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”失敗を責める”上司が気づかない「生産性を下げている犯人」

窪田晃和(ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー)

2020年03月09日 公開 2024年12月16日 更新

 

メンバーの仕事を覚えるスピードが早くなる!

心理的安全性の高いチームでは、メンバーが仕事を覚えるスピードが早くなります。しかも単に早いというだけではなく、精緻に覚えることも期待できます。

というのも、仕事を教えるという部分で、チーム内での適切な指導が期待できるからです。たとえば単に仕事のやり方を教えるといったことだけでなく、その理由やノウハウといった点についても説明を受けることで、覚える側も目的意識をもって、仕事についての知識を吸収していくことができます。

また、指導後の振り返りといったシチュエーションにおいては、オープンなディスカッションが行われるケースもあるでしょう。このようなアウトプットの機会が得られることで、知識の具体性や解像度といったものは当然高くなります。

もちろんそれがチーム全員にとっても経験がない、全く新しい仕事であったとしても、チーム内に醸成された相談しやすい雰囲気から、メンバー間でアイデアの共有が行われることになるはずです。実質的にチーム一丸となって新たな業務を進めていくことで、スムーズな業務知識の習得が見込めることでしょう。

また当然のことですが、仕事を覚えられるかどうかということは、人員の定着にも影響します。やはり仕事の出来不出来というのは、人が離れていく理由として1番大きいところです。

仕事を覚えるスピードが上がり、精緻に覚えられるようになるということは、業務スピードが改善されるだけでなく、人員の定着にも影響するといえます。

 

失敗から学ぶ姿勢が企業文化に取り入れられる

ビジネスのなかで学びが生じるシチュエーションは、成功のタイミングでもありますが、それ以上に貴重なチャンスとなるのが、失敗のタイミングだといえます。失敗を徹底的に分析し、それを昇華させることで、逆に大きな成功を手に入れる機会を得ることができます。

エドモンドソン教授はこの点にも注目しており、企業において重要なことは「失敗から学ぶ組織作りを行うことだ」としています。

そのうえで、心理的安全性が高まることによって起きる変化として挙げられるのが、失敗から学ぶ組織が形成されるということです。

心理的安全性の高いチームでは、「自分がどんな行動をとっても、他のメンバーから否定や避難をされることはない」と感じているのですから、批判や非難を恐れて失敗やミスを隠蔽するようなことは起こりません。

むしろ的確なタイミングで報告が行われるはずです。そしてそれに対するメンバーの適切なリカバリーが起こることで、ビジネスにおける学びが生じます。

この繰り返しから、「失敗から学ぶ姿勢」が企業文化に取り入れられることで、企業そのものの強みも増すことになるはずです。

このように、「生産性を高めるための最善の方法」として注目される心理的安全性は、生産性を向上させるだけでなく、様々な角度からチームにプラスの変化をもたらしてくれます。

それはひょっとしたら、あなたがチームに対して期待している、大きな変化なのかもしれません。

著者紹介

窪田晃和(くぼた・てるかず)

TAC法人研修プロフェッショナル講師、ザ・アカデミージャパン エグゼクティブ・トレーナー

1974年埼玉県生まれ,立教大学出身。子ども向け教育教材の営業でトップセールス,マネジャーを経験。その後,現場感覚に寄り添う研修講師・コンサルタントとして,17年に渡り300社,30,000人を超える人材育成に関わる。

現在は,株式会社ザ・アカデミージャパンのエグゼクティブ・トレーナーとして,官公庁,メーカー,IT,人材サービス,非営利法人など幅広い業界にお役立ちを提供。特に実践版レジリエンス研修では,日本一の導入実績・評価を誇る。

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