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初対面での第一印象 フォロー&リカバリー術

2014年04月02日 公開

臼井由妃(健康プラザコーワ代表取締役)

『THE21』2014年4月号[スタートで差がつく「初対面」の技術]より》

 

重要なのは「会った直後」のフォロー

あらゆるテクニックを駆使して面会に臨んでも、どうしても好印象を与えられないこともあるだろう。そうなったらもう、諦めるしかないのか……。
コミュニケーションの達人である臼井由妃氏は、「面談中でも、面談後でも、リカバリーは可能」と断言する。初対面の印象を立て直し、長いおつき合いに変える秘訣を教わった。
<取材構成:前田はるみ>


 

初対面の印象はたった1分で決まってしまう

 初対面の印象は、最初のあいさつから名刺交換、自己紹介までの「1分間」で決まります。こう言うと、、自分のことをガンガン売り込まなければならないと勘違いして猛然と自己アピールを始める人がいます。でも、これでは相手は引いてしまいます。自己紹介ならぬ、「事故」紹介です。自己紹介は本来、相手に自分の名前を覚えてもらうことが目的です。そのうえで、相手が話しやすい雰囲気を作り、相手に心を開いてもらうことが、その後の関係を良好に続けていくための基礎となります。

 では、この最初の1分間にすべきことは何なのでしょうか。出会って最初に相手にかける何気ない言葉にも、初対面の印象は影響されます。たとえば相手が来社される場合は、「場所がわかりづらかったかもしれませんが、迷わずに来られましたか」などちょっとした気遣いの言葉をかけて、相手をねぎらいます。次の名刺交換では、「臼井由妃です」と必ずフルネームで名乗ると、親近感を与えることができます。さらに「由妃の妃は、『いとへんの紀』ではなく、こう見えて「妃殿下の妃」なんです」などとつけ加えると、ちょっとした笑いが起きて場が和み、相手の印象にも残りますよね。

 このような初対面の際の「アイスブレーク」は、すぐ身近にあるものを用いるのが一番です。なかでも名刺は最も自分に近いもの。最初の話題として天気や経済、野球、いまなら東京オリンピックの話題を選ぶ人もいるでしょうが、これでは本題とかけ離れてしまううえに、相手には興味がない話題かもしれません。それよりも、いただいた名刺に触れながら、「お名前は健太郎さんとおっしゃるのですね。健康に育つようにとご両親がつけたのですか?」などと相手の名前に興味を示して会話を発展させれば、相手も悪い気はしないでしょう。

 

盛り上がったその日のフォローメールが決め手

 これが基本ではありますが、名刺交換や自己紹介では相手の反応が鈍く、「第一印象がイマイチだったかな」ということもあると思います。ですが、心配ありません。商談や面談の途中でのリカバリーは十分に可能です。まず大事なことは、「好感度を上げなきや」と必要以上に焦らないこと。まずは目の前の商談に集中し、相手の話にじっくり耳を傾けましょう。私が実践しているのは、メモを取りながら相手の話を聞くことです。メモは、相手の話をありがたく聞いているというアピールにもなります。そして、相手がひととおり話し終えたら、メモを見ながら「先ほどの点がよくわからなかったので、詳しく教えていただけますか?」と質問します。人は基本的に教えたがりなので、教えを請う相手には好感を持つものです。そうするうちに、思わしくなかった最初の印象も、徐々に挽回できるはずです。

 もちろん、それでも最後までどうもうまくいかなかった、ということもあるでしょう。でも、それで諦めてはいけません。お勧めしたいのは、相手が来社された場合は相手が帰社する前に、こちらが訪問した場合は会社に戻ってすぐ、お礼のメールを送ることです。季節や時候のあいさつは省略し、「本日、○○さんがおっしゃったこの点が私の心を捉えました。教えていただいてありがとうございました」と、相手との出会いによる学びや喜びを素直に伝えます。会社に戻ると同時にこのようなメールが届いていれば、相手はあなたの誠意を感じ、あなたへの印象も変わってくるはずです。

