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生き方

ムッとすることを言われたら…我慢するより「表現」しよう

八坂裕子(詩人)

2011年03月08日 公開 2021年05月10日 更新

ムッとすることを言われたら…我慢するより「表現」しよう

自分の感情や意見を表に出すことなく、モヤモヤした経験はないだろうか。詩人の八坂裕子氏は、痛みや相手に対して失礼だと思ったことを表現しないことは、からだに毒であると考えている。

特に、日本社会では"控えめな態度"が重んじられてきたが、これからの国際社会では通用しない。もっと個人の積極的な発言や表現が尊重されていくべきではないか。

本稿では八坂氏の著書から、言い返すときの考え方、勇気の出し方を紹介する。

※本稿は、八坂裕子 著『言い返す力』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「痛ッ!」「失礼な!」はきちんと表現しなければ毒

ムッとくるひと言、痛ッ!を飲み込まずに表現することで、両者の話し方スキルが磨かれたらステキだ。

話し方スキルはビジネスシーンではもちろん、ロマンスシーンでも欠かせない。たったひと言が運命を左右するのだ。

よりよい人間関係を育てるためには、たとえ言いにくい理由や事情があったとしても、それをきちんと言葉にして伝えることが求められている。そこを省くと、せっかくの出逢いが収穫ゼロで終わることになり、つまらない。

痛ッ!はチャンスだ。面白く愉快に生きるために活用しよう。

3日間重い荷物を持ったら、4日目に背中の左側が痛くなった。あわてて、知りあいの接骨院へ。先生は「急に重い物を持ったので背中がびっくりしたんだよ」と笑いながらテープを貼ってくれた。

かなりラクになったが、からだを捻(ひね)るとやっぱり痛い。自分の部屋で思わず「痛ッ!」と叫んだ。するとそのとたん気持ちがスカッ。発見だった。声を出すことで、痛みを吐き出す効果があるのか。

もう一度「痛ッ!」と叫んでみた。さらに気持ちがいい。なるほど。「痛ッ!」は我慢しちゃいけないのだ。我慢すれば「痛ッ!」はからだの中に籠(こも)ってしまう。

その体験を経て、さまざまなシーンでの 「痛ッ!」「失礼な!」はきちんと表現しなければ毒だという私の確信は一段と強まった。とはいえ、オフィスで誰かのひと言にムッとしてヒリヒリとつらい場面でパチッと言い返すって、実際はなかなか難しい。

特にこれまでのニッポン社会では、控えめな態度や謙虚な物言いが評価され、ハッキリした自己表現は敬遠される傾向にある。目上の相手に対して「異議アリ!」と発言するのは、口答えだとか反抗的だとかのマイナスイメージを振りまき、減点間違いない。

けれど海外ではニッポンとは真逆だ。自己表現や主張をしない人間はバカだと思われ、それっきりである。ニッポンが危ない。ここらへんで大胆に言語生活をレベルアップしないと国際的ステージに立てなくなる。

そこであなたの力が必要なのだ。あなたが「痛ッ!」「失礼な!」と感じるとき、「痛ッ!」や「失礼な!」には理由がある。その理由が尊いのだ。なぜならそれはあなたの感じ方を示すサインであり、同時に「私はここにいます」というあなたの存在を明らかにする貴重な反応だからだ。

あなたは自分の理由を相手に伝えなければいけない。そうしないと「私はここにいます」と言えなかったことになり、あなたのこころには不快な感情が行き場のないまま漂い、「痛ッ!」は鈍痛化してジワッと胸の奥に住みつくだろう。

一瞬一瞬の積み重ねが一日をつくり、一週間をつくっていくように、ひと言ひと言の積み重ねがあなたをつくりあなたの今日をつくり、人間関係をつくり上げていくのだ。

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自分自身のこころを尊重していい

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