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お金に好かれる人の「使い方」と「貯め方」

菅下清廣(国際金融コンサルタント)

2013年05月30日 公開 2022年12月21日 更新

《PHPビジネス新書『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』より》

お金持ちになる人は、我慢しない。「頭と心が気持ちよくなること」にお金をかけよう。

 

 お金との付き合い方は、手元の資産額によって変わります。ここからは、資産ゼロから恒産を貯めようとする方に、アドバイスとなるお話をしましょう。

 まず知るべきは、「貯め方」よりも「使い方」です。

 テレビでは「残り湯を洗濯に使って月1000円節約!」「お昼をコンビニ弁当にして1日300円節約!」なんて節約術を紹介していますね。お金を貯めようとすると、日常の出費をいかに削るか、というほうに考えがいってしまいます。

 でも、小銭を貯めるための節約はやっちゃダメ。資産形成は、楽しくないと続かないのです。

 では、楽しむためにはどうしたらよいか。まず「ケチらずに使うもの」を決めることです。やりたいことにはお金を使う。楽しいと思うことには糸目をつけちゃいけない。「資産形成は我慢を伴ってはいけない」というのが、私の考えです。

 ただし、人間が楽しいと思うことにはたくさんの種類があります。

 

 たとえばパチンコ。どんなに楽しくても、お金と時間の浪費です。

 次にタバコも健廉に害を及ぼす危険があります。

 さらには、なんとなく出席する飲み会。お金を投じる意味がありません。

 これらがなぜダメなのか、は後述するとして……では何にお金を投じるべきか。

 ひとつは、能力向上につながることです。お金を得るには、「頭」が必要だからです。

 私は27歳のとき、メリルリンチに入社しました。それまで日本の大和証券で働いていたため、証券外務員試験には合格していましたが、アメリカの証券会社で働くにあたり、新たに3つの資格を取得せねばなりませんでした。英語力も不足していた私は当時、四谷の日米英会話学院で猛勉強しました。

 いまも勉強の毎日です。いまも毎朝7紙の新聞に目を通していますし、昼も夜も多くの方に会い、情報交換を重ねています。競争の激しいいま、勉強を怠ったら結果は出せないのです。結果が出なければ、当然お金にもつながりません。

 プロのスポーツ選手と同じです。サッカーでも野球でも、一流の選手は毎日猛烈に練習しているはずです。

 なかには、代々の土地持ちで、勉強せずに財をもってしまった人もいるでしょう。でも「知的水準の低い金持ち」は、いつか淘汰されます。勉強によって、金を稼ぐための「能力」や「知識」を磨いていないからです。勉強もせずに飲み歩いたり、意味もなくジェット機を買ったりするのがオチでしょう。

 頭を良くするためのお金は惜しんではなりません。読書もセミナーも、自分のためだと思ったら、躊躇せずに投資しましょう。

 

 でも残念ながら、勉強ばかりガリガリしても、お金には好かれません。お金は、知的財産を好むからです。

 知的財産とは、金融や経済の知識ばかりを指すのではなく、文化への造詣や好奇心も含みます。ですから映画鑑賞が趣味の人は、映画に投資してもOKです。

 心の豊かさは、間接的であれ能力向上につながります。映画好きの方は映画を見て、「すごく感動した」「主人公のように強い人間になりたい」と刺激を受けます。これは「いい刺激」でしょう。すると人間は、ボルテージが上がってエネルギーに満ちあふれます。

 

 良いエネルギーがあふれると、私たちは生活習慣や態度を改めようとします。よい習慣や姿勢をもつ人には、いい情報や出会いがもたらされます。それがさらに自己研鑽につながったり、よい仕事や就職のチャンスにつながったりします。

 これらが、回り回ってお金を生むのです。

 もちろん「映画好き」が高じて映画評論家などの「映画専門家」になれたら最高ですが、そこまでなれなくても良質の芸術は、「知的バランス」をよくします。映画でなくても、絵画や演劇、自分が好きだと思うものには積極的に触れにいきましょう。

 

 資産形成に我慢は無用。節約を重ね、ギスギスとした生活を送る必要はありません。

 頭と心が豊かになる、と感じるものには、積極的に投資してください。

 

お金持ちには、想像力がある。先を読み、「売り気配」人生と決別しよう。

 

 お金は、貯めようと思ったら、どんどん貯まります。でも、貯まらない人は延々と貯まりません。なぜか、そんな法則があります。

 では、「貯まる人」と「貯まらない人」の違いは何でしょうか。

 