 あるいは、相手が落語好きだと知ったなら、「落語がお好きだと聞き、私もあのあと○○を聞いてみました」といった内容でも構いません。相手の興味関心事にこちらも興味を示せば、相手は何かしらの返事をしてきます。仕事に直接関係はなくても、何かを共有することで、細く長く関係を続けていくことができるのです。むしろ仕事に関係ないやり取りのほうが、うまくいくケースが多いようです。

 一方、初対面で会話が盛り上がり、「今度ぜひ飲みに行きましょう」と意気投合したにもかかわらず、それっきりになってしまったというのもよくある話です。初対面での好印象を次のチャンスにつなげるには、盛り上がったその日のフォローが重要です。

 たとえば初めての打ち合わせで、「そのアイデアいいね、20日の社内会議までに企画書出してよ」と言われたとします。今日が5日だとするなら、普通は20日までに間に合わせればいいと考えるでしょう。しかし、それでは遅いのです。もしかすると相手は明日、別のライバル会社の担当者と同じ話をしているかもしれません。私なら会ったその日に大雑把でいいので企画の輪郭を送り、「詳細はあとで送ります」と伝えておきます。スピーディな対応に、相手は「おっ? 真剣なんだな」とあなたのことを心に留めるに違いありません。

 また、先ほど紹介した仕事に関係のない話でのやり取りも、長いおつき合いのためには有効です。

 

初対面では、相手も緊張しているもの

 初対面の相手の態度がぎこちないと、「私のことが気に入らないんじゃないか」と不安に思いがちです。でも、自分が初対面であるということは、相手にとっても初対面であるということ。自分以上に相手も緊張しているかもしれないのです。

 ですから、態度や会話がぎこちないのはむしろ当然で、引け目を感じる必要はまったくありません。むしろぎこちないのは、「お互いに正直者である証」だと私は思うようにしています。正直な人は、相手に失礼のないよう気を遣ったり、相手が望むことを探ろうとして、かえってぎこちなくなることが多いからです。

 一方、初対面でいくら盛り上がっても、避けるべき話題もあります。その最たるものが、「○○さんを紹介してください」と紹介を頼むことです。その人の信用に大きく関わる人の紹介は、本来は「命がけ」のはず。軽々しく頼めるようなことではないのです。逆に初対面の相手に軽々しく「○○さんを紹介するよ」と言う人は、むしろ信用できないとすら、私は思っています。

 初対面の相手への苦手意識や思い込みを捨てれば、人はみんなお互いを好きになれると私は信じています。出会う相手を好きになることができれば、初対面は怖くないし、次につなげやすくなるはずです。

臼井由妃(うすい・ゆき)

〔株〕健康プラザコーワ、〔有〕ドクターユキオフィス代表取締役

1958年生まれ。33歳で結婚後、ガンに倒れた夫の後を継ぎ、専業主婦から健康器員販売の社長に転身。独自のビジネス手法で通販業界で成功を収め、多額の負僕を抱えていた会社を年商23億円の優良企業に変える。会社経営やコンサルタント・執筆・講演活動の傍ら、理学博士・健康医科学博士・MBA・宅健・行政書士などを短期取得。その実践的な仕事術や勉強法には定評がある。
主な著書に「思いを伝える「たった1%」のひと工夫」(PHP研究所)など。


<掲載誌紹介>

2014年4月号

<読みどころ>「ビジネスマンとしての経験を積んできているはずなのに、軽く見られているような気がする……」「同じことを言っているのに、自分が話すと、まともに取り合ってくれない……」訪問先で、あるいは社内でも、そのように感じることはないでしょうか。どうすれば、そんな状態から抜け出すことができるのでしょうか?今月号の特集では、自らメッセージを発信して協力者や顧客を得てきたビジネスプロフェッショナルの方々に“信頼される話し方”の秘訣を教えていただきました。



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