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子どもも大人も“全員で体験” 「デザインあ展neo」で日常にない刺激を覚える【展覧会レポ】

PHPオンライン編集部

2025年04月21日 公開

子どもも大人も“全員で体験” 「デザインあ展neo」で日常にない刺激を覚える【展覧会レポ】


入り口を入ってすぐに出迎えてくれるのは、大きな風船でできた「あ」の文字。ふわりと浮かぶその姿に、早くも「デザインあ」の世界観へ引き込まれます。

NHKの人気番組『デザインあneo』の世界を体感できる展覧会「デザインあ展」が、4月18日から虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内の「TOKYO NODE」で開催中。今回で3回目の開催となる本展は、2013年に21_21 DESIGN SIGHTで行われた第一期、そしてそれをアップデートした第二期(2018年~2021年)を経て、さらに新しいかたちへと進化していました。

開催前日に行われた内覧会に、子育てメディアnobico編集部の担当者とお邪魔してきました。思わず仕事を忘れそうになるほど、夢中になって楽しんでしまいました。

 

三期目は「動詞」に着目

デザインあ
左から、中村勇吾さん、佐藤卓さん、蓮沼執太さん

総合ディレクターの佐藤卓さんは、今回の展覧会について「一期や二期のやり方をそのまま継承するだけでは、"裏切り"が足りないのでは?」と語っていました。そこでたどり着いたのが、"動詞"というテーマとのこと。

「日常にデザインと関係のないものはひとつもない。だからこそ、子どもの頃から"デザインマインド"を育てることが大切なのではないか」——そんな考えが、番組や展覧会を続けていく原動力になっているそうです。

展示を構成しているのは、番組づくりに関わるメンバーたち。映像ディレクターの中村勇吾さんは、「3日前くらいに僕らも完成したものを見たのですが、自分で言うのもなんですけど、かなり面白いです。"バック・トゥ・ザ・フューチャー3"くらいの完成度かも」と、笑いながら話してくれました。

番組と同様に、子ども向けでありながら"子ども扱いしすぎない"ことが大事にされていて、ストレートで親しみやすく、大人にとっても楽しめる内容になっています。

また、音楽ディレクターとして3年程前から参加している蓮沼執太さんは、「これまでの"デザインあ"が完成されていたから、自分が入る余地があるのかすごく悩みました」と話してくれました。けれど、実力派のスタッフに囲まれながら、自身も全力で音楽制作に取り組んだとのこと。番組で制作した約2,3年分の音楽は、今回レコードとして発売されています。

 

「遊び心」のオンパレード

デザインあ

会場に入り天井を見上げると、「たべる」「すわる」「こわす」など、たくさんの"動詞"が書かれたパネルが吊るされています。その下には、それぞれの動詞に合わせた展示がずらり。展示物は35点。テーマに沿って、体験しながら楽しめる構成になっていました。

序盤にある「あるく」のコーナーでは、カメラの前でポーズをとると、参加者のポーズが組み合わされて、正面にある大きな画面上でまるでアニメーションのように歩き出します。

デザインあ
指示通りのポーズをすると「カシャ」と音が鳴って撮影完了

デザインあ
巨大画面に撮った写真が映し出され、他の参加者と組み合わさって歩いているように見える

 

大人も夢中に!ユニークな「たべる」体験

デザインあ
気になった食感のボールを選んで...

デザインあ
お団子の完成。お味はどうなのでしょうか...

「たべる」のエリアもとても人気でした。食感を表す"オノマトペ"が書かれた木のボールをお皿に乗せて、自由に"料理"を作ってみるコーナー、巨大なお箸で持ち上げられたお餅と写真撮影など、どれもユニーク。やはり食べ物はみんな大好き。大人も子どもも自然と笑顔になっていました。

デザインあ
またがったり、座ったり、寝そべったりできる《たべられるきもち》という作品。生まれて初めて箸に座りました

 

「学童の椅子」「壺を破壊」内に秘めた願望が叶う?

