元乃木坂46の中田花奈 「バフェットの投資術」を麻雀に活かす!?
2020年11月12日 公開 2020年11月12日 更新
2020年10月に、9年間在籍した乃木坂46からの卒業を発表した中田花奈さん。在籍中に行われた「バフェットの投資術」の特別講義をまとめた書籍を12月に出版することが決まりました。
講師を務め、書籍の共著者でもある日本大学商学部教授の濱本明氏との特別インタビューでバフェットの投資と、麻雀の共通点が見えました。
乃木坂46卒業後は「雀荘」経営?
――中田さんは、先日乃木坂46からのご卒業を発表されました。
【中田】はい、2011年に1期生としてオーディションに合格して、9年間在籍しました。10月25日に開催されるオンラインでのイベント(「オンライン ミート&グリート〈個別トーク会〉」)で乃木坂46としての活動は最後になります。
――日本を代表するアイドルグループからのご卒業という大きな決断でしたね。ご卒業後の活動は?
【中田】具体的には決まっていないのですが、いつか「雀荘」を経営してみたいと思っています。
【濱本】おぉ、本当にやるんですね⁉
【中田】はい! といっても、まだどうなるかわからないのですが。
――濱本先生も驚きの進路というところでしょうか。濱本先生には、半年にわたって「バフェットの投資術」を中田さんに講義していただきました。
【濱本】はい。ご卒業が発表になりましたが、講義を行っている時点では、卒業のことも、また、その後の進路として「雀荘」経営を考えているということもお知らせいただいていなかったので、大変驚きました(笑)
【中田】驚かせてしまってすみません。もちろん、講義を受けているときには、卒業も雀荘のことも何も決まっていませんでしたので。
――濱本先生の「バフェットの投資術」の講義とはどのような内容だったのでしょうか?
【濱本】はい、投資といってもさまざまなのですが、今回はアイドルとして日々お忙しく活動される中田さんがパートナーということで、「バフェット」を切り口にした講義となりました。
【中田】投資をはじめたといっても、まとまって勉強をする時間もなかなかとれないということもあって、私にもわかるように講義してくださって、大変わかりやすかったです。
【濱本】ありがとうございます。ただ、大学で教えてはいるのですが、私は教え方には自信がありません。どちらかといえば、中田さんの理解が早かったように思います。乃木坂46きっての秀才だとお聞きしていましたが、数字に強いといいますか。それこそ、「麻雀に強い」ということも講義を振り返ると納得できるように思います。
【中田】ありがとうございます! 私も投資と麻雀は関係ないようでいて、実際に「バフェット」の考え方は麻雀でも役に立っていると思えるところもありました。
バフェットの投資術が麻雀にも応用できる?
――なるほど、「バフェットの投資術」が麻雀にも役立ったということですか?
【中田】はい、似ているなと思えるところがありました。もちろん、投資、あるいは麻雀の専門家の方からは怒られてしまうかもしれませんが(笑)
――たとえば、どのようなことですか?
【中田】極端に言えば、バフェットの投資術とは「数え役満」という感じです。
【濱本】なるほど、それは面白いですね。
――「数え役満」といいますと?
【中田】麻雀では牌の種類(トランプでいうハートやスペードなど)や数字(1,2,…9)の組み合わせで「役」があって、その役の点数を競うのですが、中でも最も点数が高いのが役満(やくまん)です。役満にはざっと12通りほどあるのですが、いずれも簡単にできるものではありません。
役満をアガるには、相当の腕前と運が必要なのですが、それ以上に役満作りに失敗したときの立て直しが難しいというリスクがあります。
【濱本】たしかに初心者がいきなり役満を狙うのは、オススメ出来ないどころか絶対におやめなさい!と言いたいです。そこで、いわゆる役満ではなく、「数え役満」というわけですね。
【中田】はい。濱本先生は麻雀にもお詳しい(笑)。初心者がいきなり役満を狙うというのは難しいところがあるのですが、リスクを負わないで狙える役満があるんですね。12種類の役満以外に「数え役満」というものがあるんです。
競技麻雀などでは認められていなかったり、それぞれのローカルルールにもよるのですが、数え役満というのは、コツコツと役を積み上げて、役を複合した13飜以上でアガるというものです(「飜」〈はん〉は役の単位)。
――ハイリスクをいとわず大当たりを目指すのではなく、ローリスクで小さな当たりを積み重ねるのであれば、腕前に自信がない人でも狙えそうですね。
【中田】そうなんです。まさにそれが濱本先生に教えていただいたバフェットの考えと似ているなと感じた点なんですが、ちょっと無理やりですかね?
