中国が仕掛けるオンナの「歴史戦」に断固対抗せよ
2016年06月23日 公開 2024年12月16日 更新
写真撮影:橋本浩美
新たな「歴史戦」の火蓋が切られた!
宋美齢、アイリス・チャン、クマラスワミ……。米中を舞台とするオンナたちの策動で、日本は不当なレッテルを貼られてきた。私たちは同じオンナとして、日本人として、もう黙ってはいられない!!
天安門事件(1989年6月)以前からの中国社会を熟知するノンフィクション作家の河添恵子氏と、国連へ乗り込み、慰安婦問題の嘘に果敢に斬り込んだ前衆議院議員・杉田水脈氏。保守の女性論客2人が世界での見聞・体験をまじえながら、日本は「歴史戦」にいかに臨むべきかを徹底討論した『「歴史戦」はオンナの闘い』が、PHP研究所より発売された。
そこで今回は「中国が仕掛けるオンナの歴史戦」について、本書よりその一部を抜粋して紹介する。
戦後70年の8月15日にオープンした「抗日戦争記念館」
河添 中国は上海閥のドン、江沢民が国家主席だった1990年代より、「愛国主義教育模範基地」と称した「反日拠点」を国内に設け、アメリカなどの華僑・華人団体とも密接につながり、韓国系とも連携し、アメリカを主舞台に「南京大虐殺」「従軍慰安婦」など、捏造の史実の拡散と戦争責任の追及に心血を注ぐ活動を展開しています。
現在、その中心的な海外拠点と言えるのが米カリフォルニア州サンフランシスコ市です。私は同市を基点にカリフォルニア州の広範囲を取材し、書籍や雑誌などで記事を発表しながら定点観測も続けてきました。そして恐れていたというか、やっぱりそうなったかという事態が2015年8月に報じられました。
杉田 サンフランシスコ市のチャイナタウンにできた、「抗日戦争記念館」の件ですね。
河添 そうです。中国国外で初となる抗日戦争記念館が、終戦70年の8月15日にオープンしました。中国語の表記は「海外抗日戦争紀念館」で、財団創設者で名誉館長は在米女性実業家で社会活動家の方李邦琴(フローレンス・ファン、Florence Fang)。
中国語と英語で併記されたA4のパンフレットの挨拶文には、「第二次世界大戦のあいだ、ナチス・ドイツに約600万人のユダヤ人が虐殺され、全世界に167カ所のユダヤ記念館や記念碑がある。一方、日本軍国主義により3500万人以上の中国人が抹殺されたが、海外に記念館は一つもない。これではこの悲惨な歴史を世界が理解できない」などと記されています。
杉田 中国人だけで3500万人! ありえない数字です。
河添 「中国人同士で殺し合った死傷者数ですか?」ってね。「展示コーナー」の盧溝橋事件(1937年7月7日)から始まる展示パネルに何らリアリティはないのですが、記念館は将来的に地下階までフロアを広げる予定で、パンフレットには「戦争の遺産は世界各所にまだある。同館は現物の日本語の資料の収集も広く行っている。是非とも提供をお願いしたい」との呼びかけまで記されています。
開館にあたってはチャイナタウンの街頭で開幕セレモニーを催していますが、戦後70年を区切りに、新たな「歴史戦」への宣戦布告をしたのだなと私は受け取りました。
杉田 同感です。まさに新たな「歴史戦」が火蓋を切っていますね。カリフォルニア州ロサンゼルス郡グレンデール市に行った際、ユダヤのホロコースト記念館や博物館に慰安婦の展示コーナーを設けるといった話が進んでいると聞きました。「日本軍の侵略、さらには慰安婦の強制連行、性奴隷はユダヤのホロコーストに匹敵する、酷い戦争犯罪だ」と印象づけるためにね。
抗日戦争記念館の関係者には、日系三世のマイク・ホンダ下院議員の名前も含まれていますよね。
河添 そろそろ用なしかと思っていたのに、しぶとくて困ったジイさんです。その他、抗日戦争記念館の創設に関係した人物として、戦後に台湾へ逃げた中華民国陸軍上将で1919年生まれの郝柏村の名前もありますし、フライング・タイガー・ヒストリカル・オーガニゼーションのチェアマンの名前も記されています。郝柏村の息子、郝龍斌は台北市長や中国国民党副主席を務めるなど台湾政界のエリートです。
名前こそ記されていませんが、超大物の陳香梅女史、英語名ではアンナ・チェン・シェンノートも関わったようです。「海外抗日記念館の名誉議長」との記述もあります。
1930年代、日本軍と戦争状態にあった中国国民党政府を支援し、日本軍を攻撃するためのアメリカ空軍兵らによる義勇兵組織、フライング・タイガー(飛虎隊)を指揮したクレア・L・シェンノート将軍の妻だった女性です。すでに九十歳をすぎていますが、創設者の方李邦琴女史とのツーショットの近影も確認しました。
陳香梅女史は、私の見立てでは戦後の米中台関係、丁寧に表現しなおすと、アメリカの共和党と民主党、そして中華民国の中国国民党、そして中華人民共和国の中国共産党の関係構築に表で裏で奔走してきたナンバーワン・ロビイストです。
彼女の母方の家系は孫文側近の廖仲凱です。その息子で、共産党政権で華僑工作を一手に取り仕切った廖承志ともつながるわけです。