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社会

悩めるお寺を救った「片づけ」 古刹・播州清水寺に“起こったこと”

杉田明子

2019年10月23日 公開

 

女性が働きやすい職場とは? お寺の「働き方改革」

お寺に行くと、女性の職員が多いことに気づきます。登山路のゲートにいる方、事務の方、本坊の食堂で働く方、山のお掃除をする方、すべて女性のほうが多いのです。

大講堂の納経所にも3人の女性が働いていました。リーダーの女性はお寺の職員として働き始めて3年、「住職、副住職に負担がかからないように」というのが口癖で、非常に聡明な方です。聡明だからこそ、「わからない、知らない」ということを口にしたくない。

ところが、ご自身で判断できない物がしばしばあり、秩序のない環境での仕事にいつもストレスを感じていました。今回の職場環境デザインの実施で、お寺に貢献したい、支えたいという彼女の気持ちと、秩序ある環境が一致。思いが実現されやすくなり、仕事のやりがいもより感じられるようになったかと思います。以前と比べ、ずいぶんと穏やかに明るくなられました。

また新入職員の女性も、元々整理整頓が好きということでしたが、雑然と積まれた状態では勝手に触れないということ、どうしたらいいのかわからないということで、その力はほとんど発揮できていませんでした。今では遺憾なく、彼女の能力も活かされています。

女性は出世したい、名声を得たいということがモチベーションになりくく、仕事や人に対する思いのほうが強いものです。これが働く動機になる傾向にあり、そうした思いを存分に発揮できる職場=女性が働きやすい職場だといえるでしょう。

「職員が働きやすくなったのは、何よりやってよかったと思えることでした」

副住職から最後にいただいた言葉です。お寺の問題解決は、まさに「働き方改革」のスタートへとつながったのです。

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