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社会

中国が仕掛けるオンナの「歴史戦」に断固対抗せよ

杉田水脈(前衆議院議員)×河添恵子(ノンフィクション作家)

2016年06月23日 公開 2016年08月15日 更新

中国の政治工作はオンナの使い方が巧み!

「歴史戦」はオンナの闘い 杉田 抗日戦争記念館は、「世界抗日戦争史実維護連合会」のサンフランシスコ支部が置かれていた建物ですよね。

 河添 そうです。「世界抗日戦争史実維護連合会」の本部はカリフォルニア州クパチーノ市にありますが、サンフランシスコ支部が置かれていた建物をリフォームして、抗日戦争記念館としてリニューアルしました。建物の所有者は方李邦琴女史です。
 1994年前後に発足した世界抗日連合会の英語名は、Global Alliance for Preserving the History of WWII in Asiaですから、中国名とはまったく違いますよね! 

 杉田 中国名と英語名の違いについて、私も以前、訪米した際に在住邦人の方からお話を伺いました。中国名には「抗日」とあるのに英語名にはその表現が含まれていないので、日本バッシングが目的だとわかっていないアメリカ人がほとんどだと。

 河添 ホント巧妙というか、我々日本人にはわかりやすいウソ(苦笑)。アメリカ、カナダ、香港を中心とする世界中の30歳前後の中国系、韓国系、日系団体を結集させて世界抗日連合会を結成させた、といった内容を読んだことがありますが、結成の目的は、「日本政府に正式に謝罪させること」「人民はじめアジアの被害者すべてに補償を実施させる」「日本の歴史教科書の誤りを正す」「日本が再び不当な侵略行為を開始することを阻止するため、アメリカ、中国、日本および他の諸国で、過去の日本の侵略に対する批判が高まるよう、国際世論を喚起する」などです。
 そして1997年、手始めに中国系アメリカ人のアイリス・チャンに『ザ・レイプ・オブ・南京』を書かせて、大々的に宣伝し、2005年には日本の国連安保理常任理事国入りに反対する署名を全世界規模で数千万人集めたり、2012年9月には、日本政府による尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモをサンフランシスコで指揮するなど、これまで数々の「実績」があります。

 杉田 アイリス・チャンも世界抗日連合会のメンバーだったようですが、若くして亡くなりましたよね。

 河添 公には自殺ですが、「他殺では?」との声もずっとくすぶっています。しかもサンフランシスコの抗日戦争記念館に、アイリス・チャンの足跡や彼女の著書の展示コーナーはあるのですが、中2階をさらに進み、「プライベート」と書かれたドアを開けて、階段を上った場所、つまり通常の参観コースから外れた、お蔵入り寸前のエリアにひっそりと─なんですよね。

 杉田 すでに用済みってことでしょうね。

 河添 使い倒されて、おしまいってことかな。ここで注目しておきたいのはアイリス・チャンが中国系アメリカ人だったことのみならず、大学院卒の若き才媛だった点です。中国の政治工作は、オンナの使い方が実に巧みなのです。アピール度の高い美女がリクルーティングされ、適材適所で操られます。チャン女史は、自らの意志というより誰かに指図されてチャイナドレスを着たのではないかと思います。勝負服というか演技服ってことでしょうかね。
 もしベテランのおじいちゃん学者や歴史作家が、『ザ・レイプ・オブ・南京』を発表していたら、いくらヤラセ本だったとはいえ、『ニューヨーク・タイムズ』紙のベストセラーリストに10週間も掲載されることはなかったはずです。
 アメリカ社会から「中国人女性は、日本軍に酷い目に遭ったのね」的な同情をマックスで盛り上げるためには、「女子力」こそが鍵ってことなんです。

 杉田 なるほど! 私も慰安婦問題に取り組むなか、「この問題は女性がやったほうがいい」とよく言われます。性の問題はどうしても「男が強者で女が弱者」というイメージがあり、広める側がそれを巧みに使っていることは徐々に気づいていましたが、「女子力」という視点は斬新です。国連も、私が奮闘している部署は左派女子の世界ですからね!

