら、「これは外から取り込んだ価値観だったんだな」と手放す練習をしてみてください。

罪悪感がすぐに完全に消えるわけではないかもしれませんが、どこからきているのかを知るだけで、罪悪感にかられて行動する、といったループからは一歩抜け出せます。

 

プロフィール

関屋裕希(せきや・ゆうき)

東京大学大学院医学系研究科デジタルメンタルヘルス講座 特任研究員

博士(心理学)・臨床心理士・公認心理師。早稲田大学文学部心理学専攻卒業、筑波大学大学院人間総合科学研究科発達臨床心理学分野博士課程修了後、2012年より現所属にて勤務。働く人のメンタルヘルスを専門に、研究・カウンセリング・企業支援を行う。学生時代は、マインドフルネスを専門とする研究室に在籍し、大学院時代は感情の研究を行う。現在は、ポジティブ心理学、組織心理学、認知行動的アプローチ、マインドフルネス等をベースに、ワーク・エンゲイジメントやウェルビーイング向上プログラムを開発。現場で多くの「ちゃんと休めない」、「時間に追われる」悩みに触れる中で、時間を“効率”だけでなく“体験”として整える重要性を探究している。著書に『感情の問題地図』(共著)、『モチベーションの問題地図』(いずれも技術評論社)ほか。

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