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ネガティブ思考は行動で解消可能 精神科医が解説「心をラクにする3つの方法」

精神科医Tomy

2024年12月13日 公開

ネガティブ思考は行動で解消可能 精神科医が解説「心をラクにする3つの方法」

イライラしたり、落ち込んでしまったり...ネガティブ思考に陥った時、カラダを整えることが解決策になるかもしれません。精神科医Tomyさんの書籍『穏やかに生きる術』より、メンタルにも効果的な"カラダをラクにする3つの方法"を紹介します。

※本稿は、精神科医Tomy著『穏やかに生きる術』(KADOKAWA)を一部抜粋・編集したものです。

 

カラダを整える

人は気持ちをラクにしようと思ったとき、「気持ちをどうもっていった方がいいのか」に焦点を当ててしまいがちです。しかし、気持ちは気まぐれなものですから、なかなかコントロールが難しい。できなくはないのですが、かなり時間も必要としますし、確実ではないのです。

たとえば、暗い気分になっているときに「嫌なことを考えても仕方がない。前向きになりましょう」と言われても、簡単にはできないわけです。「そうは言われても......」と思いますよね。そもそも、それができるのなら悩んでなんかいないよ、という話です。

実は気持ちをラクにするには、気持ちではなく環境やカラダをラクにするのが一番いいのです。気持ちは気まぐれですが、単純でもあります。

たとえば、先輩に怒られてクヨクヨしていたとしても、彼女から映画のデートに誘われた瞬間にルンルン気分になったりする。イライラしていても、人気のカフェで美味しいスイーツを食べたらご機嫌になる。疲れて気力がなくても、ぐっすり寝たら元気になる。そういうものです。なのでラクに生きるためには、カラダをラクにするのも非常に有効な手段なのです。

 

カラダをラクにする3つの方法

①運動をする

運動が健康に良いのは、よく知られていることですが、精神面でもかなりの効果を発揮します。たとえばうつ病でも運動による改善効果が様々な論文で認められています。

実はこうしたうつ病の分野では、効果を判定するのが難しいのですが、運動に関しては、運動の有用性を示す論文(※)が数多くみられます。

もちろん運動といっても様々ですし、やりすぎはよくありません。軽めの有酸素運動がおすすめです。散歩やウォーキング、サイクリング、水泳などを気持ちよい程度に行う。これらの運動は「頭をお暇にしない」ためにも有効です。

(※Rimer J, Dwan K, Lawlor DA, et al:Exercise for depression. Cochrane Database Syst Rev 7)

 

ネガティブなことをクヨクヨと考えてしまいそうなときは、目の前のことに集中できていません。そんなときに軽めの有酸素運動を行うと、その行動に意識がいきます。結果としてネガティブなことを忘れて良い気分転換にもなるのです。

基本は軽めの有酸素運動ですが、私の場合、これに加えて筋肉トレーニングも行っています。筋肉トレーニングは自分の体形も変わるので、モチベーションを維持できて楽しいです。もちろん人によって相性があると思うので、無理に行う必要はありません。

他にも趣味でスポーツをやっている方は大勢いらっしゃると思いますが、メンタルを「ラクに」もっていくために大いに有効です。

私の実感ですが、運動中は一時的に考え事を忘れています。体は疲れているけれど、脳は休息できているように感じます。脳と体を交互に使うことで、交代で休息させることができていると思います。

 

②副交感神経を優位にする

自律神経とは、簡単に言うと自分の意識とは無関係に働いて、身体を自律的に調節する神経のグループのことです。この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、お互いを補うように身体を調整します。

主に「交感神経」は、身体を活動させる方向に、「副交感神経」は身体をリラックスさせる方向に機能します。

たとえば、何かに追いかけられて逃げるとき、何かを捕まえようと追いかけるときなどは交感神経が優位になります。脈が速くなり、血圧が上がり、瞳孔は小さくなります。胃腸の動きは抑制されます。これらは交感神経の働きによるものです。

一方で、家にいてリラックスしていたり、そろそろ寝ようかというときには「副交感神経」が優位になります。脈拍はゆっくりとなり、血圧も下がり、瞳孔は広がります。胃腸の動きも促進され、おなかがすいたり、便意を感じたりします。

どちらも必要な機能なのですが、気持ちをラクにもっていくためには、身体をリラックスさせるための「副交感神経」を積極的に活用するのがおすすめです。もしかすると既にその方法を取り入れている方もいるかもしれません。

たとえば深呼吸。副交感神経優位のときだと呼吸はゆっくりと深くなりますが、深呼吸はこの呼吸を意図的に取り入れるものです。

またヨガも副交感神経を優位にもっていくには良い方法です。ヨガでも、呼吸のコントロールはよく用いられます。他にもストレッチ、半身浴など副交感神経を優位にする方法はあります。

精神的に不安定なときは、本来リラックスすべき時間にリラックスできなくなることが多いです。交感神経優位な日中の活動を終え、自宅でリラックスして徐々に就寝にもっていく。このリズムがあってこそ、翌日も元気に活動できるのです。

しかし、あまりにストレスが強かったり、忙しすぎたりすると副交感神経が上手く働かない。寝つきが悪くなったり、興奮してちゃんと休めないまま翌日を迎えたりしてしまいます。副交感神経を優位にすることを意識するのは強い武器になります。

ちなみに私の場合は、寝る前にレッスン動画を見ながらヨガをしています。寝つきやすくなるのでとても良い方法だと思います。

 

③刺激物を摂取することを減らす

アルコールやたばこ、カフェインなどの摂取を日常的に行っているのでしたら、ぜひそれを減らす、あるいはやめることを検討してみてください。こうした嗜好品は、一時的には精神をラクにしてくれる可能性がありますが、長期的には逆効果になりえます。

また過剰な摂取は中毒や依存症になる可能性すらあります。たとえばアルコールは、一時的に不安を和らげ、眠気も誘います。しかし、慢性的に摂取すると逆に不安を高めたり、不眠を引き起こしたりします。

私の場合は、お酒、特に日本酒は好きなので嗜たしなみますが、誰かと食事に行ったときのみにしています。晩酌や一人で飲む、家の中でも飲むということはしません。カフェインも原稿を書くときにはあった方がいいのでコーヒーは飲んでいます。ただ夕方の4時以降は摂取しないと決めています。夜寝つきが悪くなるためです。たばこは全く吸いません。

100%やめるべきとまではいいませんが、刺激物の無節操な摂取がアナタを苦しめる可能性があります。自分なりのルールを作ることが大切です。

 

著者紹介

精神科医Tomy(せいしんかい・とみー)

精神科医

1978年生まれ。東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。現在は心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破(2023年10月時点)のX(旧Twitter)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1秒シリーズ」は、33万部突破のベストセラー。

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