デザインあ

「座る」の展示では、《学童の椅子の夢》という作品が印象的でした。よく学校で見かける椅子が、ベンチやロッキングチェアに変身していて、「こんな椅子があったらいいのに!」と思えるようなアイデアが詰まっています。シンプルな"座る"という行為にも、たくさんの発見があることに気づかされました。

デザインあ

デザインあ

「こわす」のコーナーでは、なんと花瓶や壺などの陶器を模したオブジェを、思いきり壊すことができます!手に持って、ガシャンと割るあの感覚は、ちょっとクセになりそう。

そしてそのあと、壊れたパーツをパズルのように組み立て直すことができます。企画したYOYさんによると、オブジェは日本の「金継ぎ」にヒントを得てデザインしたそう。壊すことは日常であまり体験しないからこそ、今回の企画のきっかけになったとのことです。

 

いろいろな「かく」体験が楽しめる

デザインあ

デザインあ

《かくかくしかじか》という作品では、指定された文字をパネルに書いてみると、あれ? 正面のモニターに映る文字が全然違う...!筆跡は同じなのに、反転したり、ひっくり返ったりして、別の言葉になって現れます。

この展示を手がけたのは、大日本タイポ組合。文字にまつわる体験をと考える中で、こうした"しかけ"にたどり着いたそうです。変化のパターンをいくつも考えるのは、なかなか苦労があったとか。

デザインあ

会場の奥には、デッサンができるスペースもあります。真ん中には本物のバイクがドンと置かれていて、それを囲むように用意されたボードの上で、来場者が思い思いにスケッチ。描いた絵はすぐにスキャンされ、正面のスクリーンに一覧で並べられます。自分の絵が映る瞬間は、なんだかうれしいですね。

デザインあ

デザインあ

そのお隣には「あ」の文字に自由に色を塗れるコーナーが用意されています。色鉛筆やペンを使ってカラフルに仕上げた「あ」は、運営スタッフの目にとまれば、なんと実際の番組で紹介されるチャンスもあるそう!そんな話を聞いたら、ついつい真剣に描いてしまいます。

 

蓮沼執太さんが作った音楽に癒される

デザインあ

大きな展示室を抜けると、次の部屋では、壁一周に映し出される映像とともに、蓮沼執太さんが手がけた音楽が流れます。映像はテンポよく切り替わり、ビジュアルと音楽が連動することで、視覚と聴覚の両方から楽しめる空間になっていました。座って鑑賞してもいいとのことで、じっと居座ってしまいそう。

デザインあ

さらに奥へと進むと、「デザインどっちでショー」というコーナーが登場。これは、映像によるディベートショーなのですが、ただ観るだけではなく、来場者も巻き込む参加型の仕掛けが盛り込まれています。先行招待で訪れていたお子さんたちがスクリーンに夢中になっている様子も、とても印象的でした。

 

大人も時間を忘れて遊んでしまう

デザインあ
ポールに当たると「あ」という音が鳴る、ひやひやどきどきな体験

ざっとご紹介しましたが、見どころが多すぎて、すべてを記事には書ききれませんでした...。展示を通して『デザインあneo』という番組の、クリエイティブのレベルの高さを改めて実感しました。

子どもが飽きずに楽しめるのはもちろんのこと、大人も思わず夢中になってしまうポイントがあちこちに散りばめられています。

絵を描いたり、字を書いたり、モノを運んだり、壊したり、組み立てたり。日常の中でそう多くはしない「動詞」ばかりで、感覚的に頭が刺激されるような、そんな体験が待っていました。

デザインあ
以前の「デザインあ展」にもあった、「あ」の一部になれて嬉しかった

 

【展覧会情報】

デザインあ展neo

会期:2025年4月18日(金)~9月23日(火・祝)

  • 会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)

  • 開館時間:10:00〜19:00(最終入場 18:30)

  • ※チケットはすべて【日時指定予約制】

  • 一般(18歳以上):2,500円
    高校生・中学生:1,200円
    小学生:1,000円
    2歳以上:500円
    ※小学生以下のお子様は、チケットをお持ちの保護者の方の同伴が必要です。
    2歳未満:無料
    介助者:無料(障がい者1名につき1名まで)

  • チケットは公式サイトより購入できます。オンライン購入が基本ですが、当日券も一部販売あり(※在庫がある場合のみ/会場8Fインフォメーションにて)。

    ▶︎チケット購入・詳細はこちら:
    https://exhibition-ah-neo.jp

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