(写真提供:立命館大学)
近年、志願者数を伸ばし続けている立命館大学。2024年には他大学が勢いを落とす中で約4000人の増加を記録するなど、際立った成長を見せている。
本稿では立命館大学客員教授の西山昭彦氏による書籍『立命館がすごい』より、国家公務員総合職試験や公認会計士試験における合格実績のデータをもとに立命館大学の実力を紐解く。
※本稿は、西山昭彦著『立命館がすごい』(PHP新書)を一部抜粋・編集したものです。
2023年の志願者増加
学生数=ストックの上位5大学は、志願者数でもベスト10に入っている。志願者の絶対数は、ここではあまり考えない。
たとえば早大が近大ほかより少ないのは、難易度が高く、最初から受けない学生が多いためともとれる。志願倍率の低さは国立大でよくある現象である。むしろ前年比の変化に注目して、直近の動きを見る。
表1−1のストック1位の日本大学は志願者が2万人以上減少、4位の近畿大学も5000人以上減少している。イメージダウンがあるのだろうか。東洋大学が大きく伸び、明治、早稲田はあまり変わっていない。立命館は約4000人増えており、ストック5位のなかでは最も増加している。現在の傾向として、受験生の評価が高まっていることがわかる。
立命館の伸び
最後に、立命館大学がどのように伸びてきたのかを見る。
1980年から2000年まで20年間に学部が2つ、院が2つ増えて学生・大学院生計は+1万900人である。次の2000年から2023年までは、学部が8つから16へと2倍に、大学院は8から21へと2.6倍になり、合計で+5694人となっている。
わが国では1992年以降、18歳人口が減り続けるなかで、立命館は2000年以降も学部、研究科の新設に力を入れ、学生・院生数もそれに応じて増えている。2000年代に学部数・院数の増加ほどには学生数が増えていないのは、既存学部に比べて新設学部の定員が大きくないからと見られる。逆にいえば、きめ細かい勉学ニーズにも対応してきたといえる。
立命館の実力は全国3位
▪国家公務員総合職試験
量的な拡大は、質的向上を伴って初めて長期的な成長のベースになる。レベルを測るのに、何の指標を見るかはやっかいだ。学生の成績は教員のつける基準が異なるので、まったく適さないし、入手もできない。入学時から成長した卒業時のレベルで比べたいので、大学入学共通テストなど入学時のデータも使えない。外部のデータで、合格率がとても高い資格試験などは差が出にくい。
大学生の後半年次に受けられ、難易度が高く、地域の偏りが少なく全国的で、信頼できる試験というと、民間でなく国が実施するものが最も信用が高く、適していると判断できる。そのなかの最難関である「国家公務員総合職試験」が浮かんでくる(いわゆるキャリア官僚の試験で、この後、官庁訪問という名の面接を経て各官庁の採用が決まる)。
一番新しいのは、2024年度国家公務員総合職試験(春試験)である。人事院が5月末に発表したもので、その出身大学別合格者を見ると、東大、京大に次ぐ3位が立命館だ。ベスト10には名門国立が7、早慶と立命館が入っている。この結果から、学生上位層の実力レベルは3位と言うことができる。量的・質的両面で立命館の3位が検証されたことになる。
▪公認会計士試験
難関試験としては、ほかに民間での活躍が期待される公認会計士試験がある。公認会計士試験合格者は表1−6の通り、2023年は9位で、一橋大学、法政大学と同位である(余談だが、この種の順位に各大学の学生数は考慮されていない。たとえば、一橋大学は1学年1000人に対して、法政大学は7000人を越えており、合格率で見るとまったく違った結果になる)。2022年は立命館大学は5位で、例年10位以内をキープしている。
▪官民の合算
ここで、公認会計士2023年と国家公務員2024年(春)両方で5位以内に入っている大学を列挙すると、表1−7となり、この5大学が官民を合わせたときトップ5になる(順不同)。
ここから言えることは、立命館大学はベスト5に入るレベルで、地方(首都圏以外)の私立では唯一ということだ。つまり、立命館の学生の上位層は東大、京大、早慶と遜色ない実力を持っており、首都圏にないため知名度が低いが、我が国の人的資本、人材獲得の面で貴重な人的リソースであることがわかる。
新卒の市場で、東京の有力企業が内定者の獲得に苦戦している声をよく聞く。首都圏の学生にはほぼ広報が浸透している一方で、関西の学生の獲得にもっと力を入れるべき根拠になるデータである。