1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 女性は50代から要注意! 加齢による「腰曲がり」を防ぐ方法

くらし

女性は50代から要注意! 加齢による「腰曲がり」を防ぐ方法

大島清(京都大学名誉教授,医学博士)

2026年09月16日 公開

女性は50代から要注意! 加齢による「腰曲がり」を防ぐ方法

40代以降は筋肉の衰えとともに基礎代謝が低下し、太りやすくなります。健康と代謝を保つには、全身の筋肉の約7割が集まる足腰を鍛えるため、「1日1万歩」を目安に歩くことが大切です。

実は歩くことの効果は、筋肉や代謝の維持だけではありません。丈夫な「骨」をつくり、骨粗鬆症を防ぐためにも歩行運動が不可欠なのです。

本記事では、医学博士・大島清さんによる書籍『歩くとなぜいいか』より、一生歩ける強い骨をつくるヒントをご紹介します。

※本稿は、大島清著『歩くとなぜいいか』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

歩くと「骨」がじょうぶになる

腰が曲がったおじいさんはあまり見かけないが、腰が曲がったおばあさんはよく見かける。腰が曲がるのは骨粗鬆症が原因なのだが、これは主に2つの要因によると考えられている。

第一は女性の方が骨粗鬆症になりやすいという点、第二は女性の方が男性より若い年齢で骨粗鬆症になりやすいという点だ。男性が骨粗鬆症を心配しなければならないのは70代後半といわれている。平均寿命が尽きるころだ。一方女性はすでに50代前半で腰が曲がる心配をしなくてはならなくなる。

いずれも女性ホルモンが影響しているのだが、とりわけ女性は意識して骨をじょうぶに保つようにする必要がある。

こんなふうに書くと、それなら男性は骨のことは心配しなくていいのかと思われるかもしれない。しかしそんなことはない。

骨をもろくするのは骨粗鬆症ばかりではない。運動不足、タバコの吸いすぎ、過度の飲酒なども骨を細くする原因と考えられている。

筋肉と同じように、骨も鍛えなくては強くならないのだ。無重力の宇宙空間に長くいると、宇宙飛行士の骨密度が減少してしまうということもよく知られるようになった。

歩かないと、骨も弱くなる。

骨密度を高め、骨粗鬆症を防ぐためには骨の成分であるカルシウムを摂る必要がある。女性も男性もホルモン分泌が少なくなると、骨からカルシウムが溶け出してしまう。これが骨を弱くする原因なのだが、カルシウムを摂るだけではうまく骨に吸収されない。

カルシウムの吸収を助けるビタミンDと、ビタミンDの働きを強める太陽の光が必要になる。それともう一つ、運動が欠かせないのだ。

 

アメリカで行われた調査からわかったこと

更年期を過ぎた女性を対象にしたアメリカの調査がある。

この女性たちにカルシウムとビタミンDを十分に摂ってもらいながら週3回、1日あたり1時間程度のウォーキングなどの運動をしてもらう。これを1年から2年かけて行い、その前後で骨密度を測定するという調査だ。

調査終了後の骨密度は明らかに向上したとされているが、その後追跡調査をしたところ、運動をやめてしまった人はカルシウムとビタミンDを摂り続けていても、わずか1年で元の骨密度に戻ってしまったと報告されている。

このことからも、骨粗鬆症を予防し、骨密度を高めておくためには、カルシウムとビタミンDの摂取だけではなく、運動が欠かせないということがよくわかる。

今はカルシウム飲料や各種ビタミンが出回っており、清涼飲料水の感覚でカルシウムを補給することができる。

ごくごくっと飲むとそれだけでなんとなくカルシウムが補給されたような気分になる。しかしこれだけではカルシウムが体の中を素通りしていくに過ぎないのだ。

大地を踏みしめて歩くという行為がなければ、カルシウムは吸収されない。寝ころんでテレビを見ながらカルシウムを補給しても、骨は太くならないということを肝に銘じておきたい。

 

プロフィール

大島清 (おおしま・きよし)

京都大学名誉教授

医学博士。1927年、広島県生まれ。東京大学医学部卒業後、ワシントン州立大学に留学。京都大学霊長類研究所を定年退官後、愛知工業大学教授を歴任。 著書に『人生は定年からが面白い』『脳が若返る遊歩学』『定年後に若がえる生き方』『歩く人はなぜ「脳年齢」が若いか?』『犬と歩けば脳にいい! 』『快活脳の育て方』『なぜか「肝っ玉が太い人」の共通点』『好かれる老人嫌われる老人』など多数。2023年没。

関連記事

×