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サイバーエージェントの採用基準はたった一つ

曽山哲人(サイバーエージェント取締役人事統括)

2018年05月11日 公開 2022年12月21日 更新

サイバーエージェントの採用基準はたった一つ

「アメーバブログ(アメブロ)」「AbemaTV」をはじめ、数々の新サービスを創出し続けているインターネット関連サービス大手のサイバーエージェント。「21世紀を代表する会社を創る」という理念を掲げるこの成長企業には、入社間もない社員を抜擢し、新規事業や新会社の立ち上げを任せるなど、誰でも活躍できる環境があるという。一体、どのようにして社員の強みを発掘しているのか。人材マネジメントを担う曽山哲人氏に、お話を伺った。
 取材・構成:坂田博史
 写真撮影:にったゆり
 

曽山哲人(株式会社サイバーエージェント取締役人事統括)
そやま・てつひと*1974年神奈川県生まれ。1998年上智大学文学部英文学科卒業、株式会社伊勢丹(現・株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社。紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事したのち、1999年株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。現在は取締役として採用・育成・活性化・適材適所の取り組みに加えて、ソーシャルメディアでの発信なども行なっている。

 

採用基準はたった一つ、「素直でいいやつ」

サイバーエージェントは例年、新卒を300人前後採用していますが、私たちの採用基準は一つだけ。「素直でいいやつ」を選んでいます。

私たちが最も大事だと考えているのは、松下幸之助さんが重視されていたように、物事を素直にあるがままに見ることができること。つまり、自分のいい点も悪い点も素直に受け止め、向き合えることです。これは一緒にチームで仕事をし、ともに成長をしていくために、絶対に必要な資質だと考えています。ただ、面接だけではわからない部分もあるので、インターンシップやグループワークをやってもらい、それらを見た上で判断します。

これ以外にも資質や能力があるほうが望ましいのはもちろんですが、あれこれといくつも基準を設けると、採用はその基準に沿った人物像にしばられてしまいます。ですから当社では、最小限の根本的なところだけを基準としており、その分、個性豊かな人材が集まるようにしているのです。

そして面接では、将来何をやりたいか、どのように考えているかを聞きます。そこで大きな夢を語ってくれる人は、やはり見どころがあると思いますね。反発されたり、批判されたりする可能性があるのに、大きな夢を堂々と語れるということは、それだけ夢に対する本気度が高いといえるからです。

私たちは、「言うことは壮大、やることは愚直」というのが、活躍する人のキーワードだと考えています。大きいことを言えば、まずそれだけ自分に気合が入りますし、応援者も増えやすくなります。もちろん、現実はそれほど甘くないので、愚直に実行する力も大切ですが、まずは夢や目標が語れるかどうかです。

夢を語ってくれる人に対しては、そのリアリティを深掘りして聞いていきます。例えば、「一億人に使われるサービスをつくりたい!」と言った学生がいたとしましょう。その学生には、次のような質問をします。

「具体的にどういうシーンで使われているイメージを持っていますか?」「それがあると、社会はどう変わるのですか?」

具体的なサービス内容まで考えられていなくても、「みんなが集まって笑顔で使っていて……」などと、漠然とでも映像イメージを描けているかどうか。私たちは「ビジュアライズ」と呼んでいますが、これができる人は、他人に対しての伝播力も強く、共感を呼びやすいので、リーダーとしても魅力があります。実現できるかどうかは、もちろん実際にやらせてみないとわかりませんが、少なくとも見込みがあることはわかります。

一方、過去の経験について聞く場合は、「何を成し遂げたか」よりも、「そこから何を学習したか」に注目します。研究であろうと、アルバイトや部活であろうと何でもいいのですが、そこから何を学び、どう成長したのかが重要です。成長は学習の積み重ねによってもたらされますので、大きな夢を語れて、学習能力があれば、将来の大きな成長が見込めると考えています。

※本記事は、マネジメント誌「衆知」2018年13-1月号特集《若い力を育てる》より、一部を抜粋編集したものです。

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