「私は運がいい」と思い込むと、本当に運がよくなる理由
2011年11月12日 公開 2024年12月16日 更新
「私は運がいい」と思い込むとなぜか良い出来事が起こるような気がする…それは物事をどちらから見るかに起因している、と語るのは精神科医・和田秀樹氏――同氏はその思い込みが人生に良い影響を及ぼすとも話す。その真意とは。
※本稿は、PHPムック『強運なあの人がしている10のこと』より一部抜粋・編集したものです。
幸・不幸は「どちらから見るか」
自分は運がいい、運が悪いと、多くの人はご自身の運・不運に大変関心があるようです。しかし私は最近になって思うのです。物事には一方的な幸運、一方的な不運というのはなく、必ずいい面と悪い面が同居しているのだと。
たとえば、私は医者になって早々に、あることがきっかけで目指していた精神科医の道を外れ、内科の研修医になりました。でもその後、「内科と精神科両方がわかる医者が求められている」ということで、老人専門の精神科医になったのです。
それが人生の転機でした。私はそこで人生の師となる人と出会い、その上ライバルが少なかったこともあって、若くして活躍できる場を得られたのです。歩んでいた道を外れたことは一見「不運」でした、が、今振り返ってみれば、私にとっては「幸運」だったわけです。
また、たとえば、あなたが結婚を考えていた相手と20代のときに大失恋をしたとしましょう。これだって考えようです。若いころの失恋は、たいがいたいしたことのない相手にふられるもの。20代でいう「いい男」は、せいぜいルックスがいいとか、スポーツが得意とか、会話が素敵というレベルです。
それしか取り柄のない男と焦って結婚しなかったからこそ、30代、40代になってもっと理想的な相手に出会えるということもあるわけです。要するに、物事には必ずいい面と悪い面がある。大事なのは、そのどちらを見るか、なのです。
「私は運がいい」という思い込みを利用する
運についていうと、私は運・不運そのものではなくて、その「運というものをどう利用するか」こそが大事だと考えています。つまり「私は運がいい」という思い込みを、人生に利用すればいいと思っているのです。
根拠はなくても、「自分は運がいい」と思える人は、前向きに生きていけますし、積極的にいろいろなチャレンジができます。たとえイヤなことがあっても「自分は運がいいのだから、きっと次はいいことがある」と次のチャンスを待つこともできるでしょう。
また恋愛の例になりますが、あなたが職場で一番人気のある男性社員に好意をもったとしましょう。こうした場合、自分から声をかける人もいれば、その男性から声がかかるのを待つ人もいます。
でも、少し考えればわかりますが、向こうから声をかけてくるくらいなら、自分から声をかけたって「成功」という結果は同じなわけです。ならば、自分から声をかけたほうが、ただ待っているだけよりうまくいく確率は高くなります。運がいいと思っている人にはこれができます。
またそういう人は、たとえうまくいかなくても、「縁がなかっただけ」とすぐ気持ちを切り替え、「また次の恋愛ができる。新しい出会いが楽しみ」と考えられるわけです。