佐々木俊尚 ヴァーチャルの進化が企業にもたらす変革とは

「VR」は我々の仕事や生活にどんな影響を与えうるのか。テクノロジーについて豊富な知見を持つ作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏にうかがった。
2020年07月25日 公開
(増田彩来/sara)
新型コロナウイルス感染拡大は、世界の活動を一気に収縮させ、開催予定のイベントも多数が消滅した。日本人にとって最大のショックは、東京五輪2020の延期だろう。本来であれば今頃は五輪に日本中が湧いたはずなのに…ポッカリと空白ができてしまった。
そんな虚しい空気が流れるなかで、ショートショート作家の田丸雅智氏がひとつの企画を展開している。
本来、五輪が開催されるはずだった期間に、空想の競技にまつわるショートショート×写真・イラストのコラボ企画「空想競技2020」を行うという。それは一体どのようなものか? そして自身もコロナ禍で苦しめられた作家としての田丸氏の思いとは?
――作家としての活動に新型コロナウイルス感染拡大の影響はありましたか?
執筆活動については、大変ありがたいことにコロナ禍の前後でそれほど変化はなく、引き続き執筆をつづけています。ただ、4月に本を刊行したのですが、それが緊急事態宣言と重なって。
書店さんの多くが休業せざるを得なかったために、仕込んでいた企画ができなくなってしまったり、そもそも書店が開いていないので本自体を手に取っていただきづらいという状況になって、大きな影響を受けました。
作品への影響も、やはりあります。たとえば、これまでは何も意識せずに描いていた、人が多く集まるようなシーンや近い距離でコミュニケーションをとるような場面では、これでいいのかと考えざるを得なくなりました。
今後も、まだまだ影響を受けて変化していくのだろうな、と、いかねばならないな、と痛感しています。
もうひとつ、ぼくは普段から執筆活動のかたわら、ショートショートの書き方講座を全国各地で開催しているのですが、当然ながら、すべて延期か中止になってしまい、現在もほとんどの講座を再開できていません。講座は大切にしているライフワークでもあるので、とてももどかしい思いです。
その一方で、リアルな講座の代わりにZoomなどを使ったオンライン講座を開催するようになりました。
やはりリアルな講座が一番ではあるのですが、参加者のみなさんが移動時間を気にせず参加できたり、これまで来られなかった遠方の方にも参加していただけるようになったりしたのはよかったところですね。
オンラインはオンラインで、よさもたくさんあるので、今後リアルな講座が再開できたとしても、ぜひつづけていきたいなと思っています。
――新型コロナウイルスで混乱する世界に対して作家として感じるものはありましたか?
今回のコロナ禍では、自分の想像力の乏しさにも直面させられました。ショートショートで想像力を養おうというのは普段から講座などでも言っていることなのですが、今回のことでは想像さえしていなかったようなことが次々に起こり、今もなお起こっています。
自分の想像力を過信していたわけではないのですが、改めて、想像することの難しさを痛感しています。
ただ、想像力のすばらしさや可能性を改めて感じることができたことも事実です。なかなか外に出るのが難しい状況の中でも、想像力があれば、極端な話、どこにだって行けてしまいます。
もちろん現実の旅とは違うわけですが、移動範囲が限られて、同じものに囲まれて暮らしていると、見慣れてきて退屈したり、閉塞感も覚えると思うんです。
そんなとき、想像力、特にショートショート的な多角的なものの見方をすれば、日常のありふれたものたちが違ったものに見えはじめて、とたんに輝きはじめます。
たとえば、ペットボトルを見ても、普通はただのペットボトル以上でも以下でもないわけですが、ショートショート的に見れば、「もしかしたら、小魚がよぎったりしないだろうか?」「飲もうとしたら逆に吸いこまれたらどうだろうか?」などと空想が生まれます。
「そんなバカな」と一笑に付すのは簡単ではありますが、そんな視点があると、日常がとても楽しくなる。その意味で、やっぱりショートショートはいいな、想像力って素敵だなと、いま強く思っています。
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東京五輪が延期だから「想像の競技大会」を作ってしまう >
「VR」は我々の仕事や生活にどんな影響を与えうるのか。テクノロジーについて豊富な知見を持つ作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏にうかがった。
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