「人間観察」と「妄想」が好き YouTuberいけちゃんのアイデアが尽きない理由
2026年08月04日 公開
国内外問わずさまざまな地域を旅する様子を発信し、YouTubeの登録者数は80万人を超えるいけちゃん。「この仕事はまさに天職」とのことで、これまでに投稿した動画の本数は700本にものぼります。
なぜそれだけ人々を惹きつけられるものを作り続けられるのか――本稿では、いけちゃんがどのような人物なのかを紐解いていきます。
※本稿は、いけちゃん著『わたしは猫のように生きたい。』(クロスメディア・パブリッシング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
映画を観るように
猫が突然、虚空を見つめて、気配に反応したり、人間の背後を見つめていたりすることがあります。わたしは、猫も人間と同じように、いろいろなことを妄想しているのではないか?と思うのです。
わたしは夜の公園でひとり、お酒を飲みながら人々を観ているのが好きです。意識しなければただの景色ですが、そんな自分の視界に勝手に入ってくる人々、家族づれ、カップル、老人......それぞれの人生や背景を「妄想」するのが好きです。
「あの人は、おみやげをもっているけど、これから誰かのいる家に帰るのかな?」
「単語帳を見ている学生は、受験間近で必死になっているんだろうなぁ」
「小さい子連れのお母さんは、今日の夕飯の献立で頭がいっぱいかもしれないなぁ」などなど。
「妄想」も、その一瞬だけを切り取るだけでなく、その後の物語をつむぐことで、わたしの頭のなかでひとつのストーリーができあがります。もちろん、その人間観察に答え合わせはなく、勝手に作り上げたストーリーなのですが、そんなとりとめのないことをボーッと考えている時間が、わたしはたまらなく好きなのです。
ちなみに、電車に乗っていると、みんなスマホの画面に没頭していますよね。その画面もそっとのぞいて妄想の一助にしています。(勝手に覗かないほうがよいのですが......)
雨の日は...
雨の日が3日続くと、わたしの生命力は地に落ちます。旅先ならいったん東京に帰るし、東京ならすぐに晴れている地域を検索して次の旅程を組みます。そのくらい、雨によってスケジュールを変えています。
どうしても雨の地域にいなければならない日は超省エネモード。猫のようにじっと身を潜めてゆっくりと過ごしています。基本的に何もしません。(できない)
気休め程度に漢方で五苓散を飲んでみますが、本当に気休めです。ベッドでゴロゴロしながら、晴れている地域のことを考える。(それこそ、雨の降らない国への移住を考えるレベル)
地図を見ながら、この離島には「お店が1軒しかないんだ」「交通手段はレンタカーかバスがいいかなあ」「何が名物料理なのかなあ」など調べつつ考えを巡らせている時間が楽しいです。下調べの段階で、もう行った人と同じレベルで喋れるくらい調べ尽くすこともあります。
旅の行き先は、天気予報とグーグルマップで決めます。行ったことのない場所にはとりあえず行く。うつ病で体が思うように動かなかった時代や、田舎で育った反動なのかもしれないです。
その点では、わたしは上京して10年近く経ちますが、まだ東京が楽しく、朝起きて東京の自宅にいると「今日はどこに行こうか?」とテンションが上がります。東京では、誰も自分に関心がないし、日々目まぐるしく街も人間も変化していて面白いです。
遊びの創造
わたしは遊びと仕事の境界線がありません。ありがたいことに、遊んでいて得られた知識やエピソードは仕事として昇華させてしまうし、そもそも旅も遊びといえば遊びです。仕事なので旅をしているかといえば、そうでもありません。動画投稿をする前から、意味もなく山手線全駅で降りたり、街を開拓したりしていました。
他にも、東京中の飲食店にフライドポテトだけを食べに行ってみたり(しっとり派とカリカリ派に分かれる)。喫茶店の硬いプリンだけを集めたインスタアカウントを作ってみたり(すぐ飽きた!!)。階段中毒になって、毎日より好みの階段を探してみたり。こんな意味の分からない行動に夢中になってしまいます。
この尽きることのない好奇心がプラスに働くYouTuberという仕事は天職です。(動画を撮らない旅行をしていても、そこで見たこと・知ったことを誰かに共有せずにはいられない)
いつまで続けることができるか分からない仕事ですが、続けられるところまで続けたい。おばあちゃんになっても、この仕事(遊び)をやっていたいなぁと思っています。
現在、日本人が行くことのできない場所を調べるのが好きで、いつかイエメンのソコトラ島に旅行するのが夢です!!
ひげで物の幅を測る
猫とは違い、人間は自分の経験の範囲内でしか物事を判断できません。つまり、経験によって自分の判断が変わります。
学生の頃はとくに、家庭環境や生まれた環境、その時の小さいコミュニティーで視野が狭くなります。学生時代から自分の意思を強く持ち自分で全ての選択が正しくできる人間は稀です。
猫のヒゲのような、生まれつきの感性は備わっていません。だからこそ、人間はできるだけ多くの経験をすべきです。旅行も同じ理由で、なるべく沢山すべきです。ありきたりですが、旅をすると本当に世界の広さに衝撃を受けます。
例えば、私は大学時代にアルバイトが上手くいかないだけで人生に絶望していたのに、海外に行くと、普通にお店の人がスマホをいじりながら接客していたり、商品の上で寝ていたりします。こんなことあり!?と思わされます。アリなんです。場所が変われば。自分が持っている価値判断のものさしは常に調整が必要で、すぐに歪んでしまいます。
わたしは上京したことで自分のものさしが全く正しくないことに気付きました。地方での常識が、東京では全然通じない。秋田にいた頃は、会社員しか仕事が思いつかなかったし、一度社会のレールから外れたら、もうどうしたら良いか分からなかった。
猫のひげのようにいろんなものを感知し判断するには、さまざまな経験が不可欠です。








