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生き方

94歳の現役作家・佐藤愛子が放つ、 痛快な人生への提言

佐藤愛子(作家)

2018年09月13日 公開 2022年02月09日 更新

A(佐藤愛子の回答)乾坤一擲の戦いを挑め!

このお母さんのような女性、つまり想像力の欠如した、思慮なし、自己チュー、鈍感、よくいえば無邪気、自分では善良で親しみ易い人間だと自負している年配女性は少なくないです。なぜか男にはいない。

私のような仕事をしていると、それは日々、実感しています。用もないのに電話をかけて来て、用件は何ですかと訊くと、別にないんだけれど、お声が聞きたくて、と朗らかにいう手合い。

そっちは声を聞きたいかもしれないけれど、こっちは見も知らぬ他人に頼まれて声を聞かせるような気楽な生活をしているんじゃないんだ。寸暇もなく仕事に追いまくられているんだ。

自分が暇なら相手も暇だと思う愚鈍な手合がなぜか増えているのです。昨日もね……と、愚痴をいいかけて、これは人生相談の回答だったことに気がつきました。あなたのお気持ちはよくよくわかるということを強調しておきます。

私の相手は見も知らぬ相手だから遠慮なくいいたいことをいえるけれど、あなたの相手は姑なのが厄介ですね。

「気まずくならずにこの事態を打開する方法」?

うーん、ないですなあ。こういうバアサンは想像力が欠如しているので、人のいい分を理解しないで、文句をつけられたと思って怒るだけです。

しかも厄介なのはバアサンだけでなく、あなたの奥さんも困りものです。夫たるあなたの気持ちがどんなものかを想像しもしないで「私も働いていて……有難いじゃない」なんていっている。この親にしてこの娘あり。今は子供がいないからいいようなものの、十年後、二十年後には、いっとくけど母親と同じような干渉バアサンになるでしょう。

今のうちにあなたは母と妻を相手に乾坤一擲の戦いを挑むべきです。

「ここは私の家である。お義母さんの家ではない。従ってお義母さんに干渉する権利はない。それを認識して、この家から手を引いてもらいたい」

というようなことを、ハッキリ、堂々と、自信を掲げて、その為に発生する確執など黙殺して宣言するべきです。天空に響きわたる挑戦のラッパを吹き鳴らすことが出来るか否か。そうしてテキのドギモを抜く。

そこにあなたの男としての命運がかかっているのです。

それがダメなら、干渉バアサンのなすがまま。諦めなさい。


妻とも義母とも気まずくなりたくない、なんとか波風立てずにおさめたい……という腰の引けた相談者に対して、佐藤愛子の回答は容赦ない。「天空に響きわたる挑戦のラッパを吹き鳴らすことが出来るか否か。(中略)そこにあなたの男としての命運がかかっている」とたきつける。

さらに相談者の妻に対しても、「この親にしてこの娘あり。(中略)10年後、20年後には、いっとくけど母親と同じような干渉バアサンになるでしょう」と恐ろしい予言をする。

「干渉バアサン」的な女性には、誰しも遭遇したことがあるはず。この夫婦の家庭を思い浮かべて思わず吹き出してしまうが、実はそこには相談者の人生がこのままでは大変なことになってしまうという、本気の心配が感じられる。

立ち上がるべき時は今しかない! 事情はそれぞれ違っても、思い当たるふしは誰にもある。この相談者の男性のその後が、どうにも気になって仕方ない。

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