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コロナで消えた東京五輪…その空白を空想で埋める作家の「決意」

田丸雅智(作家)

2020年07月25日 公開 2020年07月28日 更新

 

「空想競技2020」ティザーサイトより(田丸雅智)
「空想競技2020」ティザーサイトより

東京五輪が延期だから「想像の競技大会」を作ってしまう

――今回開催される「空想競技2020」はどんな企画なのですか?

本来ならば今年スポーツの祭典が開催されるはずであった期間に、空想の競技をテーマにした物語と、その競技を表現した写真とイラストを、インスタグラムの公式アカウント(@kusou_kyougi2020)から発信していく有志の企画です。

2020年7月24日~8月9日の期間で小説家×フォトグラファー、同じく8月25日~9月6日の期間で小説家×イラストレーターのコラボを予定しています。

空想の競技というのは、たとえば、うさぎ跳びで速さを競い合うレースや、片づけの技術を競い合う競技、月光をためた不思議なプールで行うアーティスティックスイミングなどのようなもので、ぼくも含めた11人の小説家が計33作品を執筆しました。

その物語にインスパイヤされた写真とイラストを6名のフォトグラファーと8名のイラストレーターが制作し、物語と合わせてインスタグラムで投稿していく予定です。

ほかにも、本企画と連動して、400字小説の投稿サイト「ショートショートガーデン」で「空想競技」をテーマにした一般の方からの作品募集を行っていたり、同じく「空想競技」をテーマにしたショートショートの書き方講座を開催したり、アスリートの方とコラボした企画も考えているところです。

――そもそもショートショートとは、どういうものをいうのですか?

ショートショートとは、簡単に言うと「短くて不思議な物語」のこと、もっと言うと「アイデアがあって、それを活かした印象的な結末のある物語」のことです。

すぐに読めて、書く時間も長くはかからないショートショートは、読み手としても書き手としても、小説世界への入口になりうるジャンルです。

 

人生において特別なものとなるはずの2020年夏を、空想で彩るために

――なぜこの企画を実行しようと考えたのですか?

当初の予定では、今年の夏は友人や家族と競技を観戦したり、選手にとっても人生において特別な夏となり、スポーツの熱気が巻き起こす様々なイベントが世界中で多数生まれていたはずでした。

ですが、新型コロナウィルスの影響を受けて祭典が延期となり、もともとあったはずの予定や、気持ちの面でも、ぽっかり穴が空いてしまいました。

もちろん、全員が望んでいたイベントだと言うつもりはまったくありませんし、そうでない方もたくさんいらっしゃると思います。ただ、いずれにしても事実としては、今年あったはずのものがなくなった。

そんな中、自分たちにできる想像の力を最大限に活用して、本来あったはずのスポーツのワクワクをほんの少しだけでも取り戻すことができないか。

明るいニュースの少ない今だからこそ、感動や興奮を覚えるはずだった人々に、少しでもそれに近い気持ちを感じていただくことはできないか。そんな思いから、この企画を考えました。

なにぶん非営利の有志企画なので、何から何までメンバーの手弁当ですが、この企画で少しでも何かポジティブなものが生まれたらとメンバー一同、心から願っています。

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