稲盛和夫氏が大切にしてきた毎日の習慣
2019年02月25日 公開 2022年12月07日 更新
反省ある毎日を送る
毎日反省をすること、これは謙虚さを維持するということと同じですが、自分自身で「今日はどうだったかな」と、「威張ったり、偉そうなことを言ったり、悪いことをしたりしなかったかな」というようなことを反省するということが、私は大事だと思っています。
一日が終わったそのときに、一日を振り返って、自分自身を見つめなおして、「今日は一日、人様に不愉快な思いをさせなかったか」「不親切なことをしなかったか」、または「卑怯な振る舞いはなかったか」とか、いろいろなことを自分自身で思い返して反省をしてみることが必要で、これを習慣にするということが大切です。
毎日寝る前にでも、自分の心を静かにして、一日を振り返ってみることがたいへん大事なのです。
私は若い頃から一生懸命仕事をしました。誰にも負けない努力をしました。それは田舎者である私にお金を出していただいて、会社をつくっていただいた方がおられたからです。
「これであなた、やりなさい」と言われて、その方々のおかげで会社が始まったわけです。しかし私には、技術屋で、セラミックスを作るということ、研究するということはできましたけれども、経営をする力がありませんでした。
そのために、いつ何時、会社が潰れるかもしれないという不安が常に私を襲っていました。ですから、朝から晩まで一生懸命働きはしましたけれども、毎日が実は反省の日々でした。
今でもそうですが、例えば私は、飲んで、いろいろな人としゃべったりする機会が多くありますが、飲みすぎて、「人様に失礼なことを言ったのではないか」というように感じるときがあります。
夜寝るときにそれを反省して、「今日は少し飲みすぎて、失礼なことを言ったのではないか」ということを思うわけです。そして、酔っぱらったことが、嫌になってきて、自分に「おまえはバカか」と言うんです。
ただ心の中で反省するのではなく、翌日、朝起きて洗面をするときには「バカ!」という大きな声が出る。自分自身に「バカ」と言って怒っている。
そしてそのあとには「神様、ごめん」という言葉が続いて出る。たまには、「お母さん、ごめん」とも言う。76歳(2008年当時)にもなって、まだ「お母さん、ごめん」というようなことを声に出して言っている。
それが家内や娘に聞こえると恥ずかしいものですから、洗面所は必ず戸を閉めて、外には聞こえないようにしています。ずっと、若い頃からそのような反省をしてきた習慣が、今でも続いています。