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生き方

「もう歳だから…」向上欲を失った人が行きつく成れの果て

中村天風

2020年08月08日 公開 2022年02月07日 更新

 

相手にすると負ける

勇気は常に勝利をもたらす。
断じて行えば鬼神もこれを避く。

だから何においても現在の病に負けないこと。

病に負けないようにするにはどうすりゃいい?

それはもう、あの箸を切るとき、それから、腕押しをするときの要領だ(註・修練会で体験する観念の実験のこと)。

相手にならなきゃいいんだよ。

いかにその人間が統一道に古くいたって、体に不健康な状態の出たとき、その病をなんとかしてからに、乗り越えていこうなんていうような努力をする人間だったら、その人間は、ただカビの生えたほど古くなったというだけで、まだ本当の統一道の会得をしている人間だとは言わないぞ。

相手にしなくならなきゃいけない。

どんなに痛みを感じている場合でも、肉体の痛みは感じていても、精神に痛みを感じせしめないというこの気持ちが必要なんだ。

相手にすると負けるよ。

相手にすると、もう既に自己向上を自分でストップしてしまうことになるから。

病は病として、病は病だけでもっておっぽり出しておけばいい。

心までそれに付き合わせる必要はないんだ。

付き合わされるといたずらに回復を遅くする。

自然良能の発動を妨げることになる。

だから医者が驚くのは、何も知らないやつが病にかかった場合と、非常にこういう教えでもって心ができている人間が病にかかった場合とが同じことで、治りが早いんだ。

一番いけないのは、中途半端な屁理屈を言っているやつが一番いけないんだよ。

とにもかくにも人生というものは、病があろうがなかろうが、はたまた現在運命が良かろうが悪かろうが、心がそれを、いいか、相手にしていないところに、まさに完全に乗り越えた状態が表れるんです。

だから真理に即して人生を有意義に生きようと思うのなら、一足飛びに今言った絶対真理を応用して、そして心をもっと超然たる方面に置かなきゃ駄目なんだ。

しょっちゅう五感や感情に握手せしめて、そして、それにこだわっているからいけない。

今もさっきも言ったとおり、宇宙霊の無限大の生命を受け入れる受け入れ口を自分自身が狭くしてしまうような滑稽なことをやっているんだ。

だから自己向上という正しい希望を我が心の中に輝かしながら、たとえ進歩は遅くとも、一歩一歩を確実に踏み締めていくという、この意識的な自己誘導でもって人生に生きなきゃいかん。

それが統一道の人生に対する犯すべからざる心がけだ。

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