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「大暴落の原因はコロナでなく、消費増税?」 プロが懸念する”さらなる下落相場”

近藤駿介(金融・経済・資産運用評論家)、鬼塚忠(作家エージェンシー代表)

2020年03月31日 公開 2022年07月04日 更新

 

コロナ騒動がなくても消費増税で日本経済の減退は予想されていた

(鬼塚)新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、日本の株式市場でも日経平均株価が続落し、リーマンショック以来の大幅な下落となっています。コロナの騒動が収まれば株価も回復すると見ていいのでしょうか?

(近藤)今、メディアは、その原因を「感染拡大による景気悪化懸念」や「世界同時株安」であると報じていますが、それはきっかけであって、根本的な原因ではないんですね。

(鬼塚)根本的な原因でないとは?他に要因があるのですか?

(近藤)そもそも昨年10月に実施された消費増税によって、日本経済は大きく傷ついていたんです。ただ、そのことが今までは顕在化してこなかった。なんとか持ちこたえてこれたのはインバウンドと輸出が好調だったからです。

(鬼塚)どちらも外需ですね。今、中国と韓国からの観光客が止まっていますね。

(近藤)はい。日本は外需に頼り、内需は弱い。そしてAppleが企業業績を下方修正しましたが、これにはコロナの影響は含まれていないんです。他のアメリカ企業もこれに続くと予想されます。

すると、これからはアメリカ企業の恩恵を受けてきた日本企業にもダメージが出てきます。こうして企業業績やマクロ経済にコロナの悪影響が現れはじめるでしょう。そして、ウイルス感染を恐れ、ヒト、モノ、カネの動きが止まっている。ヒト、モノ、カネが止まり景況感にプラスなことはありません。

(鬼塚)コロナはきっかけにすぎなかったと?

(近藤)そうですね。コロナは消費増税で景気悪化が始まるガスが充満していたところに火をつけたにすぎません。日本は外需でなんとか景気を保ってきました。

それがまずは消費増税で日本人の消費が落ち込み爆発寸前までガスが充満していたところに、想定外のコロナ騒動という火種が持ち込まれ、大幅な株価下落が落ちた。これが実態です。

(鬼塚)WHOをパンデミック宣言を出しました。事態は長期化しそうですね。

(近藤)当初は東アジアの地政学的なリスクとみなされていましたが、こうしてワールドワイドになると、世界経済への影響は無視できません。心配なのは中南米とアフリカです。仮に1,2か月で日本が終息したとしても、世界に広がれば、選手も観客も日本に来れなくなるので、オリンピックの開催もむずかしくなるでしょうね。

 

トランプ相場は終焉する?

(鬼塚)そしてこうした状況にありながら、今年は11月にアメリカ大統領選挙があります。トランプ大統領が就任してから3年強、NYダウでは史上最高値を更新し続けました。外需に頼る日本経済としてはアメリカの株価も気になるところですが、トランプ相場はどうなるのでしょうか?

(近藤)再選を目指すトランプ大統領にとって、史上最高値を更新し続ける株価は大きな成果でした。これを維持することが再選に向けての史上命題でした。大統領選挙期間中も米中貿易交渉の進展期待を始めとした通商政策や、さらなる減税案などで、株式市場を鼓舞することを狙っていたはずです。

(鬼塚)そのトランプ大統領のシナリオさえも、今回のコロナが揺るがしていると見ていいのですか?

(近藤)トランプ大統領も想定外でしたでしょうね。感染拡大に歯止めがかかる気配が見えないなかで、市場の期待を繋ぎとめるのはむずかしいでしょう。インドとの貿易協定、タリバンとの和平合意、さらなる減税策を公約に掲げるなどして、なんとかしようとしていますが。

株が下がることは、トランプ大統領にとって不利です。今後のトランプ大統領、そしてFRB(※アメリカの中央銀行制度の最高意思決定機関。日本の日銀と同じ)の動きには注目です。何か動きはあるはずですから。

(鬼塚)日本の株式市場も分岐点にあるのでしょうか?

(近藤)市場の構造変化という面で決定的な分岐点にありますね。

(鬼塚)それはGPIFが売手に回るときということですか?

(近藤)そうです。高齢化が進展するだけでなく景気悪化で税収が下がります。そのため年金受給額確保のためにGPIFが売手に回り、GPIFの資産取り崩しが始まる可能性が高い。問題はいつ売手に回るかというXデーです。

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