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『歴史の十字路に立って』―石原慎太郎、次世代の日本人へのメッセージ



2015年06月11日 公開

PHP研究所学芸出版部

 「戦後70年」――。いかにも重い響きがある。何しろ70年といえば、人の一生に相当する。その重い、節目の年に、歴史の生き証人として誰の本を出版し、何を世に問うべきか。そんなことを昨夏より漠然と考えていたのだが、私の脳裏に真っ先に浮かんだのは「石原慎太郎先生に戦後70年を語ってもらう」という企画だった。

 むろん、石原先生の企画となれば他社との激しい競合も予想され、太いパイプがあるわけでもない自分が依頼したところで断られるのは目に見えている。「実現は無理か……」と断念しかけたが、戦後70年企画について考えれば考えるほど「やはり、石原先生しかない」との思いを払拭できない。そこで、石原先生と旧知の人物の紹介という形で、玉砕覚悟で思いのたけを綴った手紙をしたため、アポイントを申し込んだ。まだ、年末に解散・衆院選挙が行われるとは予想されていない時期のことだった。

 僥倖というか、一番乗りの申し込みに、石原事務所の厚い扉は開いた。当時の石原先生は、「日本維新の会」から分党した新党「次世代の党」を設立し、最高顧問に就任していた。「まあ、日本にとって一つのけじめの年だから、やってみようや」ということに相成った。

 だが、好事魔多し。ご承知のとおり、昨秋より年末にかけて永田町は選挙戦に突入し、出版企画どころではなくなった。選挙の結果、「次世代の党」は惨敗し、石原先生は政界引退を表明。秘書に連絡を入れて様子を探ったところ、「本人も疲れており、しばらく時間をください」とのことだったが、この絶好のタイミングを競合他社が見逃すはずがない。実際、錚々たる複数の出版社からオファーが舞い込んだ。だが石原先生は、「仁義だから」とブレることなく、「君のところで」とおっしゃってくださった。胸が熱くなった。

 そして桜の咲く季節になり、先生のお宅で書き下ろし原稿を頂戴した。「力が入ったよ、疲れた」との言葉とともに。一晩かけて通読。大袈裟ではなく、身体中どころか精神全体が充足感に満たされるほどの“玉稿”だった。

 亡き高見順氏は作家と時代の関わりについて「時代と一緒に寝る」と表現したが、石原先生こそはまさに戦後70年という時代と一緒に寝た作家であり、伴走した政治家だろう。その意味でも本作は、今夏の日本人にとって必読の一冊との自負と自信が私にはある。



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