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「恐怖心は誤魔化せる」死と隣り合わせのフランス軍で学んだこと

野田力(フランス外人部隊パラシュート連隊・水陸両用中隊元隊員)

2018年10月03日 公開 2018年10月03日 更新

 

恩給、生命保険、傷痍軍人手当

延長期間を含めて契約が終わったあと、さらに契約を延長することはまったく考えませんでした。

そのまま外人部隊に残るという選択肢も、もちろんあります。

現在の規定では十九年半以上勤務すれば恩給が出るので、恩給を受けられるようにするため、それだけの期間、外人部隊に在籍する人もいます(勤務日数に関しては階級や海外派遣回数などで基準が変わってきます。規定そのものが変わる可能性も常にあり、新規の恩給がなくなる可能性もないとはいえないはずです)。

条件を満たしていれば、除隊直後から死ぬまで恩給を受けられるようになります。そういう先輩も知っていますが、その場合の受給額は、手取りで毎月十万円を超えるようです。

日本にいて恩給だけで生きていくのは厳しいにしても、生活をしていくうえでは大いに助けられる金額といえます。物価の安い国などに移住すれば、除隊後、年金だけで暮らしていくのも可能になるでしょう。

外人部隊は、就職先として考えてもおかしくない組織といえます。

外人部隊に入隊すると、すぐに生命保険に加入するようにもいわれます。ふたつの保険からどちらかを選ぶかたちになります。私はそうした部分には無頓着なほうなので、教官が勧めるほうに入りました。正直にいえば、月々の保険料がどれだけで、死亡した場合にはどれだけの保険額が出るのかといったことも覚えていません。覚えていないというより、元から把握していなかったというのが本当のところです。

アフガニスタンに行く際には、保険額の高いプランに変更するようにと言われて従いました。掛け金は高くなっても、何かあったときに受け取れる保険額を高くしておくべきだからです。とくに何事もなくフランスに戻ることができたので、その後にまた、元のプランに戻しました。

外人部隊には「傷痍軍人手当」もあります。

戦地に派遣されていたときだけに限らず、訓練中なども含めて、負傷したときや死亡したとき、本人か遺族が受け取れる手当です。

ケガをすることも多く、命の危険もあるからこそ、こうした面のシステムも構築されているのだと思われます。

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