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「M-1を盛り上げたいのが伝わった」令和ロマンくるまが喜んだ、NON STYLE石田の一言

石田明(NON STYLE)、髙比良くるま(令和ロマン)

2025年03月05日 公開

「M-1を盛り上げたいのが伝わった」令和ロマンくるまが喜んだ、NON STYLE石田の一言

去る2月10日、代官山蔦屋書店にて、NON STYLE石田明『答え合わせ』、令和ロマン髙比良くるま『漫才過剰考察』刊行記念として、両者の対談イベントが開催された。M-1グランプリはもちろん、お互いの著書についての感想や執筆の裏話など、漫才についての本を執筆した両者だからこそできる濃密なトークが繰り広げられた。その内容の一部をご紹介する。(撮影:北原千恵美)

 

「終わらせよう」誕生秘話

令和ロマン 髙比良くるま
©マガジンハウス・辰巳出版(撮影:北原千恵美)

年末の国民的行事となりつつあるM-1グランプリ。記念すべき20回大会となった昨年は、2023チャンピオンである令和ロマンがまたもやトップバッターになったことで異様な盛り上がりを見せていたという。審査員席でそれを見ていた石田曰く、「めちゃくちゃざわざわしていた。悪魔降臨みたいな(笑)」。

くるまは、相方であるケムリには2年連続の一番手をイジる"トップボケ"をすると伝えていたという。しかし、「いざ漫才始まるってタイミングで、それまでざわざわしていたお客さんたちが『M-1が始まる!』って一瞬にして緊張感に包まれて、そのまま『いやまたトップか~い!』みたいなボケをしちゃうとウケないと思って、ぎりぎりまで頭を後ろにして到着を遅らせています。不自然なステップを踏んでいる(笑)。ツカミも『終わらせましょう』って言いたかったのに噛んでしまって『終わらせよう』になっちゃった。この一連はYouTubeに上がっているネタ動画で確認してみてほしい」と裏話を披露。

「ケムリもなんとなく『怖すぎるだろ』とか言ってたんですけど、『トップボケする』って俺が言ってたのに全然違うこと言いだしたから、その瞬間がいちばん緊張したらしいです。でもその死地を乗り越えて全部の緊張がほぐれて、ケムリはベストパフォーマンスを叩き出していました」。

 

M-1グランプリのマッチングアプリ化

令和ロマン 髙比良くるま、NON STYLE 石田明
©マガジンハウス・辰巳出版(撮影:北原千恵美)

くるまは、石田の頃とここ数年のM-1を比較し、最近は組み直したコンビのお試しの場としてライトにM-1が利用されている、と指摘。以前はM-1で結果を残さなければ、と芸人にとってM-1が重く受け止められていたが、最近では正式にコンビを組む前にM-1を利用して試すコンビが増えているという。

「解散したコンビのマッチングアプリみたいになっているよね」と石田も同意した。「だから出場組数1万突破! とか言われても恥ずかしいんですよ。実働コンビ数は絶対石田さんの頃と変わっていない。1万組もいたら膨大な数の後輩がいないとおかしいもん!」とくるまは語気を強めた。

改めて2024大会を振り返り、「2023は不完全燃焼と言っていて、そうなんかな? と思っていたけど、2024年の優勝を見て、ほんまやったんや! と思った。M-1を盛り上げたいっていうのが第一なのが伝わったね」と石田が伝えると、「嬉しい! めっちゃ盛り上がりましたね!」とくるまが喜びをあらわに。

「笑神籤を引いた阿部一二三選手の引きの強さもすごかったし、20回大会という気合が入っていたのかスタッフさんのテンションも例年より高かった気がしますね。スタジオのセットも平等院鳳凰堂みたいな、歴史的建造物くらい豪華でした。みなさんの熱量がすごかったですね」。

 

「石田さんのが正しい、じゃあ俺のはもういらないじゃん」

NON STYLE 石田明
©マガジンハウス・辰巳出版(撮影:北原千恵美)

お互いの書籍の話になると、石田は「(くるまの本は)読みやすいし、臨場感がすごい。自分がやってきたこととか経験してきたことを追随して書いているから想像しやすいし、こんなふうに考えているんだっていうのがわかって勉強になりました」と絶賛。

くるまは執筆について、「僕が活字が苦手っていうのがあったんで、自分でも読める長さに、できるだけ詰めて詰めてこの長さ(184P)にまとめました。自分で喋ったのを文字起こしして、それをベースにまた書き直して、っていう作業を本当にずっとしていました」と語ると、石田も「わかる、これ終わらんくない?」と執筆ならではの苦悩に共感。

ライブなどのその場限りのものでもなく永遠に作業できてしまうため、〆切の重要性を感じたという。「くるまは本当に大変そうやった。地獄そうなくるまを俺見ていて、『ラヴィット!ロック2024』の間に家帰って書いてて、マジで間に合ってないんやろなと(笑)」と石田が昨夏のくるまの様子を振り返った。

「本当に間に合っていなくて、人生でいちばんしんどかったです。それに僕は、帯を書かせていただいた関係で石田さんの原稿を先に読ませてもらっていたので、『もうお笑いの本ってこれじゃん!』と思って。NSC(吉本総合芸能学院)の講師もされていらっしゃるんで漫才の理論を説明するんだろうっていうのは予想できたんですが、それプラスご自身の経験も書かれてあって、その二つが合わさった時のわかりやすさがすごくて。石田さんが書いてるのが正しいからもう俺のはいらないじゃん、となったうえでどう書いていくか、という大変さもありました」と、くるまは石田の著作から多分に影響を受けたことを告白した。

 

あわせて読むと漫才への理解がより深まる

令和ロマン 髙比良くるま、NON STYLE 石田明
©マガジンハウス・辰巳出版(撮影:北原千恵美)

石田の『答え合わせ』は、NSCで講師を務める石田が、「漫才論」「M-1論」「芸人論」を語り尽くしている。お笑いの教科書として興味深いだけでなく、自身の芸人としての半生にも触れられており、お笑いや漫才に対して考えている"今"のすべてを詰め込んだ一冊。

くるまの『漫才過剰考察』はwebマガジン「コレカラ」(辰巳出版)にて連載されていたものに大幅に加筆、修正を加えて制作された。M-1はもちろん、客層に応じた漫才や東西南北における笑いの違いを分析。漫才の海外進出についても触れられており、漫才の最前線を体感できる。

 

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