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ハーバード大学で実践されている 「好機を逃さない方法」

2018年06月07日 公開

ジェイ・ハインリックス (訳:多賀谷正子)

ジェイ・ハインリクス(Jay Heinrichs)

<<上司を説得したい、部下をうまく動かしたい、妻の機嫌を損ねずに話したい……ビジネスだけでなく、人生のあらゆるときに役立つ最強の伝える技術があります。
それが、「レトリック」。
レトリックは、あのハーバード大学をはじめ、欧米では最近注目が集まっています。アリストテレスからオバマまで、2000年にわたって世界のリーダーが使ってきた技術とはどんなものなのか。
ハーバード大学の必読図書トップ10に選出された『THE RHETORIC 人生の武器としての伝える技術』 の著者が、レトリックの基本ともいえる「好機を逃さない方法」を紹介する。>>

 

相手が「自分の意見になびくタイミング」を探せ

レトリシャンも、母が時と場所をよく心得ていたことに感心するだろう。古代ギリシャ人は、まさにこのことを表す「カイロス」という言葉を使っていた。「説得する絶好のタイミングを逃さない技術」という意味だ。

教育者に〝教えどき〟――要点をおさえるタイミング――があるように、説得者にも〝説得するタイミング〟というものがある。カイロスが備わっている人は、聴衆が自分の意見に最もなびきそうなタイミングを見分けることができ、その機会を利用する。

「カイロス」を心得ているレーシング・カーのドライバーは、好機を伺って前を走る車を抜き去ることができる(古代ギリシャ人は二輪戦車を例に挙げていた。同じことだ)。

「カイロス」を心得ている子どもは、いつおねだりすれば父親がアイスクリームを買ってくれるかを知っている。
つまり、「カイロス」とは、「適切なことを適切なタイミングで行う」ということなのだ。古代ギリシャ人は、この技法をことのほか重視した。なぜなら、聴衆の考えを変えたいなら、その一瞬を狙うことが不可欠だからだ。

タイミングを間違えただけで、たいていの議論は失敗に終わる。たとえば、アップルウォッチを買いたい夫が妻を説得しようとしている場合、妻が請求書の支払いをしているときというのは、いいタイミングとはいえない。あるいは、小説を読んでいた妻が、両手で顔を覆って泣き出したときも。

また、同僚が会社を出て子どもを学校まで迎えに行こうとしているところなら、政治の議論をするタイミングにはふさわしくない。いくらあなたが素晴らしい議論ができるとしても、こういったタイミングでは何にもならない。

旧ソ連の政治家スターリンは、ソ連の最高指導者になる前からすでに「カイロス」を心得ていた。

伝記作家のアラン・ブロックによれば、共産党政治局の会議中、スターリンは最後まで黙って席に座っていたそうだ。
会議で意見がまとまらなかった時は、最後にスターリンが、双方の意見を比べて調停していたそうである。やがて会議のメンバーは、会議の終盤になるとスターリンのほうを見て、彼の判断を仰ぐようになったという。

同じ地位の人たちの集まりのなかで、彼は自分をちょっと特別な存在にしたのだ。育ちのいい同僚のなかで、ただひとり粗末な衣服を身につけたいなか者だったにもかかわらず。

あなただって、適切なことを適切なタイミングでできるはずだ。早速あなたの疑問に答えていこう。会議では、いつ発言をして、いつ黙っているべきか? メールの返信をすぐに出さないほうがいいのはどんなときか? 家族のあいだで深刻な話を切り出すのにちょうどいいタイミングはいつか?

(次ページ:オバマが失い、トランプが心得た好機のタイミング)

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