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意欲が湧かないのは「行動の効率化」を求められ続けてきたから

飯塚浩(メディカルストレスケア飯塚クリニック院長)

2022年08月26日 公開

意欲が湧かないのは「行動の効率化」を求められ続けてきたから

何をするにも「こうしなきゃいけない」というネガティブな動機で行動していると、苦しいのが当たり前になり、慢性的なストレスがかかってしまいます。では、何事にもポジティブに行動するためにはどうしたらいいのでしょうか。

メディカルストレスケア飯塚クリニック院長の飯塚浩氏が、ポジティブモチベーションを作る、マインドセットの方法を紹介します。

※本稿は、飯塚浩著『小さな町の精神科の名医が教えるメンタルを強くする食習慣』(アチーブメント出版)より、内容を一部を抜粋・編集したものです。

 

見た目が元気でもエネルギー不足になっている

人それぞれ健康論があります。「バランスのよい食事、適度な運動、規則正しい生活」と言う人もいれば、「お酒があるから調子がよくなるし、ストレス解消になる」とか「週に1度は温泉やサウナに行きます」と言う人もいるでしょう。

健康とはなんでしょうか? わたしは健康とは心地よさだと考えています。どこも痛くなくても、不調ではなくても、心地悪ければ不健康です。

たいていの人は今よりもっと心地よくなれます。つまりもっと健康になれるのです。

見た目に元気そうでもエネルギー不足に陥っている人はたくさんいます。たとえば、休めていない人です。実際は疲れているのに、カフェインやアルコールなどの依存物質を摂取することで無理に体を元気な状態に保って仕事をしたりしています。

うつ病は「うまく休めないからうまく働けなくなってしまっている」状態です。ひどく気持ちが落ち込んだ状態を指すイメージが強いですが、興奮が下げられずにいる状態にも当てはまるのです。

 

意欲・集中力はリラックスとセット

疲れたら休むことでバランスを取るのが人間です。心も体も緊張したらどこかで1度ゆるめなければ回復しません。しかし、うつ病だと張り詰めたままになってしまいます。ゆるめたいときでもずっと緊張が続いている。

そうすると何が起こるでしょうか?

疲れが取れないまま、また力む。疲れがどんどん溜まって、なんとかしようとますます力む。いつの間にか、力むのが当たり前になり、まったく力む必要がないささいなことをするときにも力が入ってしまうようになります。

意欲や集中力はリラックスとセットです。根性とセットではないのです。高くジャンプする前に膝を深く曲げるのと一緒。いいリラックスがあるから自然な意欲や集中力が生まれます。

ずっと気を張っていると意欲や集中力はどんどん落ちてきます。それでもがんばっていると、そのうちとくに疲れるようなことはしていないのに、やる気が起きないという状態になります。

強く力んでいる状態は、一見元気に見えることもあります。だから周りの人は、いつもテンションが高いし、元気だと思っている。でも、本人はゆるみたくてもゆるめられない。心に突っかえ棒をしているみたいで、落ちるに落ちられない感覚になっているのです。

その状況に本人も苦しさを感じています。ずっと続けられないと思っています。だから「宝くじに当たれば仕事から解放されて幸せになれる!」とか一発逆転を夢見ていたりします。

「人生は苦しくて当たり前。苦しみに耐えて頑張っていると将来少しいいことがある」「生活していくために(嫌な)仕事をしなければいけない」そのようなマインドセットは残念ながら人を常に緊張させ、慢性ストレス状態に陥らせてしまいます。

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