仕事・勉強で悩んだときには
モチベーション維持のコツ
仕事や勉強をずーっとやっていると、「なんだかやる気がしないなぁ……。
もうサボってしまいたいなぁ」なんて思うこともあるんじゃないかな。モチベーションを保ちながら、ひとつのことをずっと続けていくには、いま取り組んでいることに興味を持って、あせらずゆっくりやっていくことだ。
継続してひとつのことをやっていく状態を、燃えているろうそくにたとえると、あせりや無理矢理頑張ることは、強い風となってしまい、ろうそくの火を途中で消してしまうんだよ。
そうならないためには、コツコツコツコツ、一歩ずつ前へ進んでいくのが一番いいんだ。試行錯誤しながら、自分にとってほどよいペースを見つけ出し、それを保つようなやり方をすれば、苦労なく続けていくことができると思うよ。
コツコツ実践していく
いい人間関係を築きたいときには
ムカつく人との接し方
世の中にはいろいろな人がいるから、ときとして「あの人、許せない!」と思うようなこともあると思うよ。だけど、そう思ったときは、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいな。
物事の善悪というのは、個人個人の価値観にしたがって判断されるものだよね。たとえば、時代劇や講談なんかで、ねずみ小僧が出てくるけど、彼は話の中で、お金持ちから盗んだお金を貧しい人に分け与えているよね。人の物を盗むのは悪いことだけど、貧しい人たちからしたら、ねずみ小僧はいい人になる。物事のとらえ方次第で、善悪はひっくりかえってしまうんだ。
だから、自分の価値観にしたがえば許せないと思うことも、他の人の価値観で見たら、まったく気に留めないことかもしれない。そうやって考えていくと、何事も素直に、誠実に、ありのままの姿を見るのが一番、ということになるんだ。
カッとしたり、イライラしたりしているときは、心をまっさらにして相手を見ることが難しいかもしれない。そういうときは、すでに自分の価値観を通して相手を見てしまっているからね。
一度深呼吸でもして、冷静な心を取り戻してから、相手にまつわる過去の記憶や、余計な価値判断を捨てて、目の前にいる相手のことをただ感じてみるといいよ。
いま起きていることは、それ以外に何もないからね。いつもイライラしているように見える相手は、目の前にいるその人じゃなくて、自分が作った幻想なのかもしれないよ。
昨日の自分は昨日で終わり。今日は新しい自分
苦境に立たされたときには
どんなにつらいことも、時間が解決してくれる
目の前にあることを一生懸命やっていても、思わぬことをきっかけに、やっていたことがダメになることもある。そんなときは、さぞかしつらいだろうと思うよ。
戦後、僕の父親は、荻窪の駅前でラーメン屋さんをやっていたんだ。
朝8時に仕事を始めて、仕入れや仕込み作業が終わる11時にお店を開き、酔っ払ったお客さんたちが帰る深夜3時頃、ようやくお店を閉める。それから鍋の火を落として掃除をして、やっと眠れたと思いきや、すぐに朝がきて、仕込みを始めるんだ。
僕も手伝いをしていたんだけど、毎日同じリズムで夢中になって働いていたら、あっという間に4~5年たってね。結構繁盛していたんだよ。だけど、あるとき突然火事に巻き込まれて、ラーメン屋も周辺の店もみんな焼けてしまったんだ。犯人は捕まったものの、証拠不十分ですぐに釈放されたし、火事の原因もわからずじまい。
火事から一週間たっても、捜査中だからといって、お店のあった場所に入らせてもらえなくてね。途方に暮れているわけにもいかないから、お店を失った人たちは、東京都や都議会議員に「立ち入り禁止を解いて、仕事をできるようにしてください」と頼むんだけど、一向にらちがあかない。そのうち、お店のあった地域一帯に、区画規制対象のため、飲食店の営業は禁止する、という条例のようなものができてしまった。雀の涙ほどの立ち退き料を与えられて、商売を再開することは叶わなかったんだ。
またラーメン屋で働くことを心待ちにしていたから、目の前が真っ暗になって、すごくショックだったよ。
だけど、どんなにつらいことも、時間が解決してくれる。いつか、あんなこともあったな、と思える日が必ずくるから、現状を見て絶望することはないよ。人生を長い目で見て、いまできることを一生懸命やっていけばいいからね。
いまだけが人生じゃない。いいと思える日がきっとくる
※本記事は、PHP文庫、酒井雄哉著『あなたには幸せになる力がある』の一部を抜粋編集したものです。