アメリカの資産家が冷静に考えた「銀行の利用価値」
2020年07月21日 公開 2024年12月16日 更新
大富豪が多いと言われるアメリカでは、早い段階から子どもへ「お金の知識」を教えている。欧米各国では、学校の授業の中=カリキュラムの中で「お金」について学ぶ機会が用意されているが、日本ではそうした「マネーリテラシー」を身につけるための授業を受ける機会は少ない。
本稿では、アンドリュー・O・スミス著書で、全米の多くの学生が学んできた大ロングセラーの邦訳版である『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』から、銀行の存在意義や機能、その価値に触れた一節を抜粋して紹介する。
※本稿はアンドリュー・O・スミス著『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(SBクリエイティブ刊)より一部抜粋・編集したものです。
銀行は何のために存在するのか?
2015年の時点で、アメリカには1万2500の銀行が存在した(注1)。地方の小さな信用組合から、地方銀行、大手銀行、住宅金融組合、プライベートバンクまで含めた数字だ。
銀行の運営には州か連邦政府の許可が必要になる。過去には銀行の形態によって、適用される法律も違い、果たすべき役割も違っていたが、現在は一般の消費者が違いを意識する必要は特にない。
すべての銀行に共通するのは、個人やビジネスからお金を預かり、個人やビジネスにお金を貸すという機能だ。
銀行に預けたお金は預金と呼ぶ。銀行の顧客は、コンピューターを使った電子取引で自分の預金を使ってもいいし、小切手を書いてもいい。または、銀行の窓口やATMを使って預金を現金として引き出すこともできる。
銀行のもうひとつの機能である「貸し出し」は、個人やビジネスに銀行が期限を決めてお金を貸すことだ。わかりやすい例では、住宅ローンや自動車ローンが貸し出しになる。
クレジットカードの利用も貸し出しだ。これらの取引には、あなたが銀行からお金を受け取り、約束の期日までに返すと約束するという共通点がある。
もちろん銀行も、ただでお金を貸してくれるわけではない。ローンの料金には2種類ある。ひとつは取引手数料で、ローンの契約をするときだけ払えばいい。そしてもうひとつは利息で、こちらはローンが続くかぎり払うことになる。
たいていの銀行には支店がある。それぞれの支店では、口座の開設、預金、ローン、現金の引き出しをはじめ、お金に関するさまざまな手続きや取引ができるようになっている。
支店は現金を扱うので、頑丈な金庫が備えられている。さらに顧客用の貸金庫を備えている支店もある。
とはいえ、支店は実際の店舗でなくてもかまわない。現に最近はオンラインだけで業務を行う銀行も増えてきた。それに加えて、物理的な支店がある銀行にお金を預けている人でも、支店に行かずにたいていの用はすんでしまう。
ATMの誕生によって支店はいらないという流れが生まれ、スマートフォンの登場によってその流れが決定的になった。 ATMもスマートフォンのアプリもどんどん高機能になり、すでに窓口での取引を凌駕する存在になっている。
注1. National Credit Union Administration, “Industry at a Glance,” June 30, 2015 (6,159 credit unions); Federal Deposit Insurance Corporation, “Statistics at a Glance,” September 30, 2015 (6,270 commercial banks and savings institutions).