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社会

インドで真面目に考えた、「人前でパンツを脱ぐこと」の価値

さくら剛

2020年03月05日 公開

 

おにぎり1個500円からのスタート

カルカッタからは3時間足らずで国境の町へ着いた。そのままリキシャでボーダーまで向かい、手続きを済ませて、出国。

オレにとって、今回は2度目のインドであった。2ヶ月近くの滞在で、前にも増して多くの人に出会い、多くの人を見た。

腹の立つことは多かったが、インド人のエネルギー、自分の意思を貫こうとする力はすごい。我々日本人が持つことは少ない、強烈な行動力を彼らは見せてくれたのである。

それにしても、インドという国はエネルギーとか行動力とか言う前に、現実離れしていたなあ……。

オレは、しみじみ思う。日本がインドじゃなくてよかったと。

例えばコンビニでおにぎり1個買うたびに、

「お買い上げありがとうございます。1500円になります」

おいちょっと待てっ!!そんな高いわけねーだろ!!!冗談じゃないぞ!!!

「そうですか。じゃあ、いくらなら買いますか?」

そうだなあ……。200円だ

「あ~~っはっはっは!!冗談言っちゃ困りますよ、お客さん。そんな値段で商売してたら破産してしまいますよ!まあ、せいぜい1400円ですね」

ダメだ。オレはおにぎりの値段を知ってるんだからな!!他の店で同じものを買ったことだってあるんだぞ!じゃあ、400円だ。400円で売れよ!!

「ノーノー。最低まで下げて、ラストプライスで1300円です。それ以下では到底売れませんね」

ああそうかよ。じゃあ、オレのラストプライスは500円だ。これでダメならもう他の店に行くからな!!

「どうぞご自由に。どうせ他の店だって同じですよ!1300円より安く買えるところなんてあるはずが無いんだ!!」

そうかわかったよ。もうこの店では買わないからなっ!じゃあな!!

「ヘイヘイ、ちょと待て!!オーケー。仕方ないですね。ユーアーマイフレンド。500円でいいです。ギブミー500円」

ちっ……、仕方ねえなあ、ほらよ(本当はいくらなんだよ……)

「どうも~まいどありがとうございました~~(ぐぷぷっ……、こいつ105円のおにぎりに500円も出しやがった……バカめっ)」

というようなやり取りが買い物のたびに必要になったらどうだろうか。

そんな社会になってしまったら、はっきり言って人生のほとんどの時間を値切り交渉に費やすことになる。

そしたら当然日本は、オレのようなダメ人間がちょっと働いたくらいで旅費が稼げる経済大国ではなくなるであろう。

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破るべき自分の殻と、守るべき常識の壁

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