【濱本】いえいえ、十分納得できますよ(笑)。たしかに、バフェット流投資の基本の一つは無理をしないことです。よくわからない投資先には投資しない。つまり運任せにしないのです。また、なけなしの全財産を投資するような経済的な無理もしません。だから、いきなり役満を狙うようなハイリスクをとろうとするのはバフェット流ではありません。
確実に点数を稼いで、あわよくば数え役満を狙うというのは、おっしゃるとおりバフェット的な考え方ですね。
短期の勝負よりも、長期的な視点が大切
【中田】ほかにもバフェットさんの哲学として「自分自身が最高の投資先」といった言葉があったり、想像を超えるほどお金を稼いでいるのに、贅沢をするのではなく寄付を積極的に行ったりと、人間としての魅力にも惹かれるところがありました。大成する人は発想から違うのだなと。
【濱本】そうですね。投資というと多くの人が思い浮かべるのは、株価とにらめっこしながら、下がったら買って、上がったら売るというような短期投資です。一方、バフェットの投資は目の前の浮き沈みではなく、中長期的に会社の成長を予想してどっしりと構えて投資を行う点です。
再び麻雀でたとえるなら、半荘(ハンチャン)一回のような短期の勝負はしないで、長期の勝負、できれば(お肌には良くないけど)徹夜麻雀をするのがバフェット的です。
徹夜麻雀では、特に朝方になると疲労が溜まって判断力が鈍ったり、エンドルフィンなどの脳内物質が分泌されることによって楽観的になったりしがちです。そこで、ガッチリと守りを固めつつ、確実に得点を重ねるような心の準備をしておけば万全です。
【中田】なるほど! 徹夜はおすすめしませんが(笑)、麻雀でも目の前の牌に一喜一憂するのではなく、できるだけ冷静に考えているときのほうがうまくいくことが多いと思います。
麻雀というと、まだまだどことなく怖いイメージを持たれていたり、初心者にはなかなかハードルが高いイメージがあったりすると思うのですが、そんな人でも気軽に足を運べるような雀荘ができればなと思っています。
【濱本】そういう意味では、投資も同じですね。もちろん最低限の知識は必要ですが、だからといって過剰に怖がる必要はありません。また、中田さんのように日々のお仕事で忙しい人でも無理なくできるのが「バフェットの投資術」なんです。
そういえば、講義の際に「100年企業の多い日本市場はバフェット銘柄の宝庫」とお伝えしていましたが、先日ついにバフェットも日本企業に投資をはじめたことがニュースになりましたね。
【中田】そうでした! 講義のおかげで日本企業の魅力も知っていたので、あのニュースは「おぉ、ついに」という感じで、なんだかうれしいような悔しいような不思議な気持ちで見ました。そういう意味でも、私と同じように「株に興味はあるけど、難しそう」という方に早く読んでもらいたいですね。
【濱本】はい。実際に株式投資を行わない人でもバフェットの考え方を学ぶことで得られるものは多いと思いますよ。中田さんが麻雀に活かしたように(笑)
【中田】ええ(笑)。でも、バフェット流の企業分析や長期的に将来を予測するという考え方は、麻雀でなくとも、仕事や自分自身を見つめ直したり、視点を広げるという面でも誰にでも役に立つものだと思います。
【濱本】おっしゃるとおりです。なんだか、私がお伝えすべきところをうまくまとめていただいてしまいましたね。混乱がつづくコロナ禍の影響をあげるまでもなく、現在はますます先行きが見通せない社会にもなりつつあります。
不安で思考停止してしまうことなく、自分自身でしっかり考えて決めるために、バフェットの考え方を役立ててもらえればうれしいです。中田さんの雀荘も日本の100年企業のように、長く愛されるものになってほしいと思います。