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生き方

「他人に”頑張り”を強要してしまう人」が気がつけば孤独になる理由

心屋仁之助(心理カウンセラー)

2020年11月25日 公開 2023年02月08日 更新

心屋仁之助

日本で一番怖い「頑張る教」

僕の思う日本で一番怖い宗教は、「頑張る教」という宗教です。

おそらく、日本人で一番多くの人が入信している宗教だと思う。「頑張って」「ガマンして」「私がやる」という自己犠牲を美徳とする宗教です(戦時中は必要だったのでしょう)。

仕事も恋愛も子育ても、頑張って頑張って、勝手に他人の分までギリギリまでやってしまうから、

「頑張ってるんだから褒めて! 感謝されたい!」
ってなってしまう。でも、感謝されないから、不満が溜まる。これじゃ足りないのかと思ってもっと頑張ろうとする。

しかも、「頑張る教」の人たちは、周りに迷惑をかけないということで結果として周りにも迷惑をかけているんですよね。

なぜなら、「頑張る教」の人たちは、周りにも、
「あなたも頑張りなさい」
「あなたももっとガマンしなさい」
「人任せにしないで自分でやりなさい」

と、知らず知らずのうちに、自分の考えを押しつけて(布教して)いるからです。で、ちゃんとみんながやっているかといつも「見張って」いる。だから「頑張る教」の人たちは頑張らない人を見ると、イラッとしたりするんですよね。そして「ちゃんとやれよ」と強要する。

勝手に頑張って、勝手にイライラしている。これがもう負のスパイラル。一番の迷惑。さらに、そうやってひとりで勝手に頑張っている人は、周りに「私に感謝しろよ」って思っている。

でも自分は人として「周りに感謝しなければ」とも思っていて、でも感謝なんてできない。だって自分だけ頑張っているから。でも人に任せたり、頼ったり、迷惑かけたりし始めるとわかります。自然と感謝が「湧き出す」のです。

「しなければ感謝」ではなく、「してしまう感謝」「ありがたいなあ」です。すると、今まで見張っていた人たちにも優しくなれるのです。

 

「他人を活躍させる生き方」を目指せばラクになる

この負のスパイラルから抜け出すのが「ずるい生き方」です。本当は、頑張ることも、ガマンすることも、ひとりで抱え込んで耐えることも、やりたくないんです。だってどんどん孤独になってしまうから。

でもそのやり方しか知らないから、どんどんガマンして自分を見失って、頑張っていない人にイラついてしまう。で、「誰も助けてくれない」と嘆く。でもそれは、自分が「勝手に」やっていること。

そう、人に迷惑をかけて嫌われたくないから。

勇気を出して他人を信用して頼ってみたら、頑張っていないのに、サボって丸投げのポンコツなのに、みんなが勝手にいろいろやってくれる。しかもその人たちに、感謝までされる。本当はみんな頼りになるし、優しいんです。

これまでどんなに頑張っても感謝されなかったのに、勝手に感謝されるのが、「ずるい生き方」です。今までの「感謝しなさいよ」から、「感謝してしまう」。そんな優しい人生に変わっていきます。

他力本願って、他人を活躍させる生き方なんですね。今までは、手柄をひとり占めしたかったんです。「すごいね」「頑張ってるね」って言ってほしかった。

でもそれができるようになったら「自分でできること」でさえも任せてしまうんです。迷惑かなとか、負担だろうなとか思わず。その人に手柄をあげてしまう。

あと、人に任せられない人は「自分のやり方」にこだわります。「私のやり方」「私と同じようにやってほしい」。それはミスが怖いから。

そんなミスまで込みで、その人のやりたいように、得意なやり方で全部任せるんです。あなたよりいい仕事してくれますよ(笑)。

あなたの代わりはいくらでもいる。あなたより優秀な人もいっぱいいる。あなたはボーッとしてていいんです。

 

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