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千の悩みも悩めるのは一つだけ?~松下幸之助 心軽やかに生きるコツ

2020年01月28日 公開

大江弘(PHP研究所経営理念研究本部 主席研究員)

松下幸之助
 

悩み事にとらわれてはならない

心軽やかに過ごすには、悩みについてどう考え、どのように立ち向かうかが大切なポイントになってきます。そこで松下幸之助は、“悩んでいい。悩むことは正しい。悩みは人生のスパイスになるのだから…”と考えました。とはいえ、“過ぎたるは及ばざるがごとし”、ただ悩みにとらわれ苦しんでいるだけではお互いのためにはなりません。まして解決策が見つかるはずもないでしょう。人生のスパイスどころか悩みが致命的な毒ともなってしまいます。悩むにしても程度問題、悩み方というものがあると言えます。

新約聖書のピリピ人への手紙の4章6節に、「何事も思い煩ってはならない。ただ、事ごとに、感謝をもって祈と願いとをささげ、あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい」とあり、マタイの福音書6章34節には「明日のことを思い煩ってはならない。明日のことは、明日思い煩えばよい。その日の苦労は、その日だけで十分である」とあります。いずれも悩みの底なし沼に陥ることがないよう警告しているように私には思えます。

松下幸之助は次のように語っています。

「会社もやはり今は盛んにやっとっても、やはりこれも寿命が来たら悪くなっていく。やはり、満つれば欠くるという言葉があてはまるだろう。そうして見ると現在の松下電器なり、またその他非常に発展している会社と致しましても、必ず寿命が来るに違いない。そうしてみると、寿命が来る瞬間まで最善を尽くすということが最善になって来る。それ以上のことは思い煩うなかれである」

人に寿命があるごとく何事にも終わりがある。永続を願っても、会社にも終わりの日が来る。この真理を悟り、寿命の日までは全力を尽くそうではないか。いまこの時に全力を尽くし、未来のことや過去のことに過度にこだわり、思い煩ってはならないというわけです。パナソニックは創業100周年を迎えました。「この世を楽土にする」という松下の志からすればいまだ道半ばですが、あの世からよくもここまで永続させてくれた、社員をはじめ関係者の皆さんに心から感謝したいと言っているような気がします。

「人間は悲観しだしたらもうきりがありません。しまいには自殺する人さえあるのです。だからやはりこれは心の持ち方です。成功したといわれる人たちの伝記などをみると、普通の人なら自殺しかねない状況にあっても、自殺していません。いってみれば、困難な状況、境遇に直面して、それを喜び迎えているわけです。もちろんそういうことは、たやすいことではないと思いますが、みなさんもぜひそういったものの考え方、心の持ち方を身につけるようにしてください。みなさんはそう簡単に自殺することはないでしょうが、しかし、神経質にならないようにしてください。何事も心にじっとためておくのでなく、訴えたいこと、耐えられないことがあったら、大いに口に出すことです。友人でも先輩でも、上司でも、そういう人たちに遠慮せず言ったらいいと思うのです」

悩みがこじれると、何かにつけて悲観的に受け止め、考えがちになります。こうなると人の親切な言葉も耳に入らず、思い煩ったあげく自殺しかねない。しかし、冷静に考えればどれほどの悩みだろうと命を捨てるほどのことはそうあるものではないでしょう。ところがそれにとらわれてしまうと、そのあたりが混乱してくる。傍から見ると何らかの解決策がありそうなのにそのことに気が付かない。他に意見や助けを求めたりすることさえできなくなってしまう。自分一人で苦しみ、物事を冷静に判断することもできなくなるわけです。

悩むことは結構。しかしその悩みとの付き合い方において大事なのは、悩みすぎない、とらわれないということではないでしょうか。

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