 最初の大きな分かれ道は「自分の収入以内の額しか使わない人」と「自分の収入以上の額を使ってしまう人」。

 前述の通り、世の中には、なぜか収入より支出が上回る人がいます。彼らは、数字に弱い上に、自己管理ができない。「いただいた分だけ使う」というシンプルなことをできない人が、意外と多いのです。

 私の知り合いにもいました。社会に出て働き始めた途端、自分の収入以上の買い物をするようになりました。洋服はブランド物、車なんて、10年間のローンを組んでも返せないような高級車です。

 でも、欲しいから買ってしまうそうです。どんどん買ってしまう。もちろん収入には限りがありますから、友人や上司からお金を借りまくる訳です。

 この生活が、長続きするはずはありません。結局、借りたお金を返せなくなって、周囲の人たちからの信用を失い、最後には会社をクビになりました。

 自己管理ができない人の典型です。

 

 大切なのは、自分で自分を管理できるようになること、ひと言でいえば、セルフコントロール(自己管理)です。これが、お金が貯まるようになる最初の分かれ道でもあり、決定的要因でもあります。

 でも、「言うは易く行うは難し」で、自己管理はなかなか難しい。苦手な人は本当にできません。自己管理できないからといって、どんどん借金するわけにもいきません。

 

 どうしたらいいか。想像してみることです。自分がやっていることの、少し先にある自分の姿を、具体的に想像します。

 

 たとえば、ずっとたばこを吸っていると、どうなるか。肺がんになって早く死んでしまう確率が上がります。周囲を見回してみても、ヘビースモーカーの人は、たばこを吸わない人と比べると、早く死んでいる人が多いはずです。

 あるいはお酒をたくさん飲む人。毎晩のように西麻布や六本木界隈で夜中までお酒を飲んでいる人も、早く死ぬ確率が高いでしょう。私の証券界の同僚や先輩で、たばこやお酒が大好きだった人は、みんな早死にしています

 

 お金の使い方も、これと同じように想像してみればいいのです。

 毎月カードの返済にうめいている人は、カードを使おうとする時に、請求書を受け取る自分を想像するのです。

 毎回友達にお金を借りている人は、その友人に「今度会うとき必ず返す」と苦し紛れに言い訳する自分を想像するのです。

 そうすれば、いまの使い方が正しいのか正しくないのか、これを続けていてお金が貯まるのか貯まらないのか、嫌でもわかります。ひとつひとつ自分で具体的に想像してみて、自分で自分の行いをコントロールしていくと、「お金が貯まる人」に近づきます。

 

 ちなみに、ヘビースモーカーやヘビードランカーのような人を、証券界では「あの人は“売り気配”だね」と言います。もともと相場用語ですが、売りに出ている株があるのに、買い手が出てこない状態のことです。

 つまり、買い手がいない人のこと、買うべき部分がない人生のことを「売り気配」と呼んでいるのです。「あの人は売り気配だ」というのは、「あの人の人生は先が無い」という意味なのです。

 逆に、人気がある人、将来性がある人のことを「買い気配」と呼びます。20代から30代で「売り気配」になってしまったら、復活するのはなかなか大変なことです。

 

 気付いた時が、行動する時です。自分が「売り気配」だと思ったら、すぐに行動を起こし、「買い気配」に転じましょう。「売り気配」の人生に、お金持ちの未来はありません。

 

菅下清廣

(すがした・きよひろ)

 

スガシタパートナーズ株式会社 代表取締役。国際金融コンサルタント、経済評論家。立命館アジア太平洋大学 学長特別顧問。ウォール街での経験を生かした独自の着眼点で相場を先読みし、世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として知られる。
主な著書に『2011年まで待ちなさい!」『ウォールストリート式 年収一億円の条件』(以上、フォレスト出版)、『大富豪だけが知っている「金の坐」の法則』(小学館)、『10年後に差が出る! 富を作るために「お金」と「経済」を学びなさい』(かんき出版)など。『週刊ポスト』誌上でも「経済の千里眼」の異名をとって活躍中。2013年1月から、株価、為替、金、コモディティなどの相場見通し、個別の有望企業などを解説する経済・投資情報CD「スガシタレポート」を小学館より発売。


<書籍紹介>

今こそ「お金の教養」を身につけなさい今こそ「お金の教養」を身につけなさい
稼ぎ、貯め、殖やす人の“37のルール”

菅下清廣
本体価格820円

できました、読むだけで金運が上がる本! 日本で、ウォール街で、あらゆる富者を見てきた著者だから書けた、「お金の正体」とは!?

 

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