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心はウイルスとどう戦えばいいのか…思想家・中村天風の説く「病に打ち克つ哲学」

中村天風

2020年04月16日 公開 2024年12月16日 更新

心はウイルスとどう戦えばいいのか…思想家・中村天風の説く「病に打ち克つ哲学」


(写真提供=公益財団法人天風会)

《新型コロナウイルスが猛威を振るっている。列島全体を覆う不安と恐怖に心身に不調をきたす者も多いだろう。稀代の思想家・中村天風は、「健康を保つには、心を消極的にさせないこと」と説く。

中村天風は1876年に生まれ、大病を克服し実業界で活躍するも、1919年に突如、社会的地位や財産を放棄。真に生きがいのある人生を送るための実践哲学についての講演活動を開始する。

その「天風哲学」は政財界の有力者から大谷翔平のようなプロアスリートまで多くの人から支持され、現代に至ってもその哲学を探求する人が後を絶たない。もし中村天風がこの時代に生きていても、その哲学は揺らぐことはないだろう。そして、心を煩う人の支えになっていたに違いない。

本稿では、新刊書籍『力の結晶 中村天風瞑想録』より、中村天風が「病に打ち克つ哲学真理」について語った一節を紹介する。》

※本稿は『力の結晶 中村天風瞑想録』(中村天風、PHP研究所刊)より、一部抜粋・編集したものです

 

心で行われる思考が、人生の一切をつくる

人間は日ごろ人生に生きる刹那刹那、いかに心を運用することが適当なのか。言い換えれば、心の運用を良くする、悪くすることによって、人間の人生も良くなり、悪くなるんだなということ。

長い間、病に苦しめられてどんなことをしても助かり得なかった私は、苦しんだ挙句、悩んだ挙句、悶えた挙句、命とめっぱりっこになって(向き合って)取っ組んでいて、結局最後にようやくこれが考え付いた。これ考え付いたのがあなた方のまた幸いにもなろうってことなんですから。

つまり人間の日々の人生に生きる刹那刹那、ちょいと笑うこと、冗談言うこと、その刹那にも、その心の思い方考え方が、やがて結果において、我々の生命を完全に成し能うか、成し能わざるかという事実が生み出されるんだ。

もっとわかり易く言えば、我々の生命の中にある我々の肉体はもちろん、精神生命もだよ、一切の広い意味における人生の事柄を、心の運用いかんによって決定することができるんだという真理を私が悟り得た。

悟り得たばかりに私が、もう医者という医者が片っ端から匙を投げた私の病が、本当に驚くような経過で治っちゃったうえに、今あるがごとき長い寿命を堅固に生きているという幸せを味わっているわけであります。

もし私があなた方のように、もうちょいとしたことでも気にかけて、心の運用を誤っていたら、六十まで生きられないことは当然でありましょう。

と今言ったような悟りは、こういうことから私はひらけたんです。

人間の心で行う思考は、思ったり考えたりすることね、人間の心で行われる思考は、人生の一切をつくると。

これが何十年かかったかもしれないが、長い苦心の末、ようやく探り出した人間の生命に絡まる宇宙真理であった。

これは簡単なことで説明すればすぐわかる。今さっき申し上げた真理を逆に考えればすぐわかるよ。

人間の思ったり考えたりする心の作用というものは、霊の働きで動いているとするとね、するとその霊にすぐ響いているわね。人間の心で思ったり考えたりする思い方考え方が。その霊というやつは、霊という気は、宇宙をつくった造り主である宇宙本体がやっぱり霊なんだから、それに通じているんだ。

お宅の電灯に抵抗の強いものを当てると、すぐショックはあなた方のお宅の変圧器に来てヒューズが飛んじまうだろう?

あれは結局つながってるからだ。

するてえと、この宇宙霊という気の元は、一切の万物をつくる力がある。
だから、この当然の連結関係を考えていくと、なるほど人間の心で思ったり考えたりすることは、うかつにも、あだやおろそかにできないんだということはすぐ気がつくんだ。

誠に峻厳犯すべからざる、これは宇宙真理です。だから、どんな場合があっても、消極的な方面からものを思ったり考えたりしちゃいけないということがすぐわかるだろう?

だから、この法則を厳として自覚して、常にこの法則を乱さないように生きるならば、人生は期せずして大きな調和のもとに生かされる。

そして、無限の強さと生命の無限の自由というものは自然的に出てくる。

だから、どんな場合があっても、心の思考作用と、宇宙を司っている宇宙本体の創造作用、物を生み出す力とが、別々に分かれているんでなく、本質的に一つのものであるということを忘れちゃ駄目だぜ。

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