夜型を抜け出し、朝型人間になろう!
2012年06月26日 公開 2022年06月06日 更新
《 PHP文庫 『 「寝る前30分」を変えなさい 』 より》
最小の努力で最大の成果を挙げる方法
わたしは現在、資格コンサルタント、そして能力開発コンサルタントとして活動している、いわば「勉強のプロ」です。
こうした活動をするようになったきっかけは、わたし自身がこれまでに年間10以上、合計で100近い資格を取得してきたことによります。しかもそこには宅地建物取引主任者、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士第1次など、世間では「難関」とされるような資格、少なくとも趣味レベルの知識では太刀打ちできないような資格も多数含まれています。
こんな話をすると、多くの方々からこう驚かれます。
「なるほど、先生は大変な努力家なんですね」
「きっと寝る間も惜しんで、血の滲(にじ)むような猛勉強をされたんでしょう」
これはまったくの買いかぶりであって、わたしは努力家などではありません。特別な才能をもっているわけでもないし、勤勉な人間でもない。資格取得の勉強を始めたのも、53歳になってからでした。
そこでわたしは、「どうすれば最小の努力で、最大の成果を挙げられるか」だけを考えてきました。資格取得の勉強に励んでいるときも晩酌は欠かしませんでしたし、十分すぎるほどの睡眠をとっていたのです。
「最小の努力で、最大の成果を挙げること」
一見すると、いかにもムシがよすぎるし、要領のいい考えです。
しかし、見方を変えるとこれほど「効率がいい」話もない。
わたしは、努力そのものを否定するつもりはありません。
ただ、そこに「効率」という名のターボエンジンを搭載することによって、より早く、より確実に、より大きな成果を挙げることができるようになるのです。
問題は努力の"量"ではなく、"質"なのです。
たとえば受験生時代、みなさんは夜遅くまで猛勉強をしていたことでしょう。
1年は365日しかなく、1日は24時間しかない。よりたくさん勉強するためには、睡眠時間を削って、そこを勉強に充(あ)てるべきだ。
おそらくそんなことを考えていたはずです。これは受験生に限らず、毎日夜遅くまで残業しているビジネスマンも同じでしょう。
しかし、効率と努力の質を最優先するわたしの考えは、まったく違います。
1日は24時間しかない。そして毎日平均6時間ほど睡眠をとっている。
このとき「睡眠を4時間にして、2時間勉強に充てよう」と考えるのは、あまりに非効率な話。心身のバランスを崩しかねないし、どんなに意志が強い人でも長続きするものではありません。
そこで「睡眠の6時間をフル活用しよう」と考えるのです。
寝ている間に脳を働かせることができれば、睡眠時間をいっさい削らずにすむ。つまり、睡眠そのものを「新しい勉強時間」に変えてしまえばいい。それが拙著『「寝る前30分」を変えなさい』のアプローチになります。
それでは、どうすれば睡眠を「新しい勉強時間」に変えられるのか?
答えは簡単です。とにかく夜の30分を変えること。
特に「寝る前30分」を変える、たったそれだけで、睡眠は変わるし、「明日の自分」も変わります。そして「明日の自分」が変わるということは、人生そのものが変わっていくことになるのです。
夜型を抜け出し、朝型人間になろう
本書のタイトルを見て、一瞬「夜型人間になることを勧めているのかな?」と思われた方も多いでしょう。
しかし、これははっきり断っておきますが、本書では夜型人間になることを勧めるつもりなど、いっさいありません。
むしろわたしが推奨しているのは朝型人間であり、それも「遅くとも午前6時には起きる」という超・朝型人間です。
わたし自身、かつては典型的な夜型人間でした。夜遅くまで仕事をするし、仕事が終わったら居酒屋でお酒を一杯引っかけて、家に帰ればテレビの深夜番組を見るという不健康な生活を何十年も送っていました。
そんなわたしも、朝型に切り替えることができたのです。現在では5時には目を覚まし、朝の自由時間を思う存分活用し、仕事の効率もメキメキ上がっています。今では「もっと早く朝型に切り替えておくべきだった」と、悔やんでも悔やみきれないくらいです。
朝を変えたければ、夜を変えること。そして夜を変えたければ、朝を変えること。この両者の歯車が噛み合ったとき、わたしたちは最強のライフスタイルを手に入れることができます。
早起きするのはつらい?
夜はできるだけ長く起きていたい?
おそらく、本書を読み終えた後は、まったくそんなことを思わなくなるはずです。
早起きはつらいことではないし、早く寝るのも簡単なこと。ほんのちょっと意識を変え、習慣を変えるだけで、生活のすべてが変わります。
そしてそのうち、寝室に行ってベッドで横になるのが楽しみになるはずです。
睡眠という「フロンティア・タイム」
そもそも睡眠とは、どのような時間なのか。
おそらくみなさんの平均的な睦眠時間は、1日6時間から8時間というところではないでしょうか。
仮に8時間だとすれば、1日の3分の1。人生80年なら、27年もの時間を睡眠に費やすことになります。
それほど膨大な時間なのに、ほとんどの人が特に何も考えず、単なる「休憩時間」のように過ごしている。それが睡眠です。しかし、わたしにしてみたらこんなにもったいない話はない。
睡眠とは休憩時間ではなく、われわれ現代人に残された最大にして最後の「フロンティア・タイム」なのです。これほど大きな「未開の地」が他にありますか?
仮に、日常(起きている時間)のムダをギリギリまで排除していっても、せいぜい1~2時間の「自分の時間」ができるだけ。ここでいくらがんばっても、効果のほどはたかが知れています。
しかし、睡眠そのものを変えることができれば、人生の3分の1が変わるのです。これほどの時間を他で確保することなど、絶対にできません。
人生の3分の1を休憩時間として過ごすか、つまり「惰眠」をむさぼるか、それとも「寝る前30分」の習慣を変え、睡眠を有効な「自己投資」の時間とするか、その選択はあなた次第です。
近年、脳科学の急激な発展などにより、睡眠のメカニズムや活用法が加速度的に解明されてきました。『「寝る前30分」を変えなさい』では、これらの科学的データも参照しつつ、わたし自身が実践してきた究極の「寝る前30分」活用法を余すところなく紹介していきます。
この睡眠という大いなる「フロンティア・タイム」を漫然と過ごすか、それとも価値あるものへと変えていくか。
わたしたちに残された最後の可能性は、まさに睡眠という時間の中にこそ「眠っている」 のです。
高島徹治
(たかしま・てつじ)
資格コンサルタント
1937年生まれ。週刊誌記者、編集プロダクション社長等を経て、現在は合格資格数91を誇る資格コンサルタント。講演、執筆・新聞等への寄稿やテレビ出演など、幅広く活動している。
主な著書に、『もっと効率的に勉強する技術!』(すぼる舎)『すごい「勉強法」』(三笠書房 知的生き方文庫)『図解式 史上最強の資格勉強術!』(ナツメ社)などがある。
◇書籍紹介◇
「寝る前30分」を変えなさい
就寝前のちょっとした習慣で、仕事や学習の効率は劇的に上がる!
本書では「広く浅く情報を拾う『いいとこ取り読書法』」「潜在意識をポジティブにする『ひと言日記』」など、翌日の仕事・勉強の効率が飛躍的にアップする夜の過ごし方を紹介。"寝る前のたった30分で、人生の3分の1をしめている睡眠を、「新たな勉強時間」に変える方法" を伝授します。