 河添 これからも要所、要所、キーパーソンとして女性が登場しますよ! これが、我々の「女子会」ならぬ「女子対談」の肝になりそうです。
 日本人男性は、とくに中国の政治や戦史を考察する際、妻やら愛人やらオンナが何をしていたのかがよくわかっていないというか、その視点が抜け落ちているように感じます。現代のハニー・トラップもそうですが、中国社会はいつの時代もオンナが実に上手く立ち回っている、表に裏に暗躍している社会なのですけれどね。
 抗日戦争記念館にしても、いま申し上げたとおり、在米女性実業家で社会活動家の方李邦琴……まぁ、この方は現在すでに十分ご年配で80歳を超えたようですが、若き時代もあったわけですし、長年、サンフランシスコの反日活動のキーパーソンでありつづけているのです。
 方は夫の名字で李が彼女の名字ですが、フローレンス・ファンがクリスチャンネームですし、「ファン女史」と呼ばせてもらいます。
 ファン女史は若い頃から眼鏡がトレードマークのようですが、知的でスラッとしたなかなかの美女で、ここ一番のときに体の線にピッタリのチャイナドレスを身にまとい、中華民族を全面にアピールしています。胸に詰め物でも入れているかなと疑いたくなるほど、お年の割には胸の形もお美しい。アメリカ社会は、老婆でも「強姦されました」なんて自慢する社会ですしね。

 杉田 男性の意識もですが、女性の意識も日本人とはかなり違いますね(笑)。

 河添 日本は「カワイイ文化」、西洋社会は「セクシー文化」です(笑)。

著者紹介

河添恵子(かわそえけいこ)

ノンフィクション作家

1963 年、千葉県松戸市生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、1986 年より北京外国語学院、1987 年より遼寧師範大学(大連)へ留学。1994年に作家活動をスタート。2010年に上梓した『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)は、ネット書店Amazon〈中国〉〈社会学概論〉の2部門で半年以上、1位を記録するベストセラー。主な著書は『世界はこれほど日本が好き №1親日国・ポーランドが教えてくれた「美しい日本人」』(祥伝社)、『だから中国は日本の農地を買いにやって来る TPPのためのレポート』『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(共に産経新聞出版)、『国防女子が行く』(共著、ビジネス社)など。世界の学校・教育関連の取材・著作物として図鑑(47冊)他、『エリートの条件――世界の学校・教育最新事情』(全て学研)などがある。『産経新聞』や『正論』『WiLL』『週刊文春』『新潮45』『テーミス』などで執筆。NHK、フジテレビ、テレビ朝日ほか、TVコメンテーターとしての出演も多数。ネットTV(チャンネルAJER、チャンネルくらら)にレギュラー出演中。40 カ国以上を取材。

杉田水脈(すぎたみお)

前衆議院議員

1967 年、兵庫県神戸市生まれ。前衆議院議員(1 期)。日本のこころを大切にする党(旧:次世代の党)所属。鳥取大学農学部を卒業後、住宅メーカー勤務を経て、兵庫県西宮市役所に勤める。2010 年に退職し、2012 年、日本維新の会から出馬し、衆議院議員初当選。従軍慰安婦問題など数々のタブーに切り込み一躍注目を浴びる。他にも子育てや歴史外交問題に積極的に取り組む。充電中の現在も、国際NGOの一員として国連の「女子差別撤廃委員会」「人権基本理事会」などで日本の真実を国際的に発信するなど、東奔西走の日々を送る。国家基本問題研究所客員研究員、チャンネル桜、チャンネルくらら、チャンネルAJERのキャスターを務める。先の著書に『なでしこ復活――女性政治家ができること』(青林堂)、『みんなで学ぼう日本の軍閥』(共著、青林堂)、『胸を張って子ども世代に引き継ぎたい:日本人が誇るべき〈日本の近現代史〉』(共著、ヒカルランド)。現在、『産経新聞Web』に「杉田水脈のなでしこレポート」を連載中。

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