1. PHPオンライン
  2. 生き方
  3. ムッとすることを言われたら…我慢するより「表現」しよう

生き方

ムッとすることを言われたら…我慢するより「表現」しよう

八坂裕子(詩人)

2011年03月08日 公開 2021年05月10日 更新

 

自分自身のこころを尊重していい

「失礼な!」と感じながら、ムカつく気持ちを抑えているとこころが濁って憂鬱(ゆううつ)で悲しく、いわゆる落ち込みモードから脱け出せずにどんどん沈むばかり。

そうしたイライラモヤモヤに慣れるって怖い。我慢することで強くなれると自己暗示にかけるのもまずい。我慢すれば強くなれるなんて錯覚だ。単にもろくなるだけである。そんな中で勇気を表現するタイミングを失い、あなたがあなたじゃなくなるのが一番怖いことだ。

「痛ッ!」「失礼な!」を感じるのは弱いからではない。感情-感覚、マナー、考え方、人間関係などにデリカシーを持って生きているからこそ、感じるのだ。

あなたはもっと自分のデリカシーを大切にしていいのだ。自分自身のこころの声を尊重し、もっともっと表現していいのだ。

"いい子"や"いい人"の標準的イメージに合わせ、自分自身の核をボヤけさせてしまわないようにあなたがあなたを応援しなければ一体誰があなたを応援できるだろう。

そのための勇気が、あなたのこころのどこかで出番を待っているはずだ。お待ち遠さま、出番ですよォ。勇気よ、起きて、起きて。

学歴や資格や肩書きが人に自信を与えるのではない。自信というのは、自分が自分に与えることでしか身につかないのである。

勇気のリードで"言い返す力"トレーニングを繰り返すうちに、あなたにはいくつもの力がつく。力と力が複雑に化学反応を起こし、そこにまた新しいカが湧く。

あなたを明日に導き成長させるあらゆる可能性を秘めているのが勇気の底力だ。

"言い返す力"の話し方や表現の仕方を実験しては失敗したり発見したりしながら、それを繰り返すことであなたは少しずつしなやかに強くなれる。他人の考え方を知り、生き方の違いをナットクし、あなたはあなた独自の"言い返す力"をゆっくり身につけていこう。

私だってまだまだ"言い返す力"の修行中である。ただ、去年より今年、今年より来年を目指して歩いている。

そうすることが自己表現のゆたかさにつながると信じてやまないからだ。デコボコだけど、この道が私は好き。できるだけ遠くまで行けたらいいなあと思う。

 

【PROFILE】八坂裕子(やさかゆうこ)
詩人。東京生まれ。お茶の水女子大学附属高等学校卒業後、文学座演劇研究所修了。1967年、資生堂の会報誌『花椿』で、詩「ナポレオンと苺」が最優秀賞を受賞。以後、詩集、小説、エッセイを次々と出版し、幅広い分野で活躍。現在は執筆に加え、銀座エコールプランタン(Tel.03-3567-7235)で会話クラス講師を務める。

 

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×