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"ミスを言い出せない職場"の元凶は? Google社も注目の「心理的安全性」がチームを変える

窪田晃和(ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー)

2020年02月28日 公開 2020年02月28日 更新

 

失敗やミスが表面化させるために必要な「心理的安全性」

心理的安全性が高いチームでは、失敗やミスが少なくなると思っている人が多いかもしれません。しかしエドモンドソン博士の調査によれば、それは逆だということがわかっています。とはいっても、これには少々カラクリがあります。

そもそも心理的安全性が確保されていれば、メンバーは何かを恐れて失敗やミスを隠蔽するといったことがなくなります。

お互いに本音をさらけ出す仲なのですから、失敗やミスをしても報告しやすいはずですし、何よりそこから学べば良いという空気が醸成されていますから、失敗やミスが表面化しやすいという傾向があるわけです。

また心理的安全性が高まれば、個人は自らが持つ本来の力をいかんなく発揮できるようになります。安心してリスクを取りにいけるようになることで、チャレンジの機会は増え、チームの生産性は向上します。

とはいえ、新たなチャレンジにはどうしても失敗やミスがつきものです。これまで通りのことをただ実行するよりも、失敗やミスの可能性は増えてしまうはずです。

これらを踏まえると、心理的安全性が高いチームでは、失敗やミスが多くなったようにみえるかもしれませんが、それは単なる認識の違いといえるでしょう。

そもそも失敗やミスが少ない方が良いチームであるとは言い切れません。仮に少ない方が良いのであれば、これまで通りの仕事をこれまで通り行えば、失敗やミスは減ります。

しかしそこには進歩がありません。チャレンジやリスクテイクすることが前提になっているからこそ、失敗やミスが起こりやすいというのならば、それに挑戦する姿勢は評価されるべきでしょう。

またもう一点補足しておくと、心理的安全性が高いチームであれば、失敗やミスのリカバリーもスムーズであるということがいえます。

 

心理的安全性は高まっても気を抜くとすぐ低下する!

心理的安全性は高まったらもう大丈夫、というものではありません。チームの中で心理的安全性がいったん高まったとしても、気を抜くとすぐに低下してしまうというのが怖いところなのです。

たとえ気の知れた仲間同士であったとしても、やはり波のようなものがあるのと同様に、チームの中の心理的安全性も、状況によって低くなってしまう時があります。

例えばチームが忙しい状況が続き、直接話すことができないときに、メールで言葉の文脈を分かり合うことができず、疑心暗鬼になり、対立するといったことだってあるはずです。

また、チームに新しいメンバーを迎えるときなどは、バランスが崩れやすいタイミングだといえます。

もともとのメンバーが新しいメンバーに対してどの程度の信頼を置けるのか、また逆に、新しいメンバーがどの程度、自分をさらけ出すことができるのか、といった部分でチームの心理的安全性が上下することがあるはずです。もちろんこれは、チームのメンバーが減るといった場合にも起こりえることです。

多くの方が心理的安全性の有効性を知り、高めようとされていることでしょう。ただ実際には高めた心理的安全性をずっと維持していく努力も必要になるわけです。心理的安全性が高まったからといって、気を抜くのが一番怖いことだといえます。

このように、誤解が多い心理的安全性ではありますが、米Google社が注目した通り、チームの生産性を高めるための最善の方法であることは間違いありません。

みなさんが誤解をせず、この心理的安全性を用いて最強のグループを作り上げることで、必要な成果を収められることを祈っています。

著者紹介

窪田晃和(くぼた・てるかず)

TAC法人研修プロフェッショナル講師、ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー

1974年埼玉県生まれ,立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス,マネジャーを経験。その後,現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして,17年に渡り300社,30,000人を超える人材育成に関わる。

現在は,株式会社ザ・アカデミージャパンのエグゼクティブ・トレーナーとして,官公庁,メーカー,IT,人材サービス,非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では,日本一の導入実績・評価を誇る。

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