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「マンガでわかる」本が書店の一大勢力に。書籍編集者はどう考えているのか?

2018年07月06日 公開

久保雅暖(出版科学研究所)

書籍のマンガ化は拡大する一方

 

マンガと文字だけではない。図表も駆使する「マンガでわかる」系書籍

『君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)が3月に漫画版200万部、新装版50万部を突破し、その勢いはとどまる所を知らない。

そこでいま注目されているのがマンガを表現手法として用いた出版活動だ。「マンガでわかる」「マンガで読み解く」といったタイトルが非常に多い。

名作・名著から専門書、ビジネス書など様々な書籍のマンガ化が企画され、あらゆる出版社が参入している。

特に顕著なのがビジネス書。刊行が集中するきっかけとなったのが宝島社の「まんがでわかる 7つの習慣」シリーズ(13年刊行開始)の大ブレイクだ。

シリーズ5点で累計170万部超の人気となり、これを機に哲学や経済などの名著をわかりやすくマンガ化し、解説を添えたビジネス書のコミック版が各社から続々と刊行された。

『まんがでわかる 伝え方が9割』(ダイヤモンド社、17年刊)、『まんがでわかる 地頭力を鍛える』(東洋経済新報社、17年刊)などヒットも多い。これらは若い女性を主人公に、物語形式にしたことで、若年層や女性読者を取り込んだ。

またマンガだけではなく、内容を集約した文章や図表を間に入れていることも特徴だ。

 

看護書までがマンガに。学習参考書、学術書、児童書とジャンルは拡大

直近の事例では、中央公論新社が教養新書のマンガ化を開始した。

81年刊行の文章術のロングセラーを原著とする『まんがでわかる 理科系の作文技術』や17年のベストセラーを早くもマンガ化した『まんがでわかる 定年後』で参入。

幻冬舎はビジネス書の人気レーベル「NewsPicks Book」のマンガ版として『マンガで身につく多動力』を2月に刊行。すでにランキング上位の売れ行きだ。

また講談社は「講談社まんが学術文庫」を4月に創刊。
ショーペンハウアー『幸福について』、マルクス『資本論』などの古典・名著をマンガ化した文庫シリーズで、哲学・宗教ジャンルを中心に、難解な内容を徹底的に分かりやすく表現することにこだわった。

専門書では、オーム社が04年に刊行を開始した「マンガでわかる」シリーズの人気が高い。

看護書でも『ナースのためのこんなとき、フィジカルアセスメント』(金原出版)、『ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術』(メディカ出版)などマンガで看護技術を解説する本が出ており、ビデオ学習などとは違った解りやすさにニーズがある。

児童書ではKADOKAWA、集英社、 小学館などの歴史漫画や朝日新聞出版   の「サバイバル」シリーズを筆頭とした科学漫画など、学習漫画が活況を呈している。

学習参考書でも「暗殺教室」や「カゲロウデイズ」など人気キャラクターと連動したマンガ形式の単語帳が人気だ。

このように見ていくと、きりがない程、マンガを活用した成功事例が出てくる。本を読むきっかけ作りは何かを考えた結果、マンガという形式を採用した、と話す編集者は多い。
これらは電子書籍化される作品も多く、ダウンロード数を伸ばしている。

表現方法が多種多様で、何よりもあらゆる世代に受け入れられるマンガという媒体は、読者の拡大に大きな効果を発揮している。

マンガ化によって原著の売れ行きが伸びるケースもあり、その波及効果にも期待できる。この動きは当分続きそうだ。

 

※本記事は『出版月報 2018年4月号』(出版科学研究所発行)の「出版傾向 書籍」を抜粋・編集したものです

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