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生き方

「いい習慣」の呪縛から抜け出す方法とは?

心屋仁之助(心理カウンセラー)

2017年05月15日 公開 2023年09月12日 更新

心屋仁之助

夜更かししたければすればいい

こうして続けられない根本原因がわかったら、もう、続けられないことを責めたり、悩むことをやめ、本当に好きだと思えることをやりましょう。

僕は昨年、51歳からピアノを始めて、その8カ月後に日本武道館で開催されたコンサートで、4曲もピアノの弾き語りをしました。

昔からピアノが弾けたらいいなと思っていたのですが、「いやいや今さら」とずっと自分で否定してしまっていたんですね。だけど、ある日「ピアノをやろう」と思い立ち、翌日には電子ピアノを買いました。それから毎日弾いたんです。

もちろん、最初は思うように弾けません。でもそれが楽しい。そして毎日弾いていると、少しずつ思うように弾けるようになる。それがまた、さらに楽しい。

武道館で披露する前に、小さなライブハウスで何度か人前で弾きました。たくさんミスをして恥をかいて、「よーし、今度こそ!」とさらに練習しました。ピアノが楽しいから、多少大変なことがあっても、ずっと続けているのです。

逆に、やめたいと思っているマイナスの習慣がある人もいるかもしれません。お酒やタバコ、夜更かし、ゲームなど...。冒頭で、人は好き嫌いよりも損得に流れると言いましたが、マイナスの習慣とされるものは、まさに損すると思われているものばかりですね。

でも、いいんですよ。夜更かしをやめられない人は、夜更かしすればいいのです。たぶん、何かが楽しいから夜更かししているんですよね。夢中になって何かしていて、「あっ、もうこんな時間だ。あー楽しかった」と眠ればいいのです。

それが、ネットでもゲームでも、なんの生産性のないことでも別にいいのです。ここで、「こんな時間になっちゃった。明日早いのに、なんて自分はダメなんだ」と思うことがいけない。翌朝も、もし眠くても「昨夜、楽しかったから寝不足なんだよねー」と笑えばいいのです。

自分を責める人は、何をしても責めるのです。遊びすぎたといっては責め、働きすぎだといっては責め、仕事が続かないといっては責め、会社を辞められないといっては責める。

カウンセリングで「もう自分を責めるのをやめましょう」と言うと、「自分を責めるのをやめられません」と、責めるのをやめられない自分を責めるのですから大変ですよ。どれだけ自分を責めることが好きなのか。

「自分を責める」という習慣は、誰に言われるまでもなく、1番続いている習慣なんじゃないでしょうか(笑)。きっと大好きなんでしょう(笑)。マゾですね(笑)。

 

習慣には良いも悪いもない

結局、習慣に「良い」も「悪い」もないというのが僕の考えです。習慣に良いとか悪いとかをくっつけるから、「早起きも続けられないから、仕事もできないんだ」と自分を責める理由になってしまう。早起きしたい人はすればいいし、したくない人はゆっくり起きたらいいのです。

何かが習慣として続いているなら、たまたま好きだったり、たまたまやめるタイミングを逃したり、たまたま環境が良かったり...、全部「たまたま」です。続かなかったことも同じ。そんなことにこだわるより、好きなことをやりましょう。そうすれば、自ずと続くはず。

だけど、そもそも「続けることは良いことだ」という価値観がおかしいのです。続けることは良いことだけれど、タバコなど、これは続けたら良くないとか言い出すから、もうわけがわからない。

続ける・続かない、良い・悪いという価値観からまず自由になって、好きなことを思い切り楽しみましょう。それが結果として「習慣化」につながるのではないかと思います。

(『THE21』2017年5月号特集「なぜか仕事ができる人の習慣」より)

 

著者紹介

心屋仁之助(こころや・じんのすけ)

心理カウンセラー

1964年、兵庫県生まれ。大学卒業後、佐川急便に入社。営業企画部門の管理職を19年間務めたのち退職、心理の世界へ。「自分を好きになる」ためのサポートを行なう「性格リフォーム心理カウンセラー」として、独自手法の“言ってみる”心理カウンセリングや、その手法を広めるためのカウンセリングスクール・セミナー・講演・執筆活動などを行なう。『「心が凹んだとき」に読む本』(王様文庫)など、著書の累計は280万部を超える。4万人の読者をもつメールマガジンを発行。テレビ番組にレギュラー出演するなど、メディアでも活躍中。

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