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三宅香帆流“ありきたり”を突き抜ける企画術 「いいコンセプト」をつくる3つの方法

三宅香帆(文芸評論家)

2026年01月06日 公開

三宅香帆流“ありきたり”を突き抜ける企画術 「いいコンセプト」をつくる3つの方法

企画書を作成するとき、あるいは文章を書くときやものづくりをするとき、「何か新しいものを生み出したい」「他とは違うものを発信したい」と誰もが思うもの。しかし、斬新なアイデアはどうしたら発想できるのでしょうか。そこで最初に設定するべきは「コンセプト」。「ありきたりじゃないけれど求められている」コンセプトを見つけ出すにはどうしたらいいのか、書籍のベストセラーを量産している文芸評論家の三宅香帆さんが、実際にやっている手法を教えてくれました。

※本稿は、三宅香帆著『伝わる言語化 自分だけの言葉で人の心を動かすトレーニング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より一部抜粋・編集したものです。

 

世の中にインパクトを与える言語化とは

ありきたりな言葉(=クリシェ)ではなく、「自分の言葉をつくる」こと。
そして、相手との情報格差を埋める工夫をすること。

それが、自分の伝えたいことを相手に伝える「言語化の技術」です。

「言語化の技術」は、実はさまざまな企画、作品、ものづくりにも応用できます。
たとえば、

■新商品やサービスのコンセプト設計
■企画書や提案書の切り口づくり
■ブログやnoteなどでオリジナリティの高い文章を書くとき
■SNSでの発信テーマの設定
■イベントや講座の企画
■新しいプロジェクトの方向性を決めるとき

など、「何か新しいものを生み出したい」「他とは違うものを発信したい」という場面で、この技術が威力を発揮するのです。

 

コンセプトはものづくりの最重要項目

企画、作品、ものづくりの最重要項目は「コンセプト」です。持論ですが、特に0から1を生み出す段階では、コンセプトが一番重要だと私は考えています。
なぜなら、コンセプトが良くないと、いくら細部が良くても見てもらえないからです。逆に言えば、コンセプトさえ良ければ、細部に多少の粗があっても人は注目してくれるものです。

では、コンセプトとは何でしょうか?
コンセプトとは、「『何が価値なのか』をひとことで言ったもの」です。
たとえば文章なら、書きたい「ジャンル」のなかでどんな「切り口」があるのかを見つけることになります。ここがふわっとしていると結局良い文章になりません!

 

いいコンセプトの2つの条件

「いいコンセプト=切り口」には、2つの条件があります。

【1】ありきたりじゃない=既存のものには存在しない
けれど、
【2】求められている=みんなが読みたい(使いたい、見たい)と思う

この2つの条件を両方満たすことで、すぐれたコンセプトが出来上がります。

 

コンセプトづくりの基本的な手順

三宅香帆さんがやっているコンセプトづくりの例

コンセプトづくりの基本的な手順は以下です。

【1】ジャンルを決める
  →何について発信するか、つくるかを決める
【2】そのジャンルのなかで、何が価値になるのかを決める
 (※このとき、そのジャンルではどういう切り口が「ありきたり」なのか、どういう切り口が「求められている」のかを調べる)
【3】価値をわかりやすく伝える言葉を決める
  →一言で伝わるキャッチーな表現にする

実は、自著のコンセプトを考える際に、私はまさにこの手法をとっています。
たとえば上の図のようになります。

 

いいコンセプトをつくる3つの方法

「ありきたりじゃないけれど求められている」コンセプトをつくるときに使える手法を3つ紹介します。これも私が実際にやっている手法です。

手法1:アンチテーゼでいく
   =よくある切り口の真逆を考える
(例:よくある「人生を豊かにする」の真逆、「人生を狂わす」→『人生を狂わす名著50』)

手法2:新しいもの2つを並べて、新しい文脈をつくる
   =通常は組み合わされない要素を並列する
(例:「働いている」と「読む」を並列する→『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』)

手法3:別ジャンルで流行っているものをもってくる
   =他の分野で注目されているトレンドを自分のジャンルに応用する
(例:「文章術」のなかで「推し」に特化する
     →『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』)

です。
皆さんすでにお気づきかと思いますが、この「ありきたり」を避けること、相手が求めていることを考えることは、言語化の技術である「クリシェ」を避けることや、「相手との情報格差を意識すること」と同じ考え方なんです。
この手法はあらゆるコンセプト(切り口)を考えるときに使えますので、ぜひ活用してみてください。

 

コンセプトが決まったら構成をつくる

コンセプトが決まったら、次にやるのは伝えたいポイントを整理することです。
文章であれば目次づくり、商品企画であれば機能の優先順位づけ、イベント企画であればプログラムの組み立てなど、アウトプットの形に応じて「何をどの順番で伝えるか」を決める必要があります。
この構成づくりを怠ると、どんなに良いコンセプトがあっても、相手に「結局何が言いたいのかよくわからない」という印象を与えてしまいがちです。

たとえば文章の場合、目次をつくらないまま書き始めてしまうと内容が散漫になってしまい、読みにくい文章になってしまいます。WEB記事であれば3つくらいの項目を目次に立てるようにするといいでしょう。
商品企画の場合も同じように、アピールしたい機能を3つくらいに絞って優先順位をつけることで、相手に伝わりやすくなります。

構成が決まったら、あとはもうやり切るのみ。
そう言われると尻込みしそうになるかもしれませんが、「とにかくここが終着点だ!」というところまでやり切るのが何より重要です。

一度で完璧につくろうとせず、修正するのは当たり前だと考えましょう。最低でも3回は修正することを前提に、最初は粗くてもいいからとにかく完成までもっていく。
文章で言えば、最初は変な文章でもいいからとにかく書き終えてしまう。企画書で言えば、最初は穴だらけでもいいから一通り形にしてしまう。そのほうが、満足のいくものを、結果的には早く完成させられる、というのがたくさんの文章を書いてきた私の実感です。

どんなに長大なプロジェクトも、やり続けていればいつか終わりは来ます。
だから、「絶対にこれを終わらせる!やり遂げてみせる!」という強い意志をもちましょう。
根性論みたいな話になってしまいましたが、一度完成しさえすれば、それを修正する未来の自分がなんとかしてくれます。

プロフィール

三宅香帆(みやけ・かほ)

文芸評論家

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了(専門は萬葉集)。著書に『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書、新書大賞2025大賞)、『「好き」を言語化する技術』(ディスカヴァー携書)、『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』(新潮新書)、『考察する若者たち』(PHP新書)など。

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