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悩みは人生のスパイスになる~松下幸之助 心軽やかに生きるコツ

2020年01月27日 公開

大江弘(PHP研究所経営理念研究本部 主席研究員)

松下幸之助

毎日楽しく軽やかな心で暮らしたいものですが、とかくこの世は心煩わすことばかり。ともすると暗く重苦しい気分になりがちです。

仕事や勉強の成果があがらない、友人や知人、同僚とうまがあわない、短所ばかりの自分が好きになれないなど、悩みの種は尽きません。さらに次々と出くわす困難や苦難、試練など、心軽やかに生きることはたいへん難しいように思えます。

しかし、誰しもうきうき、わくわくしたり、楽しく軽やかな心で過ごした体験が少なからずあるはずです。そうであれば、軽やかな心になるヒント、コツのようなものが見出せるかもしれません。ここでは、松下幸之助の言葉を通して、心軽やかに生きる知恵をともに考えてみたいと思います。

ところで、どうして私たちは心軽やかに生き難いのでしょうか。いろいろ要因があるでしょうが、一番の課題はやはり“悩み”ではないかと考えられます。悩みという重しが、心を窮屈で暗いものにしているわけです。それではその悩みを松下幸之助はどのように見ていたのでしょう。
 

悩んでいい

世の中は思うに任せないことが多く、その都度私たちは思い悩み、重苦しい心で過ごしがちです。もっと軽やかに楽しく日々を送りたいと望んでも、“悩み”がどうしても沸き起こってきて心を乱します。

そもそも人に“悩み”はつきものと言えます。どれほど恵まれた人も、悩みとまったく無縁というわけにはいかないでしょう。ときおり“悩みがないのが悩み”という人がいますが、そのときはそうであっても、いつ困難や逆境、悩み事に出会うかわかりません。

私の知る限り、聖人と言われた人はみな等しく深い悩みを抱えていました。時の権力者、王侯貴族でも、私たち同様に人間関係に悩み、財産、権力、名声を得ようと腐心し、少なからず思い悩んでいます。秦の始皇帝ほどの絶対的な支配者でさえ、生への執着、死に対する恐れから、不老不死を求めていました。今なおその言葉や生き様が語られる名僧一休宗純和尚もまた、その臨終のことばが「死にとうない」だったと伝えられています。

悩みは往々にして苦しみを伴います。少々の悩みでも気分は暗く憂鬱になり、息苦しささえ感じます。悩みが深くなれば、体に変調をきたすこともあります。さらに悩みをこじらせてしまうと、生きることがつらいだけに感じられ、場合によっては自ら命を絶つこともあります。

それではこのような苦しい悩みを、私たちはどのように受け止め、考えればよいのでしょう。

松下幸之助は次のように述べています。

「私たちはだれしも、何らかの悩みをもちつつ日々を過ごしているといってよいと思います。体が弱い、失恋をした、どうも人間関係がうまくいかない、仕事で大きな失敗をした、など、人それぞれにいろいろな悩みがあって、そのために夜も眠れないといったことも少なくないでしょう」

松下幸之助は、人それぞれみな悩みがあると考えていました。多くの社員を抱えつつ厳しい事業経営に携わっていた松下自身も、たえず悩みに苛まれていたに違いありません。恐らく悩みのない状態というのは想像すらできなかったのではないでしょうか。また悩みは向こうからやってくるばかりでなく、なかには自ら悩み事を探し出しているような人も見受けられます。人は悩むもの、悩みを持ちつつ生きていると考えるのはごく自然でしょう。しかし松下はそれだけにとどまらずさらに次のように主張します。

「人間はしょせん悩みからのがれることはできません。のみならず、むしろ悩むことが正しいのであって、悩まないことは誤りであり、罪であるということにまでなるのであります」

悩まないのは罪であるという考え方には驚かされます。さらに悩むことが正しいとまで言い切る発想の転換。これこそ松下幸之助ならではのものの見方考え方ではないかと私には思えます。

たとえば悩むのは自分が弱いからだ、自分に原因があるからだと考え込む人がいます。悩むだけでも大変なのに、さらに悩んでいる自分自身を責め、自ら一層深みにはまっていくわけです。“どうせ私には能力がないから”、“しょせん自分はこの程度なのだ”と自らを否定しがちになるのも人情の一面とはいえ、これでは苦しいばかりで何の解決にもつながりません。

しかし悩むのは人として当然であり、悩まないほうがおかしいとの考え方に立てば、悩むことが問題になることはありません。むしろ悩んでいる自分は当然の姿であり、肯定的に受け止めることもできるはずです。つまり、悩んでいる自分をあるがままに受け止めることで、ある程度心が軽くなり、悩みの解決に向け力強く積極的に取り組めるようになるというわけです。

私たちが本来悩みから自由になれない、離れることができないとすれば、どうすれば悩まないで済むかと考えるのは無益です。かえっていらざる悩みを抱えることになりかねません。大切なのは、人は悩むものと受け止め、お互いの幸せに通じる見方、考え方、より好ましい悩み方を求めることなのではないでしょうか。

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