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「歴史の教養」を磨く本5冊 - 歴史から現在を認識し、将来を展望する

2013年07月05日 公開

後藤武士 (著述家)

「歴史を学ぶ」となると、その範囲は広大で、歴史的事実と言われるものの多面性や曖昧さに戸惑うことも多い。過去の歴史を正しく読み取り、知恵へと昇華するにはどのように歴史を読みこなせばいいだろうか。

現代を生きる私たちに役立つ内容の歴史関連本を5冊取り上げ、歴史本の読み方を指南していただいた。「歴史を学ぶ」から「歴史から学ぶ」に視点が切り替わる、目からウロコのレクチャー。

※本稿は、『THE 21』2013年7月号(PHP研究所)の内容を、一部抜粋・編集したものです。

 

歴史を知ると時代を読む目が養われる

インフォメーションレベルの情報に振り回されず、現状の正しい認識から将来を読む能力を養うには「インテリジェンス」が不可欠です。

インテリジェンスにはインテリの語源となった知性や知識の外に、インフォメーションの上位にある情報、それを得るための諜報活動等の意味があります。

これらを含めたインテリジェンスを身に付けるために最適な教材が「歴史」です。

とくに重要なのは日本人には馴染みの薄い世界の近現代史。歴史は社会で起こるさまざまな事象が蓄積されたモデルケースの宝庫であり、パターン発見の最良のデータバンクだからです。

"いま"は点として存在しているのではなく、過去の事象の結果であり、過去の延長線上にあります。歴史を学び、物事の背景にある因果関係を明らかにすることで、より深い現実の検証を可能にしてくれます。

このように、歴史を知ることは、いまの時代を読む俯瞰的・客観的視野を与えてくれます。そうした視野に立ち日米中の歴史を捉えた本が、『米中新冷戦、どうする日本』(藤井厳善著/PHP研究所)です。

<明治以降の日米中関係から、今後を考える>

米中新冷戦、どうする日本
『米中新冷戦、どうする日本』​
藤井巌喜著
PHP研究所/税込価格1,470円

本書では、第二次世界大戦でソ連という大国を育て、冷戦以降の世界において中国という怪物を生み出してしまったのは「アメリカ外交の失敗」であると分析します。

そこから、アメリカが外交において間違いを犯してしまうときは、日本から距離を置いているとき、という法則を導きます。国際関係は当事者2国だけのものではありません。2国間の関係の変化は、別の国にも大きな影響を及ぼします。

第二次世界大戦では、敗戦国はもちろん戦勝国すら大きな痛手を負いました。国は疲弊し、植民地支配は経済コスト的にも割りに合わなくなります。これがアジア諸国独立の裏から見た原因です。

武力による戦争が必ずしも自国に利益をもたらさないことを学んだ米ソは、直接対決を避け冷戦へと突入。その終結を経たいま、次なるアメリカの相手が、冷戦期に漁夫の利を得て大国となった中国です。

中国は、第二次世界大戦のおかげで建国に成功したと言えます。しかも、他の戦勝国と異なり、大きな痛手を経験していないのが怖いところです。

自産自活ができない日本は国際関係から無縁ではいられません。米中2大国から目を離して、日本の先行きを考えることは現実的ではないでしょう。

 

世界史に日本が登場した近現代は丹念に眺め直す

世界史から日本を眺めると、世界における日本の立ち位置が見えてきます。国際的な日本の評価の根幹を知るには第一次世界大戦前夜からたどる必要があります。

その流れを描いたのが、自著『読むだけですっきりわかる世界史 現代編 オスマン帝国の終焉からポツダム宣言まで』(宝島SUGOI文庫)です。

<現在につながる世界の仕組みを読み解くために>


『読むだけですっきりわかる世界史 現代編オスマン帝国の終焉からポツダム宜言まで』
後藤武士著
宝島SUGOI文庫/税込価格500円

19世紀末から20世紀初頭は、極東のちっぽけな島国でしかなかった日本が世界の大舞台に登場した時代です。20世紀以降の世界史は、日本を抜きにして語ることはできません。

アジアが欧米の植民地であった時代に日本は孤軍奮闘、優れた外交手腕を発揮して列強国の仲間入りを果たしました。しかし軍部が独走を始め、欧米列強の巧みな外交に追い込まれ、太平洋戦争に突入します。

同盟国が次々と降伏するなか、日本は着後まで降伏せず、アメリカや連合国のみならず、全世界を敵に戦い続ける、いわゆる"ラスボス"となってしまいました。国際社会に、それ以降、「全世界共通の敵」は現われていません。

この歴史的経緯を知ると、戦後、単独の軍事行動を起こすこともなく、多くの国々に途方もない経済技術支援を果たしながら、いまだもって日本が叩かれる謎が見えてきませんか。